パワハラとは・パワハラ対策

パワハラとは

「職場において、職権などの力関係を利用して、相手の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることにより、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えること」(中央労働災害防止協会の調査報告書より)

パワハラ・パワーハラスメントとは

  • 暴力を振るう
  • 大勢の人の前で叱責する・怒鳴る
  • 他人のミスの責任を負わせる
  • 無視する
  • 陰口をたたく
  • 個人のイメージ・評価を下げるような噂を流す
  • 実際よりも低く評価する。正当な評価をしない
  • 特定の個人にのみ必要な情報を提供しない
  • 特定の個人にのみ嘘のスケジュールや情報を与える
  • 必要性のない残業を強要する
  • 特定の個人にのみ発言の機会を与えない
  • 特定の個人にのみ有給休暇の取得を拒否する
  • 特定の個人のみ休憩時間が短い。又は休憩させない
  • 常に作業を監視する
  • プライベートなことにまで干渉する
  • 特定の個人にのみ注意や説教をする機会が多い。ことあるごとに説教する
  • 業務の指示が一貫していない
  • 学歴や出身地、家柄など業務と関係のないことに基づき責める。評価を下げる
  • 人格を否定するような言葉を浴びせる
  • 仕事を取り上げる。与えない
  • 著しく簡単な仕事・雑用ばかりをさせる
  • 嘲笑する
  • 侮辱的なあだ名を付ける 等々

パワハラが起こりやすい職場の特徴

以下をご覧いただくとわかるように、忙しくても暇でも、大企業でも中小企業でも、年功序列でも能力主義でも、どのような企業でもパワハラは起こり得ます。
「我が社は大丈夫」と油断するのは厳禁です。

  • 長時間労働が恒常化している。残業が多い。休みが取りづらい
  • 挨拶やホウ・レン・ソウなどを含む会話・コミュニケーションが枯渇している
  • 転勤や異動が少なく、常に同じ上司、同じ仲間と顔を合わせるような職場
  • ワンマンな会社。その人に逆らえる人は誰もいない
  • 会社としてのパワハラやセクハラ、労働問題に対する取り組みがない。少ない。不十分
  • 上下関係が厳しく、部下が上司に意見を述べたりすることができないような環境。上司の命令には絶対に従わなければならない
  • 部下は厳しく教育すべき、という方針の職場。暴力や暴言も愛情のうち
  • アルバイトや契約社員、派遣社員など多様な立場・勤務形態の従業員が一緒に働いている職場
  • 伝統を重んじる会社。年功序列が定着している会社など、わりと古い体質が根付いている会社
  • 逆に、能力主義を採用している会社でも、競争によるイジメなどが起こり得る
  • 忙しい会社。少しでも能率の悪い従業員がいると、集中的にその人に攻撃が向く可能性がある
  • 暇な会社。イジメや嫌がらせを楽しむ人が出てくる可能性がある
  • 失敗が許されない。失敗への許容度が低い風土

パワハラと教育的指導の境界線

パワハラは、一見すると指導・教育・注意という形が成り立っているためハラスメントであると断定することが難しく、その境界線が法令上明確にされているわけではありません。
業務上部下を教育し必要に応じてミスや態度の改善を促すことは、上司の重要な役割の一つであります。
パワハラと騒ぎ立てられることを恐れ、萎縮してしまい十分な教育を行えないことは、組織にとっても相手方である部下にとっても好ましいことではありません。

組織の維持・発展のために必要不可欠な指導・教育であり、改善や向上を求めることに可能性と合理性があり、なおかつ就業規則等の規則に即していること、そしてその方法・手段が客観的に見て適切かつ合理的である場合には、パワハラに該当しない可能性が高くなります。

指導・注意・叱責がエスカレートし、その目的を逸脱して相手の人格や尊厳を侵害し能率低下・健康悪化に追い込んだり、退職にまで追い込んだりすれば、パワーハラスメントに該当すると判断される可能性は高くなります。

以下は、境界を見極めるポイントと、パワハラに該当する可能性の高い行為の基準でありますが、この基準が100%のものというわけではなく、あくまで一つの目安・例です。
個々のケースの判断においては、諸事情を考慮した上で総合的に判断する必要が当然にあります。

1.圧力性の有無

  • 権力や立場により相手が意見・反論・弁明する自由を与えない

2.関連性・必要性の有無

  • 注意や指導の内容が、ミスや業務の内容と関連性がない。必要性がない
  • 特定の人だけが厳しく扱われる
  • 過度に執拗である
  • 必要性もないのに、敢えて他の従業員の前で叱責する

3.個人的感情の有無

  • 客観的に見て、嫌がらせ目的であること、憂さ晴らしであることなどが明らかである(特定の人だけが厳しく扱われる。)

4.違法性の有無

  • 暴力や物を叩くなどの行為を伴う
  • 脅迫(違法性が高い)。必要以上に威圧的である。怒鳴る。大きな声で叱責する

5.健康上の被害

  • ストレスや疲労から、身体的又は精神的健康を害するに至った

パワハラの加害者にならないために

パワハラの被害者は、自ら命を絶つという結論を選択するケースが少なくありません。
つまり加害者になれば、直接的ではなくても、「自分が原因で人を死に追いやった」という罪を一生背負っていくことになります。
いっときの怒りや個人的感情のままに他社の人格権を傷つけるような言動を行うことのないよう、気をつけましょう。

  • パワハラとは何か、他者はどのような言動を不快と感じるのかなど、意識を持って部下や同僚と接することが大切
  • 注意・指導・教育の際には、その目的を明確にし、その範疇を逸脱しないよう心がける
  • ミスや問題はその都度・そのときにのみ指導するようにし、後日まとめて注意したり、過去のミスを後々まで持ち出すようなことはしない
  • 注意の際には相手にも十分な弁明の機会を与える
  • 公平性を維持する
  • 過度に執拗にならないよう注意する
  • 感情的にならない
  • 暴力は絶対に振るわない
  • 相手の人格を侵害する言動は慎む
  • 社員の能力・個性・性格・世代には差異があり、個人的事情もあるということを認め、尊重・理解する
  • ある程度部下を信頼し、過度に干渉・監視しすぎない
  • 常に相手の立場・感情に配慮した言動を心がける

そのために・・・

  • 部下や職場の仲間とのコミュニケーションを日ごろから大切にする。話しかけやすい関係・指導を受け入れられる信頼関係を築いておく
  • 小さなことでも、それぞれの部下の良いところ・評価すべき点を見つけ、「褒めること」を意識する
  • 万が一自分が同じことをされたら、パワハラだとは思いませんか?
  • 万が一自分の大切な人が同じことをされたら、パワハラだとは思いませんか?
  • 若い頃、こんな上司にはならないぞ、と誓ったことを思い出してみる。

パワハラ問題が起きてしまったら

セクハラ問題が起きてしまったときと同様です。
最もやってはいけないのは、「放置すること」と「被害者を責めること」です。
「上司に相談したが解決してくれなかった」「被害を訴えたら逆に周囲から非難された」という主張は、多くの被害者から聞かれます。
被害の相談を受けた際に迅速かつ適切な対応をしてさえいれば、被害者は命を落とさずに済んだ、会社は何億円もの賠償金を支払わずに済んだ、という事案ばかりです。
以下の点に注意し、初動でミスをしないように気をつけましょう。

相談を受けたら

否定したり非難したりせず、最後まで漏らすことなく話を聴きます。
最初は「たいしたことない」と思える話でも、聞き進めていくうちに、より重大な問題が潜んでいることに気づくことがありますので、途中で話を遮ってはいけません。
「あなたにも責任がある」「あの人がそんなことをするはずがない」「そんなことでパワハラと騒げば職場の雰囲気が悪くなる」「うちの会社には合わないのでは?」などの言葉で被害者側を責めるのは、二次被害・三次被害に繋がりますので、絶対にやめましょう。

プライバシー保護は徹底的に

相談者(被害者)・行為者(加害者)・調査協力者(第三者)それぞれのプライバシーを最大限保護します。
相談を受ける方の認識が甘く、軽々しく言い触らして、二次被害を呼ぶケースは少なくありません。
調査する人、場所、日程、呼び出し方法など、いずれも慎重に慎重を重ねて厳選しましょう。

迅速に対応

被害の存在が明らかになった場合には、絶対に放置せず、適切な対応をしましょう。
就業規則等に基づき加害者に懲戒処分を下すこと、これを怠ると、会社全体のパワハラ体質が改善しないばかりでなく、社員を失望させ、離職者が増加します。
加害者と被害者を物理的に隔離し、できる限り関わりを持つことのないよう配慮しましょう。

問題の根本は何か

加害者を処分しておしまい、ではありません。
ハラスメントが起きてしまったのは、加害者の個人的資質のみに起因するのか、職場の体質によるものなのか、見極めなければなりません。
多くの場合、職場の伝統、職場体質が少なからず関わっています。
上の「パワハラが起こりやすい職場の特徴」に一つ以上当てはまる企業は、職場風土から改革する必要があります。

再発防止

必ず実施していただきたいのが、社内研修です。
何がハラスメントに当るのか、何に注意すべきなのか、を職場内で共有する機会を持つことです。
属性別の研修が理想的ですが、最終的には全社員が受講するようにします。
さらに、社内報などを定期的に配布し、紙ベースでも働きかけを続けます。
研修や社内資料では、トップからの「ハラスメントを許さない・なくす」という宣言を盛り込みます。
就業規則の見直しも忘れないようにしましょう。