道立江差高等看護学院、パワハラ問題

事案の概要

2021年春、北海道江差町の道立江差高等看護学院で、学生が複数の教員から暴言をはかれたり、指導を受けられないなどのパワーハラスメント(パワハラ)を受けたとして、学生や保護者らが北海道に改善を求める要望書を提出しました。
学生や卒業生らによりますと、教員らからのパワハラは少なくとも10年ほど前から続いていて、同学院ではすでにパワハラに伴う多数の休学者・退学者がいるということです。

その後の経緯

多数の報道をまとめますと、その後の経緯は以下のようになります。

  • 2021年4月6日、保護者らが結成した「父母の会」が、学院を管轄する道に説明を求めた。
  • 2021年4月7日、道はパワハラを認定しない方針を説明会で示した。
  • 2021年10月、道の第三者調査委員会は、紋別高等看護学院も含め計52件のパワハラを認定した。
  • 2022年3月29日、加害教員として認定された11人のうち、10人を懲戒処分とした。
    • 当時の副学長は6か月間の停職処分
    • 45歳から62歳の男女9人の教員に対しては、1人が減給3か月、4人ずつが減給1か月と戒告
    • 1人は2018年にすでに退職(処分なし)

パワハラ行為の内容(一例)

朝日新聞他、各社の取材によると、以下のような指導の拒否や暴言などがあったといいます。
教師らの対応を見ていた学院の関係者は「やり方が陰湿で、指導というよりいじめにしか見えなかった。学生たちが気の毒だった」と話しているそうです。

  • 教師から出された課題について、教師に指導を仰ぎに行っても教えてもらえなかったり、不在だったりした
  • 教師による口頭での指導がなく、自力で完成させて提出しても、下線に解読不能な文字で殴り書きされるか×印が書かれるだけで、突き放すような『添削』が返ってくるだけ
  • 知人との金銭トラブルをめぐり学院から訓告処分を受け始末書を書かされた学生は、理不尽な難癖を付けられ嫌がらせのように何度も書き直しを指示され、最終的に受理してもらうまで3か月以上もかかった
  • 点数の低い科目の「再試験願い」の提出期限を5分ほど遅れただけで、時間切れを理由に再試験が認められず、単位を落として留年が決まった(提出が遅れたのは、反省文の作成に時間がかかたり、担当教師が別の学生を指導していて担当してもらえなかったことが重なったため)
  • この学生の両親は、教師側から「指導を受けるのが嫌みたいで、(学生が)反省文も出さずに逃げ回っていた」などと説明され、「始末書が完成しないと強制退学になる。どうせ留年するのだから、取得した単位を持って他の学校に移ったら?」と自主退学を促された
  • 「人間性を疑う」「あなたに教えることはない」などの暴言をはかれた学生は精神的苦痛を理由に退学した
  • 2019年、男子学生が自宅で自殺。遺族が第三者委員会での調査を要望し、2021年11月、当時の学院長が教員によるハラスメントの存在を認め、謝罪した

道が示した再発防止策

2021年12月20日、道は、再発防止のため道学院の運営体制を見直すことを発表した。

  • 学院長が道の業務と兼務だったために副学院長1人に権限が集中した体制を改め、学院長を専任にし副学院長への権限集中を回避するとともに、副学院長を2人とし権限の分散化を図る。
  • 学院長を専任とする。
    • 新たに学院長に任命されたのは、保健師有資格者の石谷地域保健課課長補佐。学院運営全般の意思決定のほか、ハラスメント防止や教員の再教育に取り組む。
  • 副学院長を、教務担当と事務担当の2人体制とする。
    • 事務担当の副学院長は、2022年に新設する地域や保護者らでつくる協議会の運営にあたるほか、有識者による「学院運営アドバイザー」と連携し、適正化の取組をサポートする。
  • 今後、ハラスメントの相談体制の構築など具体的な再発防止策を早急に講じる予定。

(出典)