加害者の損失
ハラスメントによる影響は、加害者にもブーメランのように返ってきます。
- 民事責任:不法行為責任(民法709条1)
- 刑事罰(名誉棄損、侮辱罪、脅迫罪、暴行罪、傷害罪等)
- 懲戒処分(就業規則による減給、降格、譴責、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇等)
- 報道やSNS等による個人情報の拡散、誹謗中傷
- 社会的信用や社会的地位の喪失
- 家族や関係者の個人情報拡散、家族や関係者への誹謗中傷
- 家庭崩壊
- 人間関係の破綻
加害者は、家族も、友人も、仕事も、財産も、名誉も…多くの大切なものを失うことになるでしょう。
加害者は、自分の言動がハラスメントに該当すると早期に気づくことが大切です。
そしてすぐに言動を改め、必要なときは潔く謝罪することです。
ハラスメントの加害者にならないために
モラルが大切です
- 他人を傷つけたり不快にさせたりすることをしない
- 自分がされて嫌なことは他人にもしない
- 口は堅く、心は広く
- 子どもに堂々と誇れる言動を
- 汝の隣人を愛せよ
そのための心がけ
- 部下や職場の仲間とのコミュニケーションを日ごろから大切にする。話しかけやすい関係・指導を受け入れられる信頼関係を築いておきましょう
- 陰口、悪口、妬み、否定、批判の言葉を慎みましょう。ネガティブなことばかりを言っていると、周囲から尊重されなくなります。
- 小さなことでも、相手の良いところ・評価すべき点を見つけ、「褒めること」を意識しましょう
- 万が一自分が同じことをされたら、不快ではありませんか?傷つきませんか?
- 万が一自分の大切な人が同じことをされたら、不快ではありませんか?許せますか?
- その言動、家族に見せられますか?子どもがマネしても問題ありませんか?
- その言動、録音・録画され公開されても大丈夫ですか?
- 若い頃、こんな上司にはならないぞ、と誓ったことを思い出してみましょう
パワハラの加害者にならないために
パワハラの被害者は、心身の健康を害するだけでなく、自死に至るケースも少なくありません。
加害者になれば、直接的ではなくても「人を死なせてしまった」という自責の念を、一生背負っていくことになります。
いっときの怒りや個人的感情のままに他者の尊厳を害する言動を行うことのないよう、常に気をつけていなければなりません。
- パワハラとは何か、他者はどのような言動を不快と感じるのかなど、意識を持って部下や同僚と接することが大切です
- 注意・指導・教育の際には、その目的を明確にし、その範疇を逸脱しないよう心がけましょう
- ミスや問題はその都度・そのときにのみ指導するようにし、後日まとめて注意したり、過去のミスを後々まで持ち出すことはしてはいけません
- 注意の際には相手にも十分な弁明の機会を与えましょう
- 公平性を維持しましょう
- 過度に執拗にならないよう注意しましょう
- 感情的になってはいけません
- 暴力は絶対に振るってはいけません
- 相手の人格を侵害する言動は慎みましょう
- 社員の能力・個性・性格・世代には差異があり、個人的事情もあるということを認め、尊重・理解しましょう
- ある程度部下を信頼し、過度に干渉・監視しすぎないようにしましょう
- 常に相手の立場・感情に配慮した言動を心がけましょう
- 指導記録を付けましょう
パワハラにならない指導法8つのポイント
1.罪を憎んで人を憎まず
- 「コト」を正す、人格や性格を否定しない
- 問題となる具体的な行動や内容に焦点を絞る
2.必要性・目的を明確に示す
目的は、問題の除去と再発防止等であり、相手の人格を否定し傷つけることではありません。
- 常に目的を意識して指導し、相手にも説明する
- 改善しないとどのような危険や不利益があるのか
3.冷静に・短時間で
- 感情的にならない、大声を出さない、しつこくしない
- 暴力厳禁!
4.タイムリーに
- 時間を置かない、後に引きずらない、蒸し返さない
- 1回1用件、できれば5分以内で
5.弁明に耳を傾ける
- 相手の言い分を封じ込めない
- 決めつけない
6.人前で叱らない
- 自尊心に配慮し、恥をかかせない
- 指導する場所・環境は大事
7.新人はできなくて当たり前
- やって欲しいことはやってと言う
- 知っていてほしいことは丁寧に教える
8.未来への提案を
- 過去への文句ではなく建設的な指導と提案を
- 最後に、どのように伝わったかを確認する
新人のうちはできなくて当たり前
育てるのはみんなのため。みんなの仕事
育てば自分も助かります。
育たなければ自分も困ります。
だから育てるのは自分とみんなのためです。
「オレは最初からできた」と自慢する方・・・本当にそうでしょうか?
先輩は密かに手を焼いていたのでは?優秀な先輩のおかげで大きくなったのでは?
誰もが最初は未熟で不慣れだったはずです。
部下・後輩の育成は子育てと同じです。
自分が親に育ててもらったように、今度は自分が子どもを育てるのです。
- 現場での教育係を複数名にし、みんなで協力し合って育てましょう
- メンターを定めましょう
- 強みを生かす仕事を与えましょう
- 成長するための知識・技術・材料・道具・チャンスを与えましょう
- 何を期待しているかを示しましょう
- 段階的に権限・裁量権を与えましょう
- 承認し、褒めましょう。正当に評価しましょう
- 気にかけ、声をかけましょう
- 信頼できる上司のいる職場でありましょう
- 仕事に対し「真剣」な職場でありましょう
カッとなりやすい人は
- まず、頭に血がのぼったら、深呼吸しましょう
- 温かいお茶を一口飲むとか、子どもの写真を見るとか、アロマの香りを嗅ぐなどして、心を鎮めるルーティンを行いましょう
- 鏡を見て、口角を上げましょう
- 自分が何に怒っているのか、何のために説教するのか、紙に書き出して整理してみましょう
- 目的を達成するためには何が最善か作戦を立て、粛々と実行しましょう
セクハラの加害者にならないために
私たちは性別を問わず誰しも、被害者にも加害者にもなり得ます。
まさか私が加害者に!?という悲劇を防ぐために、最も大事なのは、異性を対等な働き手として尊重することです。
- 性的言動・性的な冗談は慎みましょう
- 他者の身体には、必要性のない限り、指一本触れてはいけません
- 身体・容姿に関するコメントは控えましょう
- 異性を対等な働き手として尊重しましょう
- 職場に性的感情を持ち込んではいけません
- 相手に不快の意を示されたら、速やかにその行為をやめ、以後行わないようにしましょう
- 相手が不快感を明示してくれるとは限りません。我慢している可能性もあります。やはりとにかく職場に性的な感情を持ち込まないようにしましょう
- 他者のプライベートを詮索してはいけません
- できる限り異性と二人きりにはならないように気をつけましょう
- セミナーなどに積極的に参加し知識を深めておきましょう
セクハラは、「あなたを仕事のパートナーとして認めない。性的パートナーでしかない。」というメッセージであり、受け手にとっては屈辱です。
セクハラは人権侵害であり、暴力です。
共に働く仲間を、男性対女性と性別でくくるのではなく、一人ひとりを個人として尊重し、思いやりと敬意を持って協力し合う関係性を築きましょう。
ジェンハラの加害者にならないために
- 「男性は」「女性は」と性別を主語にした発言を控えましょう
- 性別ではなく個人を尊重しましょう
- 性別、年齢、家庭環境、学歴、門地、性自認等何においても先入観、固定観念を持ってはいけません
- また、何においても優劣を付けてはいけません
- 多様性を尊重しましょう
- あなたの常識は他人の非常識、かもしれません
ハラスメントの加害者と言われてしまったら
言動を改めましょう
言動が不適切であることを指摘されたときは、教えてくれたことに感謝し、素直に改めましょう。
突然の提訴や相手の自殺等により加害者自身が負う傷の大きさを考えると、重大な事件に発展する前に指摘してもらえることは、幸運の一言に尽きます。
謝りましょう
ついカッとなってしまったとき、相手が不快感を示したとき、第三者に注意されたときなどは、素直に謝りましょう。
状況を整理しましょう
自分の、いつ・どこで・誰に対して・なぜ行った・どのような言動に対して「加害行為」と指摘されているのか、状況を紙に書き出し整理しましょう。
もしも納得できない指摘や処分を受けた場合は、冷静に、書き出した記録を持って、反証しましょう。
会社が弁明の機会を与えてくれない場合や、事実と異なる判断をされた場合など、自分では解決できない場合は、弁護士等に相談しましょう。