男性へのセクハラ・ジェンハラ

セクシュアルハラスメントやジェンダーハラスメントの被害に遭うのは女性だけではありません。
男性や、LGBT当事者なども、被害者になっています。
LGBT当事者に関連する差別や偏見については別の記事で考察することとし、ここでは生物学的に男性に属する方々について取り上げます。

加害者は

男性へのハラスメントを「する側」になるのは、女性または男性、いずれもあり得ます。

  • 女性から男性へ
  • 男性から男性へ(同性間)

事例

当社に寄せられた被害情報の一部をご紹介します。

セクシュアルハラスメント

  • 挨拶としてお尻を触られる
  • 身体を触られる・手を握ったり腕を組んだりされる
  • 身体を触らされる
  • 露出の多い服で視界に入られる
  • 酒席やタクシーの中でキスを迫られる
  • 恋愛経験や現在の交際について質問される
  • 恋愛経験や現在の交際について言い触らされる
  • 性的魅力について他の男性と比較される
  • 裸踊りをさせられる
  • 行きたくないのにキャバクラや風俗店に連れて行かれる
  • 飲み屋で女性客をナンパしてこいと強要される
  • 回し飲みさせられたり、「味見させて」とコップを使われたりする
  • 猥談に付き合わされる
  • (セクハラを拒絶したら)女性に失礼じゃない?と非難される
  • 王様ゲームに参加させられる
Aさんの声
女性上司から好意を持たれていたようなんです。
きっかけは、今思えば、僕が上司のアクセサリーを「お似合いですね」と褒めたことだったような気がします。
当時は緊張していて何を話せば良いかわからず、勘違いさせるようなことを口走ってしまった僕が悪かったのですが・・・。
それから、書類を渡すときに手を触られたり、視線を感じたり、業務連絡でも顔を近づけてきたりするようになりました。
気にしないように振る舞っていたら、だんだんエスカレートしてきて、ハートマーク付きのLINEがプライベート時間に頻繁に送られるようになり、職場での飲み会の席で「酔っ払っちゃったー」と身体的なセクハラをしてくるようになりました。
ある日、(たぶん酔っていないのに)酔っ払った感じで「送って」と言われて、「方向が違うので」と断ったのですが、周りからも「冷たいなー」「男だろう」と押される感じで、結局タクシーに乗せられ、二人きりになると太ももを触ってきて、最終的にはキスまでしてきました。
なので僕は途中で降りて、別のタクシーで帰ったのですが・・・
今思い出しても気分が悪くなります。
結局、上司に話して、フロアの違う部署に異動させてもらいました。
とはいえ同じ社内で働いているので、今でも女性上司を避けるように動かなければならないのは大変です。

ジェンダーハラスメント

発言

  • 男のくせに
  • 男らしく
  • 男なんだから
  • 男なら残業しろ
  • イケメン
  • 男ばかりでむさ苦しい
  • (お茶を出したら)男が入れた茶なんてまずい、飲みたくない
Bさんの声
甘い物が好きでチョコレートやクッキーなどを職場でつまんでいることや、お弁当を手作りしていることで、よく「男のくせに」とか「女子力高いね」とからかわれていました。
あるとき、同僚や上司とのカフェでの打ち合わせの席で苺パフェを頼んだら、「女かっ」とからかわれました。
からかわれるところまでは想定内だったのですが、それからことあるごとにピンク色の文房具や苺柄のマスクなどを同僚や上司からプレゼントされたり、「苺ちゃん」と呼ばれたりするようになりました。
些細なことも、毎日のように続くと気が滅入ってきて、転職しようと考えています。

行為・指導・評価

  • 男性の方がノルマが厳しい
  • 同じことをしても女性は許されるが男性は許されない
  • 未婚男性は評価が低く転勤させられる(女性は異なる)
  • 男性は休憩室を使えない
  • 女性社員が集まっている休憩室で昼食をとろうとすると非難されたり睨まれたりする
  • ノルマを達成できなかった罰として坊主にさせられる
Cさんの声
うちの職場は、男性に厳しく、女性に優しく、という風潮があります。
レディーファーストが根付いているんです。
いただきもののお菓子は女性が優先的にもらい、男性は余り物が当たるか、数が少なければ当たりません。
食事をしたりテレビを観たりする休憩室は、女性がいるときは男性は使えません。
シフトを組むときも、女性に先に希望を聞きます、男性は女性の都合に合わせてシフトを調整します。
でも、文句を言えば「小さい男」とか「これだから日本の男は」と言われてしまうので、何も申せません。
僕もお菓子が食べたいです。

男性が被害の声を上げづらい背景

固定観念

セクハラは男性が女性に対してするもの、という固定観念により、少数派である男性被害者が声を上げても理解してもらえないため、多くが泣き寝入りに終わっています。

「男なら拒絶できるじゃん」

男性は女性よりも力が強いことを理由に、例えば身体的セクハラを受けたのであれば「嫌なら突き飛ばせばいい」「嫌がらないのは好意があるということ」と決めつけられがちで、声を上げづらい空気があります。

力があるからこそ、紳士は。

しかし、力があるからこそ、力の弱い女性に対して強く拒絶したり、触ってきた手を払ったりすることで、加害者が被害者に翻るケースが多いため、受け流すしかないという紳士的な理由が背景にあります。

性別で括らないダイバーシティマネジメントを

女性に対してしてはいけないことは、男性に対してもしてはいけませんし、性別により優劣をつけてはいけません。
男性、女性だけでなく、性的マイノリティへの理解も必要であり、「男性」「女性」と性別で括ること自体がナンセンスです。
一度「性別」という概念をリセットして、全員が性的マイノリティであるという前提に立ち、全ての多様な人たちにとって、息苦しさや侵害のない働きやすい職場を作ることが求められます。