ハラスメント

旭川医大の教員2人が上司からのパワハラで大学を提訴(NHK他)

旭川医科大学の教員2人が、上司などからパワーハラスメントを受け、その被害を学内の委員会に申し出たのに適切な審査がされず、精神的苦痛を受け給食を余儀なくされたとして、大学に慰謝料など合わせて660万円の支払いを求める訴えを起こした、とのことです。

複数の媒体が報じている記事の内容によりますと、

  • 原告は旭川医大に勤務する准教授と助教授の2名
  • パワハラを受けた時期は2019年から2020年にかけて
  • パワハラ行為者とされているのは上司である教授ら3人
  • 大学内のハラスメント防止対策委員会に被害を申し出たものの、委員会は加害者側の良い分に沿ってハラスメント不該当と一方的に結論づけた(被害の調査がずさんだった)
  • 被害者2人は抑うつ状態となり、病気休暇を余儀なくされた

<原告が主張しているパワハラ行為例>

  • 関与していない業務の責任を問われるという理不尽な理由で辞職を迫られた
  • 中傷する内容のメールを同じ部署の教員に一斉送信された、など

中傷メールの一斉送信

今般多く発生しているなという印象を持っているのが、中傷メールを社内外に一斉送信し「さらし者にする」というハラスメント行為です。
恥をかかせ、自尊心を傷つけるという精神的攻撃で被害者にとっては、一対一で中傷を受けるよりもさらに傷をえぐられる悪質な嫌がらせです。

メール送信でなくても、例えば他の労働者や顧客、取引先担当者等の面前で厳しく叱責するのも、同様に悪質で、被害者が精神疾患に至る危険性の高い行為です。

  • 一対一の指導より、大勢の面前での叱責や大勢への中傷メール一斉送信は一層ダメージが大きい
  • 周囲の職員・受信した職員への精神的攻撃にも該当し得る

被害の申し出があった際の対応について

被害の相談や申し出、目撃情報などが寄せられた場合、事業主(この場合はハラスメント防止対策委員会)は、委員会が主体となって、以下の対応を講じなければなりません。

  1. 事実関係を迅速かつ正確に確認
  2. 速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行う
  3. 行為者に対する措置を適正に行う
  4. 再発防止に向けた措置を講ずる

事実関係の確認においては、

  • 相談により発覚した場合には相談者及び行為者から聞き取り
  • 通報等により発覚した場合には情報提供者、被害者及び行為者から聞き取り
  • 当事者からの聞き取りのみでは確認できない場合には、目撃者や関係者等第三者からも聞き取り

を行います。

先入観を持たず、決めつけず、否定せず、最後まで話を聞き取ることが大切です。

当然、相談したこと・調査に協力したことを理由に不利益な取扱いをしてはいけませんが、今事案では、「被害者が希望しない部署への異動を命じられた」と訴えていますので、不利益な取扱いがあった可能性があります。

職場のハラスメントに関する相談が寄せられた場合は、たとえハラスメントが生じた事実が確認できなくても、これまでの防止対策に問題がなかったかどうか 再点検し、改めて周知を図ることが求められます。
旭川医大は本件以外にも人事上の紛争が続いていますので、事実がどうであれ、組織に大きな歪みが生じていることは明らかです。
人権啓発等の対策を講じる必要があると考えます。