若手と元請から選ばれる建設会社が実践する「戦略的インテグリティ」―コンプライアンスはコストではない

建設業界では近年、コンプライアンスやガバナンスの強化が強く求められています。
ハラスメント防止、労働時間管理、安全管理、内部通報制度、不正防止。

こうした取り組みに対し、
「また規制が増えた」
「現場の負担が増える」
「利益にならない」
と感じる経営者も少なくありません。

しかし、これからの建設業において、コンプライアンスやガバナンスは単なる守りの仕組みではありません。
人材確保と受注競争力を高めるための重要な経営戦略になりつつあります。

当社はこれを、Strategic Integrity(戦略的インテグリティ)と呼んでいます。

「良い会社」ではなく「信頼できる会社」が選ばれる時代

かつて建設会社が評価される基準は、

  • 技術力
  • 実績
  • 価格

が中心でした。

もちろん今でも重要ですが、近年は、それだけでは十分ではありません。

元請企業や施主は、

  • コンプライアンス体制
  • 労務管理
  • 安全管理
  • ハラスメント対策
  • 不正防止体制

まで確認するようになっています。

一度不祥事が発生すれば、

  • 指名停止
  • 入札機会の喪失
  • 元請からの評価低下
  • 採用ブランド毀損

につながります。

つまりコンプライアンスは、リスク回避だけでなく、受注競争力そのものになっているのです。

若手人材は会社の「中身」を見ている

採用市場でも同じことが起きています。

以前は、

  • 給与
  • 休日
  • 福利厚生

が主な判断材料でした。

現在の若手は、「どのような会社で働くのか」を重視しています。

例えば、

  • 上司に相談できるか
  • ハラスメントはないか
  • 安全に働けるか
  • 成長できるか
  • 長く働けるか

を見ています。

その情報は簡単に調べられる時代です。
ホームページ、口コミサイト、SNS、社員の発信⋯。
企業が発信する情報だけでなく、実際の組織の姿が見られています。

だからこそ、「人を大切にする会社」であることを示す仕組みが必要です。

ハラスメント対策は採用ブランディングである

ハラスメント対策というと、問題が起きたときのための対応策と思われがちです。

実際には、ハラスメント対策が機能している会社は、

  • 若手が質問しやすい
  • 意見が言いやすい
  • 管理職が育っている
  • 離職率が低い

傾向があります。

つまり、ハラスメント対策は採用ブランディングでもあるのです。

安全文化は営業力になる

同様に、安全管理も単なる現場の問題ではありません。
元請企業や施主は、事故の少ない会社を評価します。

なぜなら事故は、
工期遅延
品質低下
レピュテーションリスク
につながるからです。

安全文化が定着している会社は、結果として信頼を獲得しやすくなります。

不正防止は利益を守る

近年、建設業界では品質データ改ざんや虚偽報告などの問題が繰り返し発生しています。

多くの場合、不正は突然起きるわけではありません。

  • 無理な工期
  • 利益偏重
  • 異論を言えない風土

といった組織構造の中で発生します。

不正を防ぐことは、企業価値と利益を守ることでもあります。

Strategic Integrityという考え方

私たちは、コンプライアンスとガバナンスを単なる守りの仕組みとは考えていません。
信頼を生み出す仕組みであると考えています。

信頼は、

  • 若手人材を引き寄せる
  • 社員の定着率を高める
  • 元請企業から選ばれる
  • 施主から評価される
  • 地域社会から支持される

という形で経営成果へと転換されます。

これがStrategic Integrityです。

これからの競争力は「組織品質」で決まる

技術力や価格だけで差別化する時代は終わりつつあります。

今後の建設業では、

  • 人材育成
  • 安全文化
  • コンプライアンス
  • ガバナンス

を含めた、組織品質そのものが競争力になります。

だからこそ必要なのは、問題が起きてから対応することではなく、問題が起きにくい組織を設計することです。
コンプライアンスを守るためにガバナンスを行うのではありません。
信頼され、選ばれ、成長し続けるためにガバナンスを行う。
それこそが、建設業におけるStrategic Integrityの本質なのです。

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、ハラスメント等心理社会的リスクを管理し、健康的な心理社会的職場環境を実現するための組織ガバナンス設計・実装支援ファームです。