近年、女性の起業が増加していますが、女性起業家は依然として多くの障壁に直面しています。
その中でも、セクハラ(性的嫌がらせ・性暴力)は、女性起業家のキャリアを妨げ、もって日本の経済成長を阻害する深刻な問題です。
女性起業家へのセクハラの実態
女性起業家は、投資家、取引先、顧客、従業員など、あらゆるステークホルダーからセクハラを受けることがあります。
特に、資金調達の場面では、投資家が権力を利用し、投資の見返りに性的関係や交際を強要するなど、女性起業家に不適切な要求をするケースがあります。
セクハラと資金・仕事を交換できると考えているのです。
また、異業種交流会等のイベントや業界の会合などでは、身体的接触や、発言によるハラスメントも頻繁に発生しています。
性的嫌がらせとは異なりますが、女性起業家を男性起業家よりも「世間知らず」「未熟者」「弱者」と決めつけて、以下のような振る舞いをする人も多いです。
- 事業のあり方や女性起業家の個性・思考等について、求めていないのに駄目出しをしたうえで、アドバイスをする(マンスプレイニング)
- 女性起業家の専門分野について、求めていないのに解説を始める(マンスプレイニング)
- 自身と異なる事業方針を否定し、非難したり侮辱的な発言をしたりする
- 起業時は応援していたが、優れた成果を上げ始めたり、自身よりも有力な人脈を得たりすると、急に敵視するようになる、等
女性起業家へのセクハラが起こる背景
- 男性の縄張り意識
- ”パトロン”への憧れ(パトロンになるのは”男らしくて格好いい”という思い込み)
- 女性は男性よりも無知・未熟という先入観
- 自身の経歴、実績、収入、資産、人脈、優位性を自慢したいという欲求
- 女性は経済的に自立的できていないため、お金を与えれば喜ぶという先入観、等
セクハラが女性起業家に与える影響
セクハラを受けた結果、女性起業家は精神的ストレスを増加させるだけでなく、何事もなければスムーズに進んだはずの資金調達や人脈構築、事業の成長も、思うように進められなくなります。
男性起業家の何倍もの障壁が立ちはだかり、それを越えられなかったり、心が折れて途中で断念せざるを得なくなったりします。
- 精神的ストレスの増大
- 資金調達の困難化
- 人脈拡大の困難化
- 事業成長の停滞
- 起業・経営意欲の低下
- 事業全体や一部の実現断念、等
女性起業家へのセクハラが社会に与える影響
市場には多様性が不可欠です。
多様な視点、多様なアイディアが、市場に動きをもたらし、成長させます。
女性起業家がセクハラによりキャリアを断念せざるを得ない環境では、偏りの弊害から脱却できず、市場は衰退の一途をたどります。
日本はこれからも、労働生産性ランキングは主要国中最下位であり続けるでしょう。
社会に求められる女性起業家へのセクハラ防止策
法的枠組みの強化
雇用される労働者だけでなく、起業家や個人事業主も、法の枠組みの中でハラスメントから適切に保護されるよう整備する必要があります。
支援団体による相談窓口整備
女性起業家や個人事業主を支援する団体や機関が、被害を受けた起業家からの相談に応じる窓口を整備します。
被害者は一人で抱え込むと、自己嫌悪に陥り、夢や目標の実現を断念してしまいます。
女性を見下す投資家等のために夢を諦めるなんて、あまりに不条理であるにも関わらずです。
支援団体が受け皿となり、セクハラやセクハラ加害者を遠ざけながらも実現できる方法・道を探るべきです。
教育と啓発活動
女性起業家に対し、セクハラを避ける術、セクハラに負けない思考と強さを育み、被害にあったときの対処法を身につけるための教育を。
投資家や支援者(女性起業家を支援する立場の人によるセクハラが多いため)に対し、ジェンダー平等やセクハラに関する教育を、実施します。
女性起業家の自衛策
- 夜・個室・アルコール・二人きり、のいずれか一つでも当てはまる誘いは断る
- 私的な支援は受けない
- 女性蔑視傾向の強い人は多い。真に受けず、受け流す、気にしない
- 身体的距離を保つ
- 振る舞い、服装等について、ビジネスマナーを守る
- 相手に敬意を持つことは大切。しかし媚びる、過度に持ち上げる、自分を卑下することはしない
- 私的・個人的な話をしない、聞かれても答えない
- 恋愛・結婚・性に関する話をしない、聞かれたり聞かされたりしたら、話題を変える
- 自分を軽視する者のために、自尊心や夢を失うなんてもったいない。信念を貫く強さを
- 被害の軽重に関わらず、何かあったときは、躊躇せず遠慮せず然るべき機関や人に相談する
おわりに
女性起業家が安心して安全に起業し、事業を展開できる社会を整えることは、経済市場の活性化や多様性に重要です。
女性起業家の生まれない国に、経済成長はありません。
政府、支援団体、企業、個人が連携して環境を整えること、その前提として、それぞれがジェンバーバイアスをリセットすること、男性優位のコミュニティが市場を支配する構造を解散することが必要です。
幾重にも立ちはだかる高くて分厚い壁を乗り越え、男性の縄張りに遠慮することなく、強い信念でビジョンを実現する女性起業家を、江kンズプロは応援しています。
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