看護師の働き方改革・長時間労働対策

医療従事者は疲労が蓄積されやすい勤務体制、心理的負荷の高い業務内容にあります。

  • 交代制勤務
  • 不規則勤務
  • 夜間当直
  • 自宅待機(オン・コール)
  • 短い勤務間インターバル
  • 長い拘束時間
  • 失敗の許されない作業の連続
  • ペイシェントハラスメント
  • 瞬発性を要する事象の連続
  • 死との直面、等々

業務上の7つの危険(ハザード)要因

(1)生物学的要因

ウイルス・細菌・真菌・植物など

(2)物理的要因

電気、熱、音、不適切な換気、レーザ煙、電解性放射線、非電解性放射線、光、電子機器(ブルーライト)など

(3)化学的要因

消毒剤、滅菌剤、薬物、試験試薬、清掃薬剤、殺菌剤など

(4)人間工学的要因

患者(利用者)の移動や処置などに伴う、不安定な姿勢での作業動作による、筋骨系障害(腰・首・手首の痛みなど)

(5)交通移動要因

通勤や業務のための交通移動に伴う自動車・バイク・自転車事故など

(6)夜勤・労働時間要因

勤務形態や労働時間の長さなどがもたらす労働安全衛生上のリスク(下参照)

(7)心理・社会的要因

患者(利用者)・同僚及び第三者による暴力、ハラスメント、精神的ストレスなど

対策

看護職の勤務体制を見直す上では、長時間労働の解消と、疲労回復時間の確保の視点が重要です。

看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン

日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)で、夜勤・交代制勤務の課題、対策の提案などが示されています。
最低限の対策として、ガイドラインに従い取り組むことが推奨されます。

日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/yakinkotai/guideline/index.html

基準1  勤務間隔
勤務と勤務の間隔は11時間以上あける。
基準2  勤務の拘束時間
勤務の拘束時間は13時間以内とする。
基準3  夜勤回数
夜勤回数は、3交代制勤務は月8回以内を基本とし、それ以外の交代制勤務は労働時間などに応じた回数とする。
基準4  夜勤の連続回数
夜勤の連続回数は、2連続(2回)までとする。
基準5  連続勤務日数
連続勤務日数は5日以内とする。
基準6  休憩時間
休憩時間は、夜勤の途中で1時間以上、日勤時は労働時間の長さと労働負荷に応じた時間数を確保する。
基準7  夜勤時の仮眠
夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する。
基準8  夜勤後の休息(休日を含む)
夜勤後の休息について、2回連続夜勤後にはおおむね48時間以上を確保する。1回の夜勤後についてもおおむね 24 時間以上を確保することが望ましい。
基準9  週末の連続休日
少なくとも1カ月に1回は土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日をつくる。
基準10 交代の方向
交代の方向は正循環の交代周期とする。
基準11 早出の始業時刻
夜勤・交代制勤務者の早出の始業時刻は7時より前を避ける。

本ガイドラインには、『「勤務の拘束時間」の長さとヒヤリ・ハットの発生率』に関するコラムが掲載されています。
 「2010 年 病院看護職の夜勤・交代制勤務等実態調査」で、3交代制・2交代制勤務別にヒヤリ・ハットの発生状況を見ると、どちらの交代制勤務も各勤務時間帯の後半部に高い割合でヒヤリ・ハットを起こしていました。そして、3交代制勤務では勤務後半部のヒヤリ・ハットが 15 ~ 20%であるのに対し、2交代制勤務の勤務後半部は 40 ~ 45%と高い割合でした。この結果からは勤務時間が長いほうが、より勤務後半部でヒヤリ・ハットを起こす可能性が高いことが示唆されます。

夜勤専従勤務導入の留意点

夜勤のもたらすリスクや悪影響が大きくなることが懸念されますので、導入は慎重に、導入する際は負担軽減の方策を確立した上で、本人の自由意思に基づく選択のもとで行われるようにすることが重要です。

夜勤専従勤務ルールの項目例

  1. 夜勤専従勤務期間の所定労働時間を短縮する(月144時間以内とするなど)
  2. 健康管理体制整備(導入前の検診、産業医の意見を聞くなど)
  3. 報酬(手当の支給などの経済的報酬、所定労働時間の短縮などの時間的な優遇など)
  4. 期限付きとする(期限前でも中止の申出ができる)
  5. 本人の選択による(夜勤に伴う心身の負担と軽減策、処遇などについて十分な説明を受け、納得した上で、労働者本人の希望によって勤務が選択されること)
  6. 夜勤遂行可能な能力・経験をもつこと
  7. 夜勤専従勤務者の負担が過重にならない夜勤メンバーの組合せ
  8. 夜勤時間帯の業務整理

※異なる勤務形態に移行した場合は、その当初は生活リズムが整うまでに時間を要するため、頻繁な勤務形態変更は避ける