知的資産経営―無形資産の戦略的活用
知的資産経営とは
企業の資産は多様
投資家が投資先企業の経営状態を知るため会計士により財務状況を明らかにすることを会計監査と言いますが、企業が持つ資産は財務諸表に表れるお金や不動産だけではありません。
蓄積されたノウハウ・技術や人材、人脈・ネットワーク、流通網、信頼関係等々、有形無形問わず実に多岐に渡ります。
企業の実力を知るには、資料は財務諸表だけでは足りないということです。
これらのような財務諸表には表れない無形の価値・強みを「知的資産」と言い、「知的資産」を生かす経営を「知的資産経営」と言います。
知的資産経営の重要性
企業の持続的発展に欠かせない「差別化」の源泉として、人材、技術、組織力、ネットワーク、ブランド等の見えざる知的資産を活用した経営戦略が重要です。
経営者は、他社が模倣困難な、それぞれの企業に固有の知的資産を組み合わせて活用する経営手法を重視し、知的資産を活用した経営を実践することが大切です。
しかし、小規模事業・中小企業も含め、企業がこれを行うことにより、株主や支援者、顧客や取引先、従業員や求職者等のステークホルダーに自社の価値・強みをアピールすることができ、結果、人材獲得、資金調達、集客、事業承継等が円滑に進められるようになります。
例えば、財務諸表だけでなく知的資産経営報告書も添付することで、「今はまだ収益が十分とは言えないけれども、自社にはこれだけの強みがあるため、3年以内に目標値を達成することができそうだ」という主張がに説得力が付加され、応援を募りやすくなります。
弊社は、こうした知的資産の調査・分析・整理・書面化・開示を支援し、特に人事労務や事業承継に生かす戦略を提案しています。
知的資産経営の効果
非上場企業は自社の価値を意識する機会が多くありませんが、財務状況と合わせて、自社がどのような有形無形の資産を有しているのかを自覚することは、営業活動、人材確保、事業承継、資金調達等を含むあらゆる事業活動を有利に導きます。
- 優秀な人材を獲得しやすくなります。
- 企業価値が認識されやすくなり、ブランド力が高まります。
- 顧客や資金、取引先、販路、人材、情報、原材料、応援などが、自然と集まってくるようになります。
- 開発依頼、業務提携などのチャンスも集まってきます。
- 金融機関からの信頼が高まり、融資を受けやすくなり、資金調達が円滑になります。
- 経営理念への理解が深まると社員の誇りが高まり、人材の育成・定着が進みます。
- 事業承継の円滑化に役立ちます。
知的資産経営が定着し、普及するためには、企業自身の努力と、知的資産経営の重要性をステークホルダーが認知し、評価することが必要です。
企業の努力を通じて、ステークホルダーからの適切な評価が得られれば、企業価値は向上し、企業の資金調達が用意になるとともに、企業価値の増加・知的資産経営の強化がもたらされ、次のサイクルにつながるという好循環が生まれることが期待されます。
知的資産経営報告書ー見えない価値を見える化する
人材募集、事業承継、営業、資金調達等の際には、自社にどのような強みが有り、関与することで相手方にどのようなメリットがもたらされるのかを、示し説得する資料が必要です。
企業の将来の利益がどのようなもので、それがどのような経営によって生まれるのかという点につき、企業・ステークホルダー双方の認識や理解が深まり、さらに知的資産経営を進化させ、企業価値を向上させることを目的に、知的資産経営報告を企業が作成し、評価者が評価することが期待されます。
ただし、重要なことは、知的資産経営が実践されることであって、開示は、それをより意義の深いものとするための手段であるため、企業の自主的な取組が特に重要です。
また、開示を行うこと自体よりも、まずは企業において知的資産経営が実践され、そうした実践を反映した開示が行われることが重要です。
人的資本の情報開示
知的資産のうち、特に「人材=人的資本」を重視し、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方を、「人的資本経営」と言います。
企業が有する人的資本の内訳を開示することで、優秀な人材の獲得や、従業員エンゲージメント向上等様々なメリットを享受することができます。
知的資産経営の開示支援・実務コンサルティング
知的資産経営の実践、企業価値の向上と持続的成長を支援します。
次のような企業様へ
- 知的資産を経営に生かしたい
- 自社の知的資産を高めたい・増やしたい
- 知的資産を承継したい
知的資産経営報告書の作成・開示・伝承
知的資産経営報告書は、企業内外のステークホルダーに企業固有の強みや価値を伝える場において、その対話のベースとなる媒体であると同時に、作成・開示の過程で多様なメリットを生み出すマルチツールです。
知的資産は目に見えない価値であるがゆえに、経営者本人もステークホルダーも気づかないまま宝の持ち腐れになってしまいがちです。
そのため企業は、財務諸表だけでは十分に表現することのできない「知的資産」や知的資産を活用した経営手法について、書面上に可視化し、ステークホルダーに対して開示することが重要です。
自社の見えない強みを見える化しステークホルダーに認知・評価してもらうことで、多様なメリットを享受することができます。
報告書作成支援の流れ
- 1.調査(現地調査・経営者ヒアリング・従業員ヒアリング・各種帳簿確認等)
- 2.分析
- 3.仮報告書へのまとめ
- 4.経営方針とのすり合わせ
- 5.レポート作成
- 6.1~5を繰り返し
- 7.完成
- 8.活用