DE&I
Diversity
多様性。
多様な性別、年齢、人種、国籍、宗教、性自認、性的指向、教育、価値観、文化、社会的身分等を尊重するということです。
Equity
公平性。
多様な属性や事情を持つ人々が、望む、又は必要とする機会や情報にアクセスでき、また、望む、又は必要とする支援を受けられるということです。
平等は、すべての人に等しく権利や支援を与えることであるのに対し、公平は、一人ひとりの事情や希望に合わせて与えるという違いがあります。
例えば、全員に10個アメをあげるのが平等、Aさんは「3個欲しい」というから3個、Bさんは「10個欲しい」というから10個、と一人ひとりの求めに合わせてあげるのが公平です。
Inclusion
包括性。
多様な個人や団体が受け入れられ、尊重され、ありのままに存在し、表現し、力を発揮できている状態です。
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つまり、多様性豊かな人々が、組織や社会で受け入れられ、安心して暮らし、働き、人生を謳歌できる状態が、DE&Iです。
DE&Iを組織に取り入れることは、硬直化している組織に多様な視点や発想が取り入れられ、柔軟性と活力が生まれ、イノベーションが起こりやすくなるということです。
多様な目線を取り入れる
これまで、社会や企業には、「障害のない日本人の中年男性(以下、「一般男性」という。)」の目線しかありませんでした。
人口の半分は女性なのに、男性目線でのみ社会が動かされてきたのですから、あまりに多くのことが見落とされてきたのは明らかです。
職場のあり方も、一般男性の目線で作られたルールで考えられてきました。
- 残業ありきの働き方
- 冷房の設定温度が低い
- トイレや水回りが清潔でない
- 性的冗談が飛び交う
- 床に物が散乱している
- 通路が狭い・段差が多い
- 安全標識が見えづらい
- 育児・介護は女性のみ
- 早口、等
しかしこれでは、困る人がいます。
- 育児や介護、勉強や趣味の時間を確保したい若年層や女性は、残業ありきの働き方にはマッチしません。
- 女性や、冷房が苦手な人は、オフィスの冷房で体調を崩します。
- 性的冗談が飛び交う「男子校のノリ」が苦手な女性、若年層は多いです。
- 床に物があったりバリアフリーになっていないと、高齢者や身体障害者が不自由を感じます。
- 難しい日本語や早口で話されると、外国人は聞き取れません。
これらを、目線を変えることで、改革しましょう。
多様な目線を取り入れ、多様な人材が働きやすい環境を整備することは、人材の質と量の確保を課題とする企業にとって、特効薬となります。
女性目線を取り入れたスウェーデンの例
スウェーデンでは、街づくりやスポーツへの女性参画が進められてきました。
心理的恐怖心を与えるトンネルやバス停を明るく開放的にしたり、女性のスポーツ施設利用を促進したり、保育園や学校、病院、歩道など女性や子どもたちが利用する場所を優先的に除雪するようにしたり。
スポーツ施設利用の促進は、女性のスポーツ人口増加、そしてメンタルヘルスや学力の向上につながりました。
除雪の効果は、転倒事故による医療費削減という経済的効果を生みました。
スウェーデンを始めとする北欧諸国は、男女平等、男女共同参画の聖地です。
現在では、家事・育児は男性も当たり前のように担うようになっています。
その効果でしょうか、労働生産性の国際比較では常に上位を占めています。
対して日本は最下位です。
国際社会の中で、日本はポツンと置いてきぼりになっています。
この30年間何も変わらなかった日本が、どんどん途上国に追い抜かれている日本が、本当に国際競争に勝つ気があるのであれば、今までと同じことをしていてはなりません。
よそはよそ、うちはうち、なんて悠長なことを言っている場合ではなく、今までの目線では駄目、新しい目線が必要なのです。
北欧の取組から学ぶべきことがたくさんあると考えます。
多様な目線を取り入れることも、その一つです。
(情報元)NHK「医療費ダウン、街も明るく! “男性目線”変えたスウェーデン」
https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic117.html
人は、既得権益を手放そうとしません。
男性優位、男性に有利な状況の変革に、男性たちが反発するのは自然なことです。
しかし、硬直化した日本社会、停滞した日本経済から今抜け出さなければ、困るのは男性たちも同じです。
持続可能な社会のために、自分以外の、社会を構成するあらゆる人々に目線を広げ、意思決定に多様性が取り入れられる構造を築くことへの、理解が進むことを願います。
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