年末年始、飲みニケーションどうする?

宴会が増える季節となりました。
12月は、飲み会を巡って、「開催するかしないか」「飲み会でハラスメントが起こりやすい」という問題が毎年恒例で勃発します。
アルコールが入ると、セクハラもパワハラも起こりやすくなりますが、12月は厚生労働省が定めた「職場のハラスメント撲滅月間」でもあります。

開催の仕方、飲み方、絡み方などを、この機会に見直し、楽しく安全なコミュニケーションの場にしたいものです。

やはり「飲みニケーション」は不人気…

日本生命の調査(日本生命保険相互会社が2024年10月に11,377名を対象に実施したインターネットアンケート)によりますと、対面コミュニケーションは9割弱が「必要」と回答している一方で、職場での飲みニケーションは不要(どちらかといえば不要+不要)と回答している方が5割超、飲みニケーションがある職場で働きたくないとしている方が約7割という結果になっています。

飲みニケーションが「不要」と回答した理由は、
「気を使うから」48.3%、
「仕事の延長と感じるから」33.7%、
「お酒が好きではないから」28.8%、
「拘束時間が長いから」28.8%、
「お金がもったいないから」28.4%
が多い結果でした。

一方、飲みニケーションが「必要」と回答した理由は、
「本音を聞ける・距離を縮められるから」54.5%、
「情報収集を行えるから」35.9%、
「人脈を広げられるから」30.1%
「仕事の悩みを相談できるから」29.4%、
「ストレス発散になるから」26.9%
が多くなっています。

開催する際の工夫

飲みニケーションのある職場で働きたくないという声が多い一方で、「そうは言っても参加してみると大事だなと感じる」という声も、実際には多いと実感しています。
そんな飲み会を、どうしても開催するのであれば、上記のアンケート結果も踏まえ、以下のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。

気を使わせない

お酌や料理の取り分けは各自ですることを、予めルールとして宣言する。それでも自主的にやりたいのであれば禁止はしないが、お酌等をしない部下をなじることは禁止とする。

席は、好きなところを選んでもらう

男女男女で座らせるとか、上司の隣りに部下など、席順を指定せず、たとえ若手メンバーのみで固まっていたとしても、それも有りとする。
若手と話したい上司は自分から移動し、しかし長居はしない。

アルコールを強要しない

乾杯からソフトドリンクでもOKとする。
特に、泥酔しやすい方は、自ら率先してソフトドリンクのみにする。

短時間・一次会のみを原則とする

長時間拘束せず、長くても2時間までで、一次会のみでサクッと解散する。
どうしても二次会に行きたいメンバーは、帰るメンバーに絡んだりせず、あっさりこっそり行く。

会費は抑えて

できる限り、会社の経費で実施するか、高額になる場合は役員等が負担する。
役員や管理職だからといって負担を強いることはできないが、そうしないと次から参加してもらえなくなる可能性が高いため…。

時間帯を工夫する

業種によるが、勤務時間内に業務の一環として実施するか、1〜2か月に1回のランチタイムを交流の機会とするのも有意義。
グダグダ長引かず、適度な緊張感で節度が守られるため、後味が良く、多少頻繁でもうんざりされないかもしれない。

場所を工夫する

「お酒の美味しいお店」よりも「ご飯・料理の美味しいお店」を選ぶ。お酒が好きではない方が増えているため。
あるいは、若い社員が普段は行けないような、少し高級なお店を選ぶのも、参加する動機づけにはなるかもしれない。

セクハラ・パワハラに注意

アルコールとハラスメントは密接な関係があります。
当社にご相談いただく案件も、多くが「お酒絡み」です。
開放的になり緊張感が緩んだり、気分が高揚して粗暴になったり、理性と自制が効かなくなったりするため、セクハラやパワハラをしてしまいやすくなるようです。

そのため、以下のような心がけが必要です。

お酒は適量に

理性や記憶を失うほどは飲まないこと。
自身の適量を知り、おいしいと感じる量を守ること。
部下は、ぐでんぐでんに泥酔した上司を見て呆れ果て尊敬の念を失いますし、説教されたりベタベタ触られたりして嫌悪感を抱くものです。

「部下が」楽しめる場をつくる

上司が上機嫌になって暴れるのではなく、部下にとって、楽しく心地良く、情報収集できたり人脈を広げられたりする有意義な時間となるように、上司は幹事として会を演出する役目を全うすると良いでしょう。

一気飲みや一発芸はナシ

静かに会話を楽しみたいだけ、飲み会特有のイベントは不要。というのが若い世代の価値観です。
芸を強要すれば、パワハラ、セクハラ、アルハラと言われます。
上司側の芸を見るのも、若手にとっては苦痛です。
笑ってあげなきゃ、拍手してあげなきゃ、盛り上げなきゃ…と、結局仕事の延長と感じられてしまいます。
一気飲みは、そもそも命の危険があります。

飲み会=騒ぐ・暴れる・羽目を外す、ではない

若手メンバーは、料理やお酒を味わいながら、普段話せない上司や同僚と話をすることを飲み会に求めています。
「飲み会だから」と、極端にいつもと違う行いをしたい・見たいとは思っていません。
お酒を飲んだら騒がなければならない、羽目を外してこそ飲み会だ、という雰囲気にはついていけませんし、そんな上司の姿は見たくないし、自分も巻き込まれたくない、という方も多いです。

接待を伴う飲食店には行かない

性別に関わらず、連れて行かれることを不快と感じる方が多くなっています。
「嫌なら断ればいいでしょう」と言われても、若手は「断れない」ので、強制と同じです。セクハラになり得ます。

ネガティブな話はしない

「あのときこうしてほしかった」「あなたはここがダメだ」と、指導したりダメ出ししたりするのは、お酒の席では控えましょう。
パワハラになりやすいです。お酒が入るとどうしても声が大きくなったり威圧感がいつも以上に増したりしますし、受け手にとっては仕事の延長感に縛られることになり、誰にとっても楽しくありません。
参加すればどうせまた説教されるだけだ、となれば、参加してもらえなくなります。

とにかくセクハラに注意

多くの受け手は拒絶反応をしませんし、わざわざ相談・通報もしませんので、表には出ませんが、セクハラがゼロの飲み会の方が珍しいのでは、というほど、小さなものも含めると、多種多様なセクハラが発生しています。

  • さり気なくを装った身体的接触(グラスを渡すついでに手を握る、褒める振りをして頭を撫でる、など)
  • 過度な身体的接触も多い(胸・腰・脚への接触、ハグ、キス、など)
  • 猥談(下ネタ)を言う、言わせる
  • 身体的特徴や服装についてコメントする
  • 恋愛や結婚について執拗に質問する
  • 男女の社員が話していると「できるのか?」「付き合っちゃえ」とからかう
  • デュエットやチークダンスに付き合わせる、等
以上は、若い世代にお聞きした声をまとめたものです。
すべての若い方々が同じということではありません。
ワイワイした飲み会が好きな方も、上司と深酒したい方もいらっしゃいます。
ただ、望まないことを強制してはならないということ、全員が楽しく心地良く安心して楽しめる時間であるべきということです。
上司が楽しむ、うっぷんを晴らす、恋愛する場ではありません。
部下が幸せそうな顔をしているか、うんざりしている人はいないか、気を遣ってあげていただきたいものです。
部下の方も、上司が気を遣ってくれていることに感謝し、上司が疲れていないか、お酒を美味しく飲めているか、お会計で無理していないか気にしてあげて、ごちそうしてもらったときには「ごちそうさまでした」、翌日も「昨日はありがとうございました」と、お礼を伝える。
こういうやり取りが面倒くさいから飲み会は嫌なの、と思われるかもしれませんが、いつか自分も上司になったときに、こうした面倒くさい人間関係が意外と大事なのだと、気づくはずです。
そのような、ちょっと面倒だけれどもあったらあったで良いこともあるし、全くなくなったら困るかもしれない存在なのだと思います、飲み会は。
節度と品格を守って、楽しく飲みましょう。

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。