更年期と仕事―みんなの理解と助け合いが大切

※本記事は、「顧問先従業員様配布用ニュースレター」で配信した内容を転載するものです。本記事の無断転載・盗用・二次利用は固く禁じます。

一般的に、45〜55歳頃になると、女性は卵巣機能の低下により女性ホルモンが減少し、「疲れやすい」「イライラする」「集中力が低下する」「何もしたくなくなる」「できたことができなくなる」等の更年期症状が出てくることがあります。

この世代は、責任ある立場に就いている方が多く、症状により十分な責任を果たせないことに負い目を感じ、離職してしまう女性も少なくありません。
社会で活躍する女性がやっと増えてきたのに、更年期の壁を越えられずに離職してしまうのは、本人や会社にとってはもちろんのこと、社会にとってもあまりにもったいないことです。

更年期は誰にでも訪れるものです。
男性にも更年期があると言われています。

職場全体で、理解し、備え、助け合い、一緒に乗り越えていくことを、当たり前にしていきましょう。

更年期のおもな症状

更年期症状は100種類くらいあると言われていますが、おもな症状は次のようなものです。

  • 血管運動症状(ほてり、のぼせ、発汗、冷えなど)
  • 精神症状(イライラ、不安、不眠、抑うつ、無気力)
  • 関節などの症状(腰痛、関節痛、肩こり)
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 動悸
  • 息切れ
  • 疲労感
  • 皮膚症状(乾燥、かゆみ、湿疹など)

(出典)厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修『ヘルスケアラボ』より

私も更年期症状?と思ったら

更年期世代で体調不良が続くときは、早めに婦人科で相談しましょう。
実は別の病気の症状という可能性もあります。
更年期症状だとわかれば、治療により改善できる可能性もあります。

仕事をしていると、睡眠障害や集中力低下等が、仕事の質に影響することがあります。
「私は何もできない。ダメな人間だ」と感じ始め、そのストレスが精神を追い詰め、離職を選択させることになるかもしれません。
治療を受けたり、休んだり、同じ境遇の方の話を聴いたりして、手探りでも5年間程度を乗り越えられれば、アフター更年期が待っています。
性格や体質、環境的な要因などが症状の現れ方に関係していることもあります。
更年期を、自分や生活を見つめ直したり、生きがいを見つけたりする人生のターニングポイントとポジティブに捉え、規則正しい生活をして、栄養をしっかりとり、生き生きと過ごすことも大切です。

更年期世代の女性は、企業にとってもチームにとっても貴重で重要な存在です。これまでもロールモデルとしてすでに多くの困難と闘ってきたことでしょう。少しくらいスピードを緩めて、後輩たちを頼り、甘えても良いはずです。辞める選択をする前に、周りを見渡せば誰かがきっと差し伸べてくれている手を、つかんでみてはいかがでしょうか。

職場の皆さんへ

女性の早期退職が多かった以前にはなかった、更年期症状の健康課題が突然職場に現れ始め、戸惑っているかもしれません。
「優秀だった先輩がミスばかり、なぜ?」
「最近たるんでいるようだ。組織のお荷物だ」
などと、苛立ったり不安になったりしていませんか?
まずは、年齢とともに人の身体は変化するということ、それは本人の意欲とは無関係に、誰にでも起こり得るということを、知っておいていただきたいです。

そして、職場としては、更年期についての基本的な情報を全従業員に共有すること。更年期症状による離職防止のための制度を整備し、安心して活用できる環境を整えることが重要です。更年期症状は、いつ起こるかわからないため、休暇の事前申請が難しいことがあります。「しんどい朝に休める」環境と制度をつくっておきましょう。
そのためには、日頃から業務をスリム化したり、業務情報を共有したり、連携体制を構築したりしておくことが大切です。
育児、介護、病気治療と、いろいろあるのはお互い様です。長い人生、広い世界で、奇跡的に巡り会えた尊い仲間たちです。自ら手を差し伸べ、助け合っていきましょう。

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。