外国人技能実習生の労働条件

平性22年7月1日に「出入国管理及び難民認定法(入管法)」が改正され、技能実習生は、入国1年目から労働基準法上の労働者として、労働基準関係法令の適用を受けることとなりました。

受け入れ方式と労働関係法令の適用

Ⅰ:団体監理型

受け入れ企業を会員とする商工会議所、事業協同組合などの受け入れ団体(監理団体)の責任と監理の下で技能実習生を受け入れる方式。
入国1年目の講習終了後、技能実習生は受け入れ企業で雇用契約に基づき労働者として働き、労働基準関係法令が適用されます。

Ⅱ:企業単独型

受け入れ企業が外国にある合弁会社、子会社などの常勤の職員を直接、技能実習生として受け入れる方式で、雇用契約に基づかない講習を実施する場合。
入国1年目の講習終了後、技能実習生は受け入れ企業で雇用契約に基づき労働者として働き、労働基準関係法令が適用されます。
受け入れ企業は、入国当初に講習を実施しなければなりません。

Ⅲ:企業単独型

受け入れ企業が外国にある合弁会社、子会社などの常勤の職員を直接、技能実習生として受け入れる方式で、雇用契約に基づいて講習を実施する場合。
入国時から(講習期間中も)、技能実習生は受け入れ企業で雇用契約に基づき労働者として働き、労働基準関係法令が適用されます。
受け入れ企業は、入国後1年以内(技能実習1号の期間中)に講習を実施しなければなりません。

労働条件について

労働条件の明示(労基法第15条)

労働者を雇い入れたときには、労働条件通知書を交付するなど、労働条件を明示しなければなりません。
交付する際は、母国語など技能実習生が理解できる方法で行います。
有期労働契約(契約期間の定めのある契約)の更新が必要な場合は、更新の際に、改めて労働条件を明示しなければなりません。

(厚生労働省)外国人労働者向けモデル労働条件通知書(R3/8)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/leaflet_kijun.html(中段)

賃金(労基法第24条)

賃金は、日本人と同様に、通貨で、受入企業から技能実習生に直接、その全額を、毎月1回以上、一定期日に支払わなければなりません。

「技能実習生の入管・在留管理に関する指針」(平成21年12月 法務省入国管理局公表)

  • 実費や食費を控除する額は実費を超えてはならない。
  • 実習終了時の帰国旅費や受け入れ団体が監理に要する費用を技能実習生に負担させてはならない。

寄宿舎(労基法第96条ほか)

技能実習生が、事業主等の用意した宿舎に居住し、共同生活(便所、炊事場、浴室などが共同で、一緒に食事をとる等)を行っている場合は寄宿舎に該当します。
マンションなどで各自の部屋(個室)が設けられ、各部屋に便所、炊事場、浴室などが備わっている場合(共同生活の実態がない場合は寄宿舎に該当しません。

(1)寄宿舎に居住する労働者の私生活の自由を侵害してはいけません。
以下は禁止されています。

  • 外出及び外泊について使用者の承認を受けさせること
  • 教育、娯楽その他の行事への参加を強制すること
  • 共同の利益を害する場合以外に面会の自由を制限すること

(2)寄宿舎規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。寄宿舎規則を変更したときも同様です。

  • 届け出には、寄宿舎に居住する労働者の過半数を代表する者の同意書の添付が必要です。

(3)技能実習生を含め労働者を10人以上使用している場合は、寄宿舎設置届が必要です。
(4)受け入れ企業は、寄宿舎の設備などについて、寄宿舎に居住する労働者の安全・衛生・風紀等を守るため、以下の措置を講じなければなりません。

  • 警報装置(火災など非常事態を居住者に知らせるもの)を設置すること
  • 消火設備を設置すること
  • 寝室を2階以上に設ける場合は避難階段等を設けること
  • 寝室に居住する者の氏名等を掲示すること など

その他も、基本的には日本人と同様

  • 時間外・休日・深夜割増賃金(労基法第37条)
  • 最低賃金(最低賃金法第4条)
  • 労働時間(労基法第32条、第34条、第35条ほか)
  • 年次有給休暇(労基法第39条ほか)
  • 中間搾取の禁止(労基法第6条)・・・受け入れ団体の役員等が、技能実習生の賃金を、団体名義の銀行口座や団体が管理する技能実習生名義の銀行口座に振り込ませ、これを引き出すなどして不当に利益を得るようなことは、中間搾取となり、禁止されています。
  • 強制貯蓄の禁止(労基法第18条)・・・技能実習生に対して、(技能実習生との合意があっても)労働契約に付随して貯蓄金を管理する契約(技能実習生名義の口座の通帳、印鑑を使用者が保管することを含む)をしてはいけません。
  • 賃金台帳の作成(労基法第108条ほか)
  • 解雇(労基法第20条、労契法第17条)
  • 就業規則(労基法第89条)
  • 安全衛生教育(安衛法第59条、安衛則第35、36条など)
  • 就業制限(安衛法第61条、安衛令第20条)
  • 健康診断の実施(安衛法第66条)
  • 労働災害が発生したときの対応

特に留意すべき点

  • 賃金等の不払い(賃金の不払い、割増賃金の不払い、最低賃金額未満の支払い等)は、入管法に基づく不正行為認定の対象とされ、入国管理局から「不正行為」を行ったと認定された監理団体や実習実施機関等は、技能実習生の受け入れが一定期間停止されます。
  • 雇用契約に基づく講習(上記Ⅲ)や、「入国当初の講習」(上記Ⅰ、Ⅱ)終了後に別の講習を義務付ける場合、その講習時間は労働時間となります。
  • 長時間にわたる時間外労働・休日労働により、労働時間が技能実習計画を大幅に上回っている場合には、入管法に基づく不正行為認定の対象となります。
  • 年次有給休暇の取得要件を計算する際は、雇用契約日から起算。技能実習生については、Ⅰ、Ⅱでは「講習」終了後、Ⅲでは入国時から起算します。
  • 有期労働契約により雇用されている技能実習生は、やむを得ない事由がない限り、契約期間内に解雇することはできません。技能実習制度の目的に鑑みても、技能実習の継続に最大限努力することが求められます。
  • 就業規則の内容は、技能実習生にも理解できるよう配慮が求められます。
  • 安全衛生教育は、技能実習生がその内容を理解できる方法で行うことが求められます。

外国人雇用状況の届け出について

受け入れ企業は、外国人(技能実習生)の雇い入れ・離職の際、その氏名、在留資格などを期限内にハローワークに届け出る必要があります。
届け出をしなかったり虚偽の届け出を行った場合、30万円以下の罰金を科せられることがあります。

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