ダイバーシティハラスメント

保育士への「マタハラ」認定、解雇無効の判決 東京高裁(朝日新聞)

保育士への「マタハラ」認定、解雇無効の判決 東京高裁(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP346H2BP34UTIL039.html?ref=gnp_digest

神奈川県の30代の女性保育士が、育児休業からの復帰直前に保育園側に解雇されたことは、妊娠や出産による職場での嫌がらせ「マタニティハラスメント」に該当すると東京高裁の控訴審で認められ、保育士の解雇は無効と判断されました。

記事によりますと、事案の概要は以下の通りです。

  • 解雇された保育士は神奈川県の30代女性
  • 2017年4月から産休、5月に出産、2018年からの復職を希望していた
  • しかし復職直前「園長と保育観が一致しない」との理由で保育園から解雇された
  • 解雇理由は「園長に批判的な言動をしたこと」とされている
  • 裁判長は、「意見は述べたが解雇に相当する問題行為とはいえない」と判断
  • 一審の東京地裁判決に続き、解雇は男女雇用機会均等法9条4項に反するとし、解雇は無効と判断した。

男女雇用機会均等法第9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第1項 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
第2項 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
第3項 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
第4項 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

均等法第9条第4項は、妊娠中及び産後1年未満の女性労働者に対してなされた解雇は無効と規定していますが、事業主が育児休業を請求したこと又は休業したこと等が解雇理由ではないと証明したときは例外としています。

これについて裁判長は、この規定の目指す趣旨は「妊娠や出産で身体的・精神的な負荷が想定されることから、安心して出産・育児ができるようにするための規定」であると言及したとのことです。

解雇理由

解雇は、労働者から生活手段を奪う行為ですので、最後の最後の手段です。
企業は解雇回避の努力をしなければなりません。
「気に入らないから解雇」は、当然のことながら無効です。
労働者に問題があるのであれば、その問題点を具体的に特定し、改善を試みて、配置転換や職種変更、段階的降格などを経て、最後のチャンスを与え、それでも改善しない場合に、最後の手段を行使します。
また、本当にその労働者に問題があるのか、経営陣に非があるのではないか、組織風土の問題なのではないかと、問題の根本を見極めることも大切です。
気に入らない労働者を摘み出しても、事業主側や組織風土に問題があれば、再び気に入らない事態が繰り返されるだけです。

風通し

「上位者に批判的意見を述べたら解雇」がまかり通るはずはありません。
そもそもボトムアップの意見が許されない風土は、組織を腐食させる最悪因子です。

  • 多様な意見が下からも横からも盛んに飛び出す
  • 自分と異なる意見にも「そういう考え方もあるね!」と尊重できる
  • 斬新なアイディアやチャレンジが歓迎される

成長する組織は、こうした特徴を備えています。

妊娠・出産には

新しい生命の誕生、これほどおめでたいことがあるでしょうか。
妊娠、出産の報告を受けたら「おめでとう」の言葉が溢れる、そんな職場風土、関係性、人間性を醸成したいものです。
日頃から、妬みや非難、否定ではなく、「いいね」「おめでとう」「ありがとう」「素晴らしい」「えらいっ!」といった歓迎、祝福、肯定を表すポジティブワードを積極的に使いましょう、と推奨してみてください。
実践されれば、職場の空気は必ず変わります。