スポーツ界のハラスメント・暴力根絶に向けて

スポーツの世界におけるハラスメントは、一般的な企業・職場におけるそれよりも、「指導」「注意」「育成」との境界線がわかりにくく、また既に「あって当たり前」のこととして定着してしまっているため、被害が露呈しにくいのが特徴です。
厳しい世界であることを承知の上で、本人の意思で指導を仰ぐのですから、多少理不尽なことがあっても「耐えるしかない」と信じて疑われない世界であるのも、問題を複雑にしています。

世間を騒がせたスポーツ界におけるハラスメント・暴力事件

日本レスリング協会強化本部長・栄和人氏による伊調馨選手やコーチへのパワーハラスメント事件
日本大学フェニックス反則タックル問題(日本大学フェニックス対関西学院大学ファイターズの一戦で日大の選手が反則タックルで相手選手を負傷させた。監督やコーチから危険タックルの指示があったか否かが争点となった)
女子柔道強化選手による暴力問題(女子柔道の国際試合強化選手への指導陣による慢性的な暴力行為やパワーハラスメントが2013年に発覚した)
内柴事件(オリンピック柔道男子金メダリストがコーチを務める大学女子柔道部の合宿先で女子部員に酒を飲ませ泥酔させた上で性行為に及び、準強姦罪で逮捕され起訴された事件)
西武ライオンズ二軍打撃コーチを務めていたデーブ大久保氏による菊池雄星投手に対する暴行事件ほか、同氏については多数のパワハラ疑惑が挙がっている。

スポーツ界におけるハラスメント

パワーハラスメントについて

一般企業よりも指導的厳しさの許容範囲が広く、一般的にはハラスメントになり得る言動も、スポーツ界においては指導の範疇に収まるケースが多いのは確かでしょう。
一般企業の職場で大声で「しっかりしろ!」と怒鳴るのはグレーですが、スポーツの世界で大声での指導を禁じられれば指導が成り立たなくなるかもしれません。
(怒鳴らない指導の方が効果的か、という指導テクニックの適否については別の議論とします。)

また、指導する側とされる側との関係性や、選手やチームが何を目指しているのかによっても、境界線は移動するでしょう。
例えば、高校の部活動の生徒と、オリンピックを目指している選手とでは、許容される「厳しさ」は当然異なります。

しかし、その厳しさが育成に必要な範囲を超え、人格否定や暴力・傷害に至ってしまえば、スポーツ界においても、ハラスメントはハラスメント、暴力は暴力であることに違いありません。

例えば

「手の位置が悪い」と言って手をピシッと軽く叩く程度であれば、ハラスメントになる可能性は高くないでしょう(ないとは言い切れませんが)。
しかし、「手の位置が悪い」と言って顔や腹を殴れば、ハラスメント及び暴行罪・傷害罪に該当するでしょう。
また、怪我するほど強く手を叩いたり、軽くでも長時間叩き続けたり汚いもので叩いたりするのは、ハラスメントになり得ます。

例えば

「それでは勝てないぞ!」と大声で鼓舞する程度であれば、ハラスメントになる可能性は高くないでしょう。
しかし、「だからお前はダメなんだ!」「殺すぞ!」などと、人格を否定する言葉を浴びせるのは、ハラスメントに該当するでしょう。
「人」「お前」がダメなのではなく、「やり方」「コト」の問題に焦点を絞り、改善を提案しましょう。

※ご紹介している例及びハラスメントに該当するか否かについては、あくまで例です。
言い方、言葉、時間、場所、状況、頻度等により総合的に判断されるものです。

「コト」の改善や、技術強化、集中力や士気の向上などを目的とし、その目的を達成するための最善であり、精神的又は身体的苦痛・負傷を最小限にする指導方法であるか否かが問われます。

セクシュアルハラスメントについて

スポーツ界においては、セクハラも、度々問題になります。
師弟関係=絶対的強者と弱者の関係性を背景に、師匠や指導者が性的嫌がらせをしたり、指導時に不必要に身体に接触したり接近したりする事案が多いです。
師匠・指導者・レジェンドという立場を悪用して選手の自由を奪い自身の欲求を満たそうとする行為は許されません。

  • 「手取り足取り指導する」と言って手・胸・腰を触ったり身体を密着させたりする
  • 「レギュラーに選ばれたければ言うことを聞け」と言って性的関係を迫る
  • 露出の多い、又は身体のラインの出やすいユニフォームを着用させる
  • 私生活について不必要に質問したり、成績に影響すると言って恋愛禁止にしたり管理したりする
  • 全てを管理すると言って、一緒に暮らすことを強要する
  • 更衣室を覗き見したり盗撮したりする

当社へのご相談

当社は、プロ及びアマチュアのスポーツチームや、学校の部活動指導者等を対象に、「ハラスメントにならない指導方法研修」を提供しております。
また、スポーツチームからの委託を受け、選手たちからの相談・通報を代行する「相談窓口」を用意しております。
マネジャーが対応しきれない選手からの相談を、当社がメンターとして常時対応いたします。
指導の仕方、育成法、厳しさと優しさのバランス、効果的な奮い立たせ方に迷いが生じた際には、すぐにご相談ください。

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