ホワイト企業認定制度に関する話題・見解専門家コラム過労死・労災防止策等「働き方」に関する話題・見解

病気の治療と仕事の両立

健康経営優良企業2021の認定要件にもなっている「病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み」についてご紹介します。

持病のある方もいれば、ある日突然病気になる方、加齢と共に少しずつ不調が増える方など病気との出会いは人により様々ですが、いずれにしても、人は誰しもいつかは病気になるものです。

つまり、病気の治療のため健康だった頃と同じようには働けなくなるということは、誰にでも起こり得ることで、従業員が病気になる都度、仕事に専念できないことを理由に排除することは、非人道的で人権への配慮不足になるだけでなく、優秀で大切な人材を次々に失うことにもなり、企業にとって大損失です。

企業には、治療しながら働くことを希望し、主治医にそれが可能と判断された従業員が、治療と仕事を両立できるよう、制度や環境を整備することが求められています。
それは、CSRでもあり、企業が存続するための危機管理の一つでもあります。

治療と仕事の両立については、厚生労働省が作成した『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』が参考資料となります。

【厚労省】事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000614130.pdf

以下、ガイドラインより抜粋。

治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項

(1)安全と健康の確保

治療と仕事の両立支援に際しては、就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。
従って、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。

(2)労働者本人による取組

治療と仕事の両立に当たっては、疾病を抱える労働者本人が、主治医の指示等に基づき、治療を受けること、服薬すること、適切な生活習慣を守ること等、治療や疾病の増悪防止について適切に取り組むことが重要である。

(3)労働者本人の申出

治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となること。なお、本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要である。

(4)治療と仕事の両立支援の特徴を踏まえた対応

治療と仕事の両立支援の対象者は、入院や通院、療養のための時間の確保等が必要になるだけでなく、疾病の症状や治療の副作用、障害等によって、労働者自身の業務遂行能力が一時的に低下する場合などがある。このため、育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となる。

(5)個別事例の特性に応じた配慮

症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに取るべき対応やその時期等は異なるものであり、個別事例の特性に応じた配慮が必要である。

(6)対象者、対応方法の明確化

事業場の状況に応じて、事業場内ルールを労使の理解を得て制定するなど、治療と仕事の両立支援の対象者、対応方法等を明確にしておくことが必要である。

(7)個人情報の保護

治療と仕事の両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する情報が必要となるが、これらの情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならない。
また、健康診断又は本人からの申出により事業者が把握した健康情報については、取り扱う者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要である。

(8)両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性

治療と仕事の両立支援を行うに当たっては、労働者本人以外にも、以下の関係者が必要に応じて連携することで、労働者本人の症状や業務内容に応じた、より適切な両立支援の実施が可能となる。
①事業場の関係者(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、労働組合、産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフ等)
②医療機関関係者(医師(主治医)、看護師、医療ソーシャルワーカー等)
③地域で事業者や労働者を支援する関係機関・関係者(産業保健総合支援センター、労災病院に併設する治療就労両立支援センター、保健所(保健師)、社会保険労務士等)

両立支援プラン/職場復帰支援プランの作成例
▲「両立支援プラン・職場復帰支援プランの作成例」は、厚労省のガイドラインに掲載されています。
【厚労省】事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000614130.pdf

両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)

(1)事業者による基本方針等の表明と労働者への周知

(2)研修等による両立支援に関する意識啓発

(3)相談窓口等の明確化

(4)両立支援に関する制度・体制等の整備

①休暇制度、勤務制度の整備

  • 時間単位の年次有給休暇
  • 傷病休暇・病気休暇
  • 時差出勤制度
  • 短時間勤務制度 ※育児、介護休業法に基づく短時間勤務制度とは別のもの
  • 在宅勤務(テレワーク)
  • 試し出勤制度

②労働者から支援を求める申出があった場合の対応手順、関係者の役割の整理

③関係者間の円滑な情報共有のための仕組みづくり

④両立支援に関する制度や体制の実効性の確保

⑤労使等の協力

両立支援の進め方

(1)両立支援の検討に必要な情報

①症状、治療の状況
・現在の症状
・入院や通院治療の必要性とその期間
・治療の内容、スケジュール
・通勤や業務遂行に影響を及ぼしうる症状や副作用の有無とその内容
②退院後又は通院治療中の就業継続の可否に関する意見
③望ましい就業上の措置に関する意見(避けるべき作業、時間外労働の可否、出張の可否等)
④その他配慮が必要な事項に関する意見(通院時間の確保や休憩場所の確保等)

(2)両立支援を必要とする労働者からの情報提供

(3)治療の状況等に関する必要に応じた主治医からの情報収集

(4)就業継続の可否、就業上の措置及び治療に対する配慮に関する産業医等の意見聴取

(5)休業措置、就業上の措置及び治療に対する配慮の検討と実施

①産業医等の意見を踏まえた検討
②入院等による休業を要さない場合の対応
(ア)「両立支援プラン」の策定
(イ)「両立支援プラン」等に基づく取組の実施とフォローアップ
(ウ)周囲の者への対応
③入院等による休業を要する場合の対応
(ア)休業開始前の対応
(イ)休業期間中のフォローアップ
(ウ)職場復帰の可否の判断
(エ)「職場復帰支援プラン」の策定
(オ)「職場復帰支援プラン」等に基づく取組の実施とフォローアップ
(カ)周囲の者への対応

特殊な場合の対応

(1)治療後の経過が悪い場合の対応
(2)障害が残る場合の対応
(3)疾病が再発した場合の対応

【厚労省】治療と仕事の両立支援ナビ
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/

【厚労省】中小企業シンポジウムのアーカイブ動画

当社からの提案〜両立支援の進め方

  1. 会社及び経営者が治療と仕事の両立支援に取り組む方針であることを、口頭、社内報、イントラネット、社内掲示ポスター等により社内に宣言、周知しましょう。
  2. 相談窓口を設置し(ハラスメント相談窓口と同一でも可)、1と同様に社内に周知しましょう。
  3. 社内の理解を得るため、病気は誰でもなり得るもので、助けるのはお互い様であることを1と同様に伝えましょう。
  4. 症状や治療の進め方は人により異なりますが、例として、両立支援の内容、ルール等を、通院の場合、入院の場合とに分けて示しておきましょう。
  5. 例示の際は、あくまで例であり、症状や治療の進め方、主治医の意向等により個別に対応する旨明示しておきましょう。
  6. 実際に相談があった場合、従業員から申し出があった場合には、まずは体調を気遣い、「お大事に」という気持ちと言葉で傾聴してあげてください。
  7. 対応の仕方がわからない場合は独断で動かず、本人の同意を得た上で関係機関と連携し判断することが大切です。
制度と環境の整備に取り組み、健康経営を進めましょう。
当社でもサポートを行っています。
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