レイシャルハラスメント 
(外国人労働者に対するハラスメント)

外国人材の育成とハラスメント防止

外国人労働者の受入れが進み、人種・国籍・母国語・文化等の多様化が進む中、その多様性を尊重せず不当な差別や嫌がらせをする事案が絶えません。
日本は経済的には先進国ですが、ダイバーシティは諸外国と比べ遅れています。
これからますます働く人の多様化が加速することが見込まれる中、外国人労働者も日本人労働者と同じように尊重され、均等な待遇が保障され、活躍できる社会の形成が期待されます。

当社は、他のハラスメント(パワハラやセクハラ、ジェンハラ等)と同様に、レイシャル(=人権の)ハラスメント(差別・嫌がらせ)の防止策・発生時対応・再発防止策等を支援いたします。

外国人材の雇用・育成の現場で生じている摩擦等の例

  • (日本人)最初は話しかけたり会議に参加させたりしていたが、言葉の壁や文化の違いが次第にブレーキとなり、コミュニケーションを控えるようになった。
  • (日本人)どのように接すれば失礼に当たらず、指示を理解してもらえて、楽しく働いてもらえるのかがわからないし、それを本人に聞いて良いのかもわからない。
  • (日本人)管理職の中には、「郷に入っては郷に従え」という考え方の者もいて、異文化の尊重を呼びかけるのが難しい。
  • (外国人)職場の人たちが、自分と目を合わせないようにしたり、話しかけられないように壁を作ったりしていると感じる。
  • (外国人)「見て覚えろ」「空気を読め」という風潮で、曖昧な指示が多く、何をどうすれば良いのかわからない。
  • (外国人)自分は日本語が得意ではないため、質問しづらく、質問すると怪訝な顔をされるため自己判断で仕事をすると、「なぜ聞かない」「勝手なことをするな」と言われる。
  • (外国人)日本人は丁寧で、遠慮深く、勤勉で、笑顔を大切にする。自分の国では、謝らない、頑張らない、愛想を振りまかない、が当たり前のため、文化の違いに戸惑うが、そんな日本の文化が好きだ。

外国人材へのハラスメントの例

上記のような軋轢が大きくなると、ハラスメントや人種差別、暴力等に発展します。

  • 「その外見で英語話せないの?」と侮辱する。
  • 「中国人はお金に汚いよね」「インド人は毎日カレー?」「韓国人なら辛いもの好きでしょ」等と固定観念や先入観に基づく発言をする。
  • 「外国人なのに丁寧でちゃんとしているね」と発言する
  • 「あの国の人?仲良くできないね」と拒絶する。
  • 「言葉が通じないなら体で覚えさせる」と言って暴力的に指導する。
  • 故意に難しい日本語を使う。
  • 「国に帰れ」と言う。
  • 「ガイジン」と言う。
  • 「アメリカ人なら性にオープンでしょう」と言ってセクハラをする。(実際は逆。欧米ではセクハラは厳しく罰せられる)
  • 「黒い人」「日サロ行き過ぎ」「顔色悪いよ」等肌の色を揶揄する。
  • 「外国人は信用できない」と言い重要な業務や情報共有の機会から遠ざける。
  • 宗教上の儀式や慣習を揶揄する。

課題

以上のような様々な課題は、次のようにまとめられます。

  • 日本と外国では、ルール、文化、ビジネスマナー、価値観等が異なるということ、どのように異なるのかということが理解されていない。
  • 言語の壁や文化の違いがあることを理解しているがゆえに、コミュニケーションが億劫になり、避けられるものなら避けてしまう。
  • 日本人でも外国人でも、「丁寧な指導」が必要であることは共通しているのに、外国人の理解が遅いと「外国人だから」と決めつけ、差別する。

日本の常識が世界の常識ではない

国にもよりますが、例えば諸外国では、以下のような文化・習慣が多く見られます。

  • 長期休暇が付与される。
  • 家族との時間や私生活を大事にする。
  • 入社直後から「専門職」であり「下積み」という感覚がない。
  • スペシャリストでありジェネラリストではない。
  • 欧米では、上司と部下はフラットでフランクな関係を構築する。
  • 飲食をしながらのミーティングが一般的。
  • 謝罪=非を認めること、であるため、謝罪には消極的。
  • 日本人と比較すると、自己主張に躊躇いがなく、希望する配置や処遇を積極的にアピールする。
  • 男女は平等で公平であり、女性が働くことも管理職になることもトップに立つことも奇異な目で見られない。
  • YES/NOが明瞭で、「ほどほどに」「適当に」「普通」という曖昧さは受け入れられない。
  • 良し悪しのルールは具体的に明示する。「常識的に考えろ」「普通わかるだろう」「察しろ」と曖昧にしない。
  • 日本ほど「譲り合い」「利他の精神」が強い国は多くない。
  • セクハラやジェンハラは許容されない。
  • 宗教(信仰)が重視される。

外国人材の育成・定着

ここからは、厚生労働省発行(株式会社富士通総研受託事業、平成25年)『高度外国人材活用のための実践マニュアル』を参考資料として、外国人材の育成とハラスメント防止のポイントをご紹介します。

コミュニケーション

情報伝達

日本語理解が難しいからと、配慮のつもりで情報伝達を最小限にしたり、会議や議論に参加させなかったり、連絡網から除外したりするのではなく、日本人材に対するのと同じように伝達するか、日本語能力が不十分だからこそ、より丁寧に説明したり、発言時間を十分に取ったり、会議後に補足説明したりするなどのサポートをすることが重要です。
差別的にならず、配慮することにより返って疎外感や居心地の悪さを感じることのないような「配慮」を心がけます。

指導

日本人材か外国人材かを問わず、指示・指導・叱責は、心情的にも技術的にも苦悩を伴うものです。
言語、文化、習慣の異なる外国人材であれば、一層難易度が増します。
最初から匙を投げるのではなく、まずは手探りで、伝わる伝え方、外国人の表現方法、適切な距離感、パーソナルスペース等を、少しずつ理解していきます。
理解し、許容するか、彼らが日本企業でうまく立ち回るために対応が必要な場合は、彼らのために、「日本でうまくやるコツ」を教えてあげると良いでしょう。

  • 曖昧な指示・指導では伝わらない。明確な言葉で直接的かつ具体的に、5W1Hの要素を漏らさず伝え切る。これは日本人材への指示・指導においても重要。
  • 「YES」「NO」を明確に伝える。
  • 日本以外の多くの国では、「謝罪=非を認めること」。国によっては「謝罪=恥」。謝らないことを頭ごなしに責めず、理解するか、「日本で人間関係を円滑にするためのコツ」として教えてあげる。
  • 飲食をしながら打ち合わせに参加したり、上司や先輩に対し友達のように接することは、国によっては一般的な習慣であることを理解する。
  • 仕事、家族、宗教、国家・・・物事の優先順位は、国によっても個人によっても異なることを理解する。

サポート体制

研修

日本語習得のための支援

私たち日本人にとって「ビジネス英会話」が難しいように、外国人材にとっても、ビジネスで使う日本語は難しいものであることを理解し、日本語習得のため支援しましょう。

  • 社内の日本人が交代で講師を務め、日本語研修を定期的に実施する。
  • 外部機関を活用して、日本語研修を行う。

日本の習慣・マナーに関する研修

言葉だけでなく、習慣・文化の違いに不安や戸惑い、息苦しさを感じ、離職したり、心の健康を害したりするケースがあります。
双方向の密なコミュニケーションにより、一つひとつクリアしていく「丁寧さ」と「根気」が必要です。

  • 日本の生活習慣や、日常マナー、ビジネスマナー等に関する研修を実施する。
  • 又は、OJTの中で教える。最初は失礼や失敗があっても、それを責めず、学びとして身につけてもらう。

メンター制度

多数の日本人の中に少数の外国人が入るのですから、どうしても疎外感を抱くものです。
そこで、いつでも相談できる近しい先輩=メンター役を付けて、安心感と順応性を高めることが有効です。

住居の確保

外国人が日本で住居を探すのは、容易なことではありません。
不動産業者とのコミュニケーションの問題、保証人の問題、契約の問題、子どもの教育の問題等々、問題は山積みです。
それら山積みされた諸問題の解消を、手伝ってあげましょう。

定期面談

外国人材に限らず、社員の多くは、悩み・困りごとなどを抱えていて話したくても、話せないでいるものです。
「話したいなら話せばいい、拒絶はしていない」と日本人上司はおっしゃいますが、部下や外国人(特に疎外感を抱いている人)から話しかけるのは、容易なことでは有りません。
不安、不満、要望、疑問などを、面談という機会を設けることで、話し出しやすくします。
また、企業のビジョンや方針、ルール、決定事項などを、個別に丁寧に説明する機会でもあります。
双方向の対話の機会を、定期的に設けましょう。

  • 仕事や処遇、キャリア、日本での暮らしにおける不安、不満、困りごと、会社や上司、同僚等への要望などを聞き取る。
  • 日本と母国との文化や習慣、ビジネスマナー等の違いを教えてもらう。
  • 企業のビジョンや方針を伝える。
  • 自社のルールや文化に順応してもらいたいことがあるときは、その理由ともに5W1Hで丁寧に説明する。

評価・処遇

労働時間、給与、昇進・昇格、休暇付与、人事評価等において、日本人材との間に不合理な格差を設けてはならないのはもちろんのこと、外国人材が不公平感、不満、不安を抱かないよう、基準を明確にするとともに、丁寧に説明し納得してもらうことが大切です。

  • 関する基準を定め、明示する。
  • 面談にて個別に説明する。疑問点は質問してもらい、納得を得られるよう説明する。
  • 日本人との不合理な差を設けない。

ハラスメントの原因は、「丁寧不足」

外国人材に限らず、仕事の世界で生じるハラスメント問題の多くは、「丁寧不足」を最大要因の一つとしています。
丁寧に説明する
丁寧に聴く
丁寧に目を見る
丁寧に考える
丁寧に育てる
外国人材はマネジメントが難しいから関わりを最小限にする、のではなく、難しいからこそ丁寧に関わることが重要です。
それは、ハラスメントを防ぐというネガティブな動機だけでなく、多様な人材を立派に育て戦力として活用するというポジティブな目的のためにも欠かせません。

日本はダイバーシティの超後進国です。外国人だけでなく、女性の雇用も、障害者の雇用も、諸外国より遅れをとっています。
企業も日本経済も、ダイバーシティなくして発展はありません。
面倒なことから逃げずに、企業が生き抜くための必修科目と位置づけ、ダイバーシティマネジメントに取り組みましょう。

最新時事ニュース