なぜ?「軽い冗談」「発言によるセクハラ」も放置してはならない理由

セクハラには、身体的セクハラと、発言によるセクハラと、態度によるセクハラとがあります。
一般的に、発言によるセクハラは、「軽微なセクハラ」とされ、人によっては「職場の潤滑油になる」「場を和ませるため」「緊張を和らげる」などの効果を主張します。

しかし、発言による軽微なセクハラにそのような効果はありませんし、放置してはなりません。

実際の行為にエスカレートするから

言葉による軽微なセクハラがエスカレート&文化になる

発言によるセクハラが横行すると、性的言動に境界線を持たない文化が職場に定着します。
「性にゆるい文化」は、風紀を乱し、職場の治安を悪化させます。

すると、セクハラはさらにエスカレートして、盗撮や身体的接触など実際の行為につながる危険性が高まります。

社員にとって、働きづらく危険な職場となり、休職者や離職者が増えます。

また、真剣に働く意識や仕事への集中力が低下し、セクハラ以外の不祥事や事故、事件も起こりやすくなります。
セクハラは、少量でも企業の全身を麻痺させる、猛毒です。

卑猥な冗談で「場が和む」!?

確かに好きな人もいるでしょう。
しかし、聴いているだけでムカムカする、吐き気がすると、不快感を訴える人も多くいます。

「全然和まない、むしろ凍りついている」「全然面白くない、笑えない」という人が多数でしょう。
少なくとも、メリットはありません。
楽しんでいるのは本人だけです(本人が楽しんでいるということはメリットなのかもしれませんが)。
そもそも、仕事をする場に下ネタは不適切です。

精神障害を引き起こす強い心理的負荷をもたらし得る

発言によるセクハラの精神障害認定基準
厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」でも、身体接触を伴わない性的な発言のみのセクハラでも、心理的負荷が「中」または「強」になり得ることが示されています。

職場にふさわしい話題とは?

雑談は、たしかに職場の潤滑油として必要不可欠なものです。
例えば、以下のようなテーマであれば、セクハラにはなりづらいでしょう。

  • 仕事
  • 天気
  • 食べ物
  • スポーツ
  • 環境問題
  • テレビ番組
  • 動物
  • 植物
  • 新店情報など

子どもや顧客、株主や社長に聞かれても、あるいは録音されても気まずくない、品良く、安心・安全・無害な話題を選ぶことが大切です。

安全な話も「下ネタに変換」はNG

上記のような安全な話題も、匠にわいせつな話に持っていく人がいます。
例えば、以下のような発言です。途中までは安全だったのに、わざわざ余計な一言を付け加えて、セクハラ発言に変換しています。

環境問題ネタ

「温暖化で暑いよね、でも女性が薄着になるからありがたいよね

お店ネタ

「新しいお店できたよね、今度二人きりで行こう

動物ネタ

「シャンシャンかわいいよね、君、シャンシャンに似てるね

照れ隠しのためなのか、場を和ませようと思ってなのか(実際には和みませんが)、辞めておけば良いのに、余計な一言を加えたくなる習慣のある方は、要注意です。

おわりに

発言によるセクハラを不快に感じる人は多く、あるいはメンバーの大多数がそれを不適切と感じないのだとしたら、それほど性的境界線を持たなくなったこと自体、職場文化として望まくないでしょう。
壁に耳あり障子に目あり。今、企業活動や職場の実態は、すべてが明るみに出て、常に見られ聞かれています。秘密にできることはありません。
ステークホルダーが関与先として選ぶにふさわしい職場文化を築くことは、セクハラの枠を超え、企業活動そのものにとっても、重要です。
安心安全で、誰も傷つけない、無害な話題で、品格ある職場文化を築きたいですね。

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。