カスハラで社員自殺、遺族が労災不認定取り消し求め提訴

大阪市を中心に関西地区で展開している豚まんで有名な中華料理の「551蓬萊」の社員だった男性(当時26歳)が自殺したのは、客から理不尽なクレームを受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)や長時間労働が原因だとして、遺族が、労災不認定決定の取り消しを求め国を提訴した、とのこと。
客から「死ね」「バカ」「ボケ」などの罵声を浴びせられることがあったということです。

「死ね」「バカ」 551蓬莱社員死亡、カスハラとして遺族提訴(2023年11月22日 毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20231122/k00/00m/040/085000c

カスタマーハラスメント(カスハラ)は、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と、厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント企業対応マニュアル」で定義されています。

一つひとつの悪質性が高いとは言えず、警察に通報したり民事訴訟を起こしたりするほどのものではなくても、積み重なると、命を奪う力を持ちます。

企業には安全配慮義務があり、カスタマーハラスメントの予防・対応・再発防止策を講じることが求められます。

方針やマニュアルの作成と周知

カスタマーハラスメントの判断基準や対応方針、対応方法を明文化し、社員や業界内で共有することで、現場スタッフは対応しやすくなります。

クレームや迷惑行為のチーム内共有

クレームや迷惑行為を受けたスタッフは、上司に報告するとともに、事案の内容をチーム内で共有し、再発防止策について意見交換する場を設けます。
クレームや迷惑行為を個人で抱え込ませてはなりません。
チームとして受け止めることで、精神的苦痛を和らげることができますし、対応策を強化できます。
報告・共有しやすい風土づくりが大前提となります。
クレームや迷惑行為を受けたスタッフを責めるのではなく、「報告してくれてありがとう」と感謝し、「大丈夫?休む?」と心の傷に配慮し、必要なケアを行いましょう。

必要に応じて通報や法的措置を

スタッフによる解決が困難な場合や、違法性がある案件の場合は、速やかに警察に通報したり、被害届を出したり、民事訴訟を起こしたりという行動を、企業として毅然と取ることが大切です。
企業としての行動が、スタッフにとって「心強さ」となり、客にとっては抑止力となります。

現場スタッフのメンタルケアを

客からクレームや迷惑行為を受け得る職種のスタッフには常に目を配り、少しでも客から苦痛を受ける場面があれば、当該スタッフと面談し、丁寧に話を聴き、必要に応じてカウンセリングや専門医の受診を勧め、寄り添いましょう。

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カスタマーハラスメントは、行為者が「お客様」であることが、職場内で起こるパワハラやセクハラとは異なる形で、判断や対応を難しくしています。
お客様は神様、という観念から脱却できず、「No」と言えずに抱え込んでしまい、追い詰められます。
企業のトップが、「あなたたちの健康と安全が一番大事」「あなたたちの安全が脅かされるなら、躊躇わずにNoと言ってください」「何かあったらすぐに報告・相談してください」「あなたたちは一人ではない。皆で解決しましょう」とスタッフに伝え続けることで、一人ひとりがお客様は神様観念から抜け出し、自分と仲間の安全を守ることができるようになります。

カスタマーハラスメント対応マニュアルの作成や、トップメッセージの作成、社外相談窓口の設置等、ケンズプロにご相談ください。

投稿者

新田 和代
新田 和代
株式会社ケンズプロ代表取締役/社会保険労務士/行政書士