陸自元隊員3人、有罪判決。女性はタンバリンじゃない

2021年、当時部下だった女性隊員にわいせつな行為をしたとして、当時の上司で陸自隊員だった男性3人が強制わいせつ罪に問われ、3人とも無罪を主張していた事件の裁判で、有罪判決が言い渡されました。

裁判長は、「裁判での五ノ井さんの証言は、宴会に同席したほかの上司らの証言と一致していて信用できる。ほかの上司らの証言も覆い被さるなどの核心部分が一致していて整合性があり、3人の行為は性行為を思わせるものだ」として、行為の事実とわいせつ性を認定したうえで、「被害者が断りにくいなかで性行為のまねごとをするという、人格を無視し、被害者をその場を盛り上げるものとして扱う卑劣で悪質な犯行だが、3人はすでに免職の処分を受けた」などとして、3人全員に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

行為者の多くは言います、「場を盛り上げるためだった」「和ませようと思って」「相手の緊張を解いてあげたくて」と。
しかし実際には、盛り上がっているのも和んでいるのも行為者本人だけで、相手や周囲は盛り上がっていない、むしろ不快であることが大半です。
「いやいや皆笑っていた」と行為者は反論しますが、周囲が空気を読んで笑ってくれているだけで、本当はその笑顔は「苦笑い」「呆れ笑い」「愛想笑い」なのです。
周りは空気を読んでいても、行為者が空気も表情も読めていない、だから自分の不適切性を認識できないまま「皆喜んでいる!もっと盛り上げよう!」と行為をエスカレートさせて、気づいたときには「加害者」になっていた…そんなケースが多いのです。

女性はタンバリンじゃない

本件では、裁判長が「被害者をその場を盛り上げるものとして扱う卑劣で悪質な犯行」と断言しました。
男性3人は、「盛り上げるためだった」から悪質ではないと主張していたわけですが、その考え方こそが、人権侵害です。
盛り上げるための道具、物として、人を扱ったということ。

「盛り上げるためという動機ならば犯行が正当化される」国なんて…怖くて暮らせません。想像もしたくありません。

人を物扱い、タンバリン扱い(近頃は「タンブリン」と言うそうですが)することを正義と思い込んでいる文化を改革しなければ、これからも同じ場所で同じことが繰り返されるでしょう。

部下であれ年下であれ、人は誰もが誰かの大切な家族であり、感情もプライドも持つ人間なのだということ。
上司と部下の関係性は、他人と他人の、大人と大人の、仕事上の関係性であり、家族や主従関係ではないということ。
ハラスメントの枠を超えた、人権教育を、この組織では強化すべきです。

投稿者

新田 和代
新田 和代
株式会社ケンズプロ代表取締役/社会保険労務士/行政書士