ダイバーシティハラスメント

東京オリパラ組織委員会会長の失言を受けて

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言が波紋を呼んでいます。

性別に関する固定観念や、性別に基づく役割分担意識による差別や嫌がらせのことを、ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)と言います。

男性は論理的で決断力があり重要な業務を担う能力がある、家庭よりも仕事を優先すべきだ、
女性は感情的で嫉妬深く重要な業務を担う能力はなく、結婚が幸せの全てであり家事や育児に専念すべきである、
という固定観念で決めつけることから、ジェンダーハラスメントに該当する言動が生まれ、それにより受け手が不快感を抱いたり、就業環境を害されたり、昇進や教育の機会を奪われたりします。

大きくはセクハラに分類されていますが、セクハラのうち「性的」ではない言動はジェンハラに小分類されます。

性別に関する「思い込み」「先入観」「固定観念」からジェンダーハラスメントは生まれます。

上述のような「男性は」「女性は」という決めつけは、何ら根拠がなく全て的外れです。

生物学的には異なる性であっても、業務を遂行する上でその能力に差異はありません。
能力の高低も、性格も、価値観も、生き方も、性差ではなく「個人差」です。
「男らしさ」「女らしさ」「普通」等の物差しは無意味です。

「女性は」「男性は」という言葉はとりあえず使わないようにしましょう。
性別が主語になる国は、先進国では日本だけです。

企業においては、先入観を取り払い、一緒に働く仲間を性別で括るのではなく個人として尊重し理解することの必要性と大切さを、研修や冊子、ポスター等により皆様の会社でも意識啓発を図りましょう。
また、性別だけでなく、性的指向、年齢、障害の有無、人種、国籍、信仰等に関しても差別し誹謗中傷する言動を会社として禁ずる方針を明示しましょう。

ところで、この度の発言自体は不適切極まりないとは思いますが、発言した方を「老害」等の言葉で非難するのも「おじいさん」と呼ぶのもまた不適切であると考えます。

発言の内容は非難されて然るべきですが、発言した「人」の人格までを否定する資格を、私たちは持っていませんし、女性差別は許されず男性差別は許されるということはもちろんありません。

暴力に暴力で応戦する戦争と同じです。

思想も自由です。
いろいろな考え方の人がいて、考え方が理念や時代に適さないことはありますが、自分や多数派と異なる思想だからと「悪」と決めつけるのは、宗教戦争の根底にある怒りと同様に不条理です。
(好き嫌いはあるでしょうし、私的な領域でそれを論ずる分には問題ないのでしょうけれども。)

ただ、この「人」について責めるなら、オリンピック・パラリンピックというジェンダー平等が最大のテーマにもなっている国際大会のトップとしては、知識・認識・意識が不足していたということなのだと思います。

人ではなく、「立場」と、知識・認識・意識に基づく「言動」の問題です。

総理大臣時代から失言の多かった方です。
世界中が注目する世界最大イベントを取り仕切る職を任ずれば、世界中に失言が発せられることも容易に想像がつくわけで、適材適所であったかどうかは問われるべきです。

今回の発言は、多くの女性を傷つけたという感情論以上に、議論や意思決定の場に女性が参画することを阻害し女性を排除する、さらに発言や反論の機会を断ち切り男性のみに権利を付与するという、長年にわたり世界中が進めてきた男女共同参画のど真ん中に傷を付けた深刻な差別であると考えます。
女性の参政権がやっと認められた時代に逆戻りした感覚です。

これは、氏個人の問題ではなく、日本社会全体の問題であると考えます。
ジェンダーハラスメントは分単位で受けるものです、男性も女性も。
性別ではなく、個人として尊重され、平等が当たり前の社会になることを願い、活動を続けてまいります。