建設業界では長年にわたり担い手不足が課題となっています。
多くの企業が求人媒体への掲載や採用サイトの整備に力を入れていますが、「応募が来ない」「採用しても定着しない」という悩みは依然として続いています。
その背景には、求職者の価値観の変化があります。
かつては「給与」「休日」「会社規模」が主な判断材料でした。しかし現在の若手求職者は、それ以上に「どのような職場で、どのように働き、どのように成長できるのか」を見ています。
つまり、求人広告は募集要項を並べる場ではなく、自社で働く未来を伝える場へと変わっているのです。
求人広告で最も伝えてはいけないこと
建設業の求人でよく見かけるのが、
- アットホームな職場です
- やりがいがあります
- 未経験歓迎
- 資格取得支援あり
といった表現です。
もちろん間違いではありません。
しかし、これらはほとんどの企業が同じことを書いています。
求職者から見ると違いが分かりません。
また、「アットホーム」という言葉からは、むしろ距離感の近すぎる職場や古い人間関係を想像する人もいます。
企業側が伝えたいことではなく、求職者が知りたいことを書く必要があります。
若手が本当に知りたいこと
現在の求職者が見ているポイントは驚くほど共通しています。
① どんな上司がいるのか
給与よりも上司を見ていると言っても過言ではありません。
- 怒鳴られないか
- 質問できるか
- 育ててもらえるか
は非常に重要です。
求人広告には、
「入社後の教育体制」
「若手育成の考え方」
「先輩社員の声」
などを積極的に掲載することが有効です。
② 安全に働けるか
建設業に興味はあっても、
「危険そう」
「厳しそう」
というイメージを持つ人は少なくありません。
だからこそ、
- 安全への取り組み
- ヒヤリハット共有
- 現場教育
- 健康管理
などを具体的に示すことが重要です。
③ 長く働けるか
若手は終身雇用を期待していません。
しかし、「長く働けそうな会社か」は見ています。
例えば、
- 平均勤続年数
- 若手管理職の存在
- 女性技術者の活躍
- 育児との両立
などは有効な情報です。
④ 成長できるか
給与よりも成長機会を重視する人も増えています。
- どんな資格が取れるのか
- どんな仕事を任されるのか
- 将来どんなキャリアがあるのか
を示すことで応募率は変わります。
求人広告で伝えるべき五つのテーマ
建設業の求人広告には、次の五つを必ず盛り込むことをお勧めします。
1. 社会に残る仕事であること
建設業は、地図に残る仕事です。
完成した橋や道路、建物が地域を支え続けます。
その誇りを伝えましょう。
2. 人を育てる会社であること
教育や育成への考え方を明確に示しましょう。
3. 安全を大切にしていること
安全文化は企業の信頼そのものです。
4. 若手が活躍していること
若手社員の実例は最も強い説得力を持ちます。
5. 働く人を大切にしていること
制度ではなく実際の取り組みを伝えることが重要です。
「誰を採るか」より「誰に選ばれるか」
担い手不足時代において、企業が考えるべきことは「どうやって採用するか」ではありません。
「なぜ自社が選ばれるのか」です。
求職者は企業の広告だけでなく、ホームページ、SNS、口コミ、社員の表情まで見ています。
だからこそ、採用ブランディングとは広告づくりではなく組織づくりでもあります。
管理職が育ち、若手が成長し、安全に働ける職場は、自然と人が集まります。
建設業の担い手確保の出発点は、求人票の改善ではなく、働きたくなる組織をつくることにあるのです。
投稿者
- ケンズプロは、ハラスメント等心理社会的リスクを管理し、健康的な心理社会的職場環境を実現するための組織ガバナンス設計・実装支援ファームです。

