日本ハム・伊藤大海が誹謗中傷の被害 侮辱メッセージを公開「選手も普通の人間」「絶対に許しません」(2023年9月10日デイリースポーツ)
https://www.daily.co.jp/baseball/2023/09/10/0016797477.shtml
球団には、選手を人権侵害から守り、救済するプロセスが必要です。
芸能人やスポーツ選手など、著名人に対する誹謗中傷は、国内外で深刻な社会問題となっています。
かつては「有名税」の一言で片付けられていましたが、SNSの普及により年々過熱し、著名人が自殺する最大要因の一つとなっている現代、毅然とした対応が求められます。
企業の社員、プロスポーツチームの選手に対する誹謗中傷に対しては、社員や選手が個人的に対応するのではなく、カスタマーハラスメントに準じて、企業として組織的に対応することが鉄則です。
予防策
対応方針を周知する
企業として、いわゆるカスタマーハラスメントを許さない方針、どのような行為を禁ずるのか、ハラスメントを受けた際にはどのような対応をするのか等、対応方針を明文化し、SNSを含むWebサイトや重要事項説明書、ポスターなどで周知します。
対応マニュアルを作成する
予防・発生時対応・発生後対応について、明文化し、社内に周知徹底します。
マニュアルがあることで、各々が独自のルールに基づいてバラバラに対応するのではなく、足並みを揃えて適切な対応を行うことができます。
- どのような場合に企業として対応するか
- どのような程度、頻度、事案の場合に法的措置を講ずるか
- 証拠押さえの流れ
- 相談窓口のシステム
- 予防・発生時対応の担当者・委員会等の体制
- 被害者ケアのシステム(治療・メンタルケア)、等
発生時対応
組織的に対応する
個人的な反論を控え、組織的に対応するのが鉄則です。
管理者が報告を受け、関係者からの聞き取り、証拠押さえ、行為者への通告などを行います。
また、顧問弁護士に相談し、企業として、警察への被害届や民事上の損害賠償請求など、法的措置を検討します。
個人として対応すると、思わぬところで被害が拡大したり、第三者同士の論争に飛び火したりして、収集がつかなくなることがあるためです。
毅然と対応する
法や判例に照らし、名誉毀損や脅迫等に該当すると判断した場合は、組織として毅然と法的に対応します。
「大事な顧客だから」「気にしなけば時間が解決する」など放置していると、加害行為がエスカレートするだけでなく、被害者や他の職員の会社に対する不信感が高まります。
顧客も大事ですが、最も優先すべきは、組織メンバーの人権です。
優先順位を誤ると、ジャニーズ事務所のような事態に陥ります。
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有名人であることを、人権を侵害されても仕方がないという理由にするのは間違っていると考えます。
芸能人にもスポーツ選手にも政治家にも、その人を大切に思う家族がいて、誰もが人生を懸命に生きていて、傷つけられれば傷つく心を持つ感情的な人間であるということを、忘れてはなりません。
自分にとっての正義が、誰かにとっての凶器となることがあります。
自己中心的な正義を振りかざした悪魔にはならないように、自制心を保たなければなりません。
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