改正候補者男女均等法
政治分野の男女格差(ジェンダーギャップ)の解消を目指す改正候補者男女均等法には、女性候補者・議員へのセクハラ・マタハラ被害が女性が政治家を志望する上での妨げになっているとして、政党や国、自治体に対し、研修の実施や相談体制の整備といった施策を取るよう明記されました。
意識・認識の徹底的な改革が必要
政治の世界には、民間企業よりもはるかに根深く、性差別が残っています。
議員から議員へ、首長から議員や職員へ、無意識・無知によるセクハラは分単位で発生しています。
候補者からボランティアスタッフがセクハラを受けるケースも少なくありません。
議員も含めた女性活躍推進を謳っている多くの男性たちの女性に対する応援には、「ただし、男性より後ろ、男性より下、の範囲内で」という制限がついていることを多くの女性が悟っています。
例えば「そこまでしなくていいよ」「これは男の仕事だから」という言葉は、「それ以上でしゃばるな」「縄張りを荒らすな」という牽制なのだと察するのです。
女性議員が出産すれば嫌味を言われ、育休を取得すれば辞職まで迫られる・・・
こうした昔からの男尊女卑文化が、女性の政治参加を妨げているのは言うまでもありません。
セクハラ、マタハラはもちろんのこと、ジェンダー平等についてもその根拠、意義等の認識を深める教育が必須です。
候補者へのハラスメント「票ハラ」
内閣府が昨年12月~今年1月に地方議員を対象に実施した調査によると、議員活動や選挙活動中に有権者や支援者らから、ハラスメントを受けたと回答した男性は32・5%、女性は57・6%と半数を超えた。立候補を断念した人ではさらに被害が増え、立候補準備中のハラスメントを受けたと回答した男性は58%、女性は65・5%にも及んだ。
- 街頭演説の写真を撮ってSNSで送ってくる(→返事をしないと怒り、SNS上で攻撃してくるようになった)
- 陳情という名目で付きまとわれる
- プライベートなことを質問される
- 握手したらひじまでなでられる
- 交際を迫られる
- ボランティアの男性が自宅までついて来てデートにしつこく誘われる
など、有権者やボランティアスタッフ等からセクハラを受ける被害は後を断ちません。
こうした「一票の力」を武器にしたハラスメントは「票ハラスメント(票ハラ)」と称されています。
有権者だから邪険にできない、
ボランティアで手伝ってくれている人を拒絶できない、という弱みを握られている立場です。
女性候補者をこうした被害から守る対策として、例えば、以下のような対策が考えられます。
- 男性スタッフから候補者を守る女性スタッフと、有権者から候補者を守る男性スタッフのペアで護衛する
- ダイレクトメッセージの取扱ポリシーを有権者に明示する
- わいせつ行為や脅迫、暴力等に対しては毅然として法的手段を講じる(またそのポリシーを明示する)
- 街頭演説等の様子を録画し、被害状況により証拠とする
- ボランティアスタッフには始動前に30分間程度でも研修を実施し、活動ルールを周知する
当落や身分にも影響するハラスメント
カメラの前でマイクを通して堂々と悪びれる様子もなく不適切な発言をした結果、炎上し、議員辞職、次期落選…
秘書へのパワハラを録音されていて事件化し、翌年落選…
候補者や応援議員によるボランティアスタッフへのセクハラが暴露され落選、逮捕…
記者へのセクハラを繰り返し、当然録音・録画されていて事件化し、議員辞職…
スキャンダルにより辞職し、次期選挙では有権者から野次を飛ばされ落選する、そんな失態が毎年の恒例のように起きています。
権力を得てもなお謙虚で実直で正しくあり続けるには、強い意志と、目線をリセットする教育の機会が必要です。