3月8日は「国際女性デー」〜進んでいますか?ダイバーシティ

3月8日は、女性の地位向上と平等を目指して行動する「国際女性デー」。イタリアではこの日に男性から女性にミモザを贈る風習があることにちなみ、日本でもあちらこちらにミモザが見られます。

政府は、東京証券取引所プライム市場の上場企業について、2030年までに女性役員の比率を30%以上とする目標を掲げています。
上場企業以外も、女性も活躍できる体制や環境を整えることで、経営力向上等様々なメリットを享受することができます。

女性社員・役員・管理職が増えるメリット

女性役員や管理職比率の目標値が掲げられると、「数だけ増やしても無意味」「実力で選ぶべき」などと否定的な意見が散見されます。

能力を完全に無視して性別のみで選ぶことは、無意味あるいは逆効果になり得ますが、組織に従来と異なる属性の視点や価値観が入るだけでも、イノベーションが生まれやすくなることも確かです。男性一色の組織では、目線や価値観、発想が偏ることは否めないでしょう。

組織、特に意思決定の場に女性の視点が加わることで、女性社員や女性求職者にとっても働きやすい、長く働き続けたい、昇進しやすい職場をつくりやすくなります。
その職場では、真に優秀な人材が、恐れや諦めを抱くことなく実力を存分に発揮できるため、企業は持続的に成長できます。

女性の活躍が進まない背景

保守的な日本組織は、あらゆる面で新しい風を避けようとする傾向があります。
女性を対等な働き手として迎え入れることへの抵抗感、ゆえに進まない制度設計と両立支援、ゆえに増えないロールモデル…という悪循環に陥っています。

  • 職場の理解・認識不足(★役割分担意識がある)
  • 年功序列型昇進制度と女性のライフ設計とが合わない
  • 結婚・妊娠・出産・育児が退職のきっかけになる
  • 昇進に対する意識やイメージが低く、昇進を望まない女性が多い(★)
  • ロールモデルがいない、等

★仕事を配分する上司に役割分担意識やジェンダーバイアスがあると、女性は能力発揮や昇進の意欲と機会を失います。

  • 性別の区別なく経験や機会が提供されなければ、能力や可能性の拡大機会を失う
  • 転居を伴う異動は不可であると企業が勝手に配慮し、職域拡大や昇進の機会を失う
  • キャリアの中断が少ない男性に合わせた基準では長期的キャリア展望を描けず、キャリア志向の強い女性は早期に見切りをつけて転職する、等

★女性や若年層を中心に、「出世したくない」派が増えています。
その理由は、

  • ストレスが増えるから
  • 責任が重くなるから
  • ワークライフバランスが難しくなるから
  • マネジメント力に自信がないから

等となっています。

陥りがちな女性活躍推進策の失敗

女性のマネジメントに不慣れで、女性がいることを前提としていない制度・体制・環境の組織は、誤った推進策で失敗に終わることがあります。
例えば、こんなことはありませんか?

  • 女性活躍推進=育児中の女性のみを支援すること、と考える
  • 女性活躍推進=女性を優遇すること、と考える
  • 女性活躍推進=女性もモーレツ社員の働き方をすべし、と考える
  • 女性活躍推進=女性比率の数字を上げることがゴール、と考える

これでは、社内の反発や分断を生み、女性が肩身の狭い思いをしたり、私生活を犠牲にして無理をせざるを得なくなったりして、結局女性の離職を招きます。

組織や管理職に求められること

(1)両性の本質的違いを尊重しつつ、対等・公平にマネジメントする

■配慮を超えた過剰な特別扱いはしない

女性に高難度・重責任の業務を任せるのは気の毒という過剰な配慮や素人扱いは、働きがいや実力を発揮し評価を得る機会を女性から奪い、プライドを傷つけることになります。女性にもプロフェッショナルとしての仕事ぶりを求め、積極的にその機会を提供しましょう。

■モーレツ戦士を基準とした評価基準・昇進条件を見直す

仕事一筋、育休どころか年休さえも取らず残業も厭わない「勤勉そうな社員」を主観で高評価するのではなく、時間あたりの生産性を高め真に質の高い業務で成果を出したり成長したりした社員を絶対評価する方針に転換しましょう。

■急激で過剰な期待で圧力をかけない

希少価値の高い女性が入職すると、過度に持ち上げ、「女性ならではの視点」を求め、「女性初」の様々なポストを与えるというのでは、女性はプレッシャーに潰されてしまいます。妬みの目線も気になり、肩身が狭くなります。対話を重ね不安を取り除きながら、組織全体の意識改革と同時進行で、焦らず進めましょう。

■多様なニーズを汲み取り、柔軟に細やかなフォローを

性別に関わらず、働くことにもキャリアアップすることにも不安はつきものです。特に女性の人生観やキャリアは多様です。面談を重ねニーズを汲み取るとともに、情報提供、承認、制度や体制づくりを重ね、心理的安全性を高める工夫が必要です。

(2)女性の働きやすさと働きがい

  • 両立支援制度(育児・介護)の整備と利用促進
  • キャリア面談の実施
  • 公正な人事評価制度の整備と実施
  • 女性特有の事情に配慮した福利厚生制度の拡充
  • 利用しやすい相談窓口の整備
  • メンターの設定
  • ロールモデルの育成、等

(3)男性・管理職の意識改革・働き方改革

  • 「残業時間の長さ=熱意」という指標の撤廃
  • 管理職の処遇改善
  • 管理職の負担軽減(マネジメント業務に集中)
  • 両立支援制度の男性の利用促進
  • ハラスメント防止策の実施
  • ジェンダー教育の実施
  • 人材育成・コミュ力向上教育の実施
  • 評価能力向上教育の実施
  • フォロー社員をフォロー&評価する、等

管理職になったら寝食を忘れて「モーレツ」に働かなければならない、という働き方のままでは、「管理職になると忙しくなるのに残業代は出なくなる。管理職になるのは損だ」「上司がみんなクタクタだ」と、出世にネガティブなイメージが定着し、女性も若者も管理職になりたいとは思いません。女性の活躍を推進するためには、男性を含む現在の管理職の働き方改革が不可欠です。
管理職がいきいき働いている姿を見せることが大切です。

えるぼし認定を受けましょう

女性活躍推進法に基づく一般事業主⾏動計画の策定・届出を⾏った事業主のうち、⼥性の活躍推進に関する状況が優良である事業主は、都道府県労働局への申請により、厚⽣労働大臣の認定を受けることができます。
認定を受けた事業主は、厚⽣労働大臣が定める認定マークを商品や広告等に付すことができ、⼥性活躍推進企業であることをPRすることができます。
当社では、企業様の「えるぼし」や「くるみん」認定を支援しています。ご相談ください。

<厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。