原因究明

人為的なミスにより、レース中に照明が落ち、複数の騎手が落馬、馬一頭が骨折のため安楽死となった…
馬をこよなく愛する者にとって、あまりに辛いニュースでした。

ミスは誰にでもあります。
本件については詳細を知りませんが、人材不足が深刻化し、業務量を減らさず労働時間だけを削減する働き方改革が進み、現場は常に余裕を失っています。
ダブルチェックが人員体制的に不可能だったり、疲労によりミスを見落としてしまったりするリスクが、最高潮に高まっている時代です。

余裕の喪失は、経営の根幹にもダメージを与えます。
ピリピリした雰囲気で風通しが悪くなり、報連相が上がらなくなります。
現場の社員がリスクに気づいても、上に注意喚起する勇気が出なかったり、報告したら怒られるため隠蔽したり、相談して評価が下がることを恐れて自己判断で行動したりして、問題が起こります。それが、上層部が気づいたときには収集できないほどに拡大し延焼しているのです。
報道されている企業の不祥事や事故の多くは、閉鎖的な風土に起因すると考えられています。

労働時間を短くするだけの働き方改革ではなく、業務の断捨離、作業の効率化、協力体制の構築、業務量の調整、ICTの活用等により、時間当たりの生産性を高め、短時間で成果を上げられるチームづくりという改革が必要です。

さて、本件に話を戻します。
「消灯の原因はタイマーの設定を誤った人為的ミス」という解明で終わってはなりません。
なぜそのミスが発生したのか?疲れていたから?責任感が欠如していたから?決められた手順を怠ったから?なせ疲れていたの?なぜ責任感を失っていたの?なぜ手順を踏まなかったの?なぜ?なぜ?と掘り下げていくと、人為的ミスならば必ず、働き方や人材育成など、人事労務の問題に行き着くはずです。
一歩間違えば騎手の命にも関わりますし、馬一頭をレースに出すまで育てるのにかかる費用や観客の掛け金などを考えると関係者の経済的損失も莫大ですし、何より馬の尊い命は失われてしまったのですから、表面的な原因解明で終わるのではなく、「なぜ?」を掘り下げ、働き方から抜本的に見直し再発防止に全力を尽くしていただきたいものです。

投稿者

新田 和代
新田 和代
株式会社ケンズプロ代表取締役/社会保険労務士/行政書士