心理社会的リスク評価基準|KS-PSR

ハラスメント、離職、休職、長時間労働、不正、事故といった問題は、個別の事象として現れます。しかし、それらは偶発的に発生するものではありません。
多くの場合、その背後には情報共有の不足、役割の曖昧さ、意思決定の偏り、業務負荷の偏在など、組織構造上の課題が存在しています。
Kenspro Standard(KS)は、こうした組織の構造的要因を可視化し、心理社会的リスクを予防・低減するために開発した当社独自の評価基準です。
従業員のストレスや満足度を測定するだけではなく、「組織として何を改善すべきか」を明らかにすることを目的としています

KS-PSRの基本構造

KS-PSRは、以下の3層構造で組織を評価します。

第1層:組織シグナル(何が起きているか)

組織内で発生している結果としての現象を確認します。

  • ハラスメント
  • 組織不和
  • 長時間労働
  • 離職
  • 休職
  • 不正
  • 事故

これらは組織の状態を示す重要なシグナルです。
しかし、シグナルそのものを対処するだけでは根本解決には至りません。

第2層:構造要因(なぜ起きるのか)

シグナルの背景にある組織構造を分析します。

情報歪み

必要な情報が共有されない、または途中で変質する状態

異論消失

問題提起や建設的な反対意見が表明されない状態

権限責任曖昧

誰が決めるのか、誰が責任を持つのかが不明確な状態

評価目標偏り

成果だけが重視され、プロセスや行動規範が軽視される状態

業務過負荷

特定の個人や部署へ過剰な負荷が集中する状態

摩擦蓄積

未解決の不満や対立が蓄積している状態

規範劣化

組織として守るべき行動基準が形骸化している状態

第3層:ガバナンス設計(どう改善するか)

構造要因を改善するための統治構造を評価します。

  • 役割設計
  • 意思決定設計
  • 情報共有設計
  • 評価制度設計
  • 人材育成設計
  • 監督保証設計
  • 是正学習設計

KS-PSRでは、これら7つの統治要素が適切に機能しているかを確認します。

KS-PSRが評価するもの

KS-PSRは、個人の性格や能力を評価するものではありません。
また、従業員のストレス耐性やメンタルの強さを評価するものでもありません。
評価対象は、組織がどのような構造によって運営されているかです。
言い換えれば、「問題を起こした人」ではなく、「問題が発生しやすい構造」を評価します。

国際的な考え方との整合性

KS-PSRは、以下の国際的な考え方を参考に構築されています。

  • ISO 45003(心理社会的リスクマネジメント)
  • ILOによる心理社会的職場環境の考え方
  • ビジネスと人権に関する国際的潮流
  • 人的資本経営および組織レジリエンスの考え方

ただし、KS-PSRは国際基準をそのまま翻訳したものではありません。
日本企業の実務で発生する課題を踏まえ、組織シグナル・構造要因・ガバナンス設計を統合した独自の評価フレームワークとして設計されています。

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