日本の大手芸能事務所が話題の渦中に入るケースが増えています。
一般企業では人材の流動化が進み既に売り手市場が定着していますが、芸能事務所も例外ではなく、これまで通りの強硬姿勢でマネジメントを続けていると大切な所属タレントさんを大量喪失することになりかねません。
さて、一般的に、特定の言動がパワハラに該当するか否かついては、当事者間の歴史、関係性、普段の仲などが判断材料になります。
関西の、それもお笑い界の頂点にある吉本興業の中で飛び交う言葉ですので、現在問題視されている言葉の数々については、外からチラッと覗いただけの立場では判断できません。
関東圏の方々には、関西弁自体が「キツイ」と感じられることもあります。
ただ、関西の文化がどうであれ、会社の歴史がどうであれ、昔と今とでは、言葉、怒号を受け止める側の感覚が大きく変化していることを踏まえて、コミュニケーションや育成に当たらなければなりません。
今回のケースは置いておいて、一般的に、厳しい言葉で叱責すべきときは確かにあります。
会社で厳しい指導を受けて育った人材と、良好な職場環境で大切に育てられた人材とでは、前者の方が大きく強くたくましく育ち対応力も高いと個人的には感じています。
北海道のお野菜が美味しいのは、冬の厳しい寒さを乗り越えて育つから、だそうです。
ですが、会社としては、あるいは労働者側からすれば、後者の温室の方が、「優良企業」として評価されるわけです。
SNSの時代、どちらが良いか悪いか、温室でストレスなく育つのと氷点下を耐え忍ぶのとではどちらに将来性があるか、だけでは計ることができません。
昔は当たり前のように使われていた「お前」「バカヤロー」「殺すぞ」という言葉が、今は録音され、暴露され、問題視され、炎上する時代です。
冗談だった、愛情の裏返しだったと、言った本人は本当にそうだったのかもしれませんが、受け取る側が人権侵害だと感じているならば、冗談も愛情も伝わっていないのですから、ちゃんと伝わる伝え方を選択しなければなりません。
何を伝えたかより、どう伝わったかが大切です。
また、セクハラは受け手の主観で判断されますが、パワハラは客観的に判断されます。
周囲が「言い過ぎ」「やり過ぎ」と感じれば、パワハラに該当する可能性が高くなります。
話を吉本興業に戻しますと、同社は、時代の流れ、空気の変化に最も敏感に反応して然るべき業界のリーダーです。
そして、その会社のトップであれば、誰よりも、時代に応じ、相手の心情に配慮した言葉を選ぶべきなのではないかと思います。
お笑いは常に、冗談と人権侵害の境界線上にあります。
誰かが傷つく言葉や態度を選択すれば、侮辱、脅迫、名誉棄損になり得ます。
ところで、社長の最も大切な仕事の一つは、社員との「信頼関係」を築くことではないでしょうか。
言葉使いが乱暴でも厚い信頼を得ている社長は大勢いらっしゃいます。
この度話題になっている社長さんは、言葉が粗雑であること以上に、タレントさんとの信頼関係を築けていなかったことが、社長の器について論じるならば議題に上げるべきなのかもしれません。
いずれにしましても、このような問題はどの企業にも起こり得ます。
コンプライアンスやモラルに関する研修を早急に実施されることを推奨いたします。
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