セカンドハラスメント〜「抗議しないこと」は罪か

上川外相が不適切発言を受けたにも関わらず抗議しないことは不適切だと、波紋が広がっています。

しかし、例えば上川外相がハラスメントの被害者だとして、売り言葉に買い言葉で発生したハラスメントならともかく、一方的に突然受けたハラスメントに対して、被害者側に「抗議する責務」まで負わせるのでしょうか。

そもそも御本人が「被害者」と捉えているかどうかも不明ですし、当事者間の関係性を存じませんので、ここでは話を一般論に転換して述べます。

例えば上司から、「おばさん」発言や、容姿に対するネガティブな発言を受けたとして、その上司に「不適切です」と抗議できるものでしょうか。
仮に抗議したとします。
素直に謝罪する上司は少ないでしょう。
ジェンハラ発言者の多くは、悪意ではなく、無知や無意識で発言しています。
悪意のない発言者ほど、抗議を受けると、さらに傷つく言葉を発してくるものです、悪意なく。

それが容易に予想できてしまうため、被害者の多くは、抗議しません。
この状況を早く終わらせたくて、軽く受け流します。
笑顔で交わすのが、最も軽傷で終わらせる方法で、一番早く終わらせる方法です。

さらに、公に抗議すれば、何度も何度も発言を蒸し返されて聞くことになります。
一度聞いただけでも傷ついているのに、何度も何度も傷つけられることになるのです。
中には、心無いことを言ったり書いたりする第三者もいます。
それも容易に予想できてしまうため、被害者の多くは、声を上げません。

「嫌なら拒絶すれば良かったじゃない」
「拒絶しないあなたが悪い」
と、周囲は被害者を非難します。

被害者は、「私が悪いのだろうか」
「拒絶できない自分の弱さが原因なのだろうか」と、自分を責めます。

悪いのは被害者でしょうか。

痴漢から身を守りましょう。
服装に気をつけましょう。
夜道を歩かないようにしましょう。
・・・どれも正しいアドバイスではありますが、そもそも加害者が加害行為をしなければ、被害者が被害を受けることはないのです。

責を負うべきは、加害者でしょう。

立場が立場ならば、何度も心をえぐられることに、耐えなければならないのでしょうか。
被害者に「抗議しない罪」を問うのも、ハラスメントです。
騒ぎ立てて何度も不愉快な言葉を被害者に聞かせる報道もまた、ハラスメントです。

投稿者

新田 和代
新田 和代
株式会社ケンズプロ代表取締役/社会保険労務士/行政書士