(出典)総務省「就業構造基本調査」(平成19年、平成24年)。平成14年10月~平成19年9月は平成19年調査、平成19年10月~平成24年9月は平成24年調査を基に作成された資料「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書参考資料集」
40〜50歳代正社員の8割近くが、仕事と介護を両立することに不安を持っています。
下記のような不安から、年間約10万人と多くの方が退職します。
仕事と介護の両立困難による経済的な影響
経済産業省は、『仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン』の中で、「介護離職や介護発生に伴う物理的、精神的負担等によって引き起こされる労働生産性の低下(経済損失額)は、現状のままでは2030年には約9兆円に上る見込みであり、この損失額を減らすことは社会全体が対応すべき課題と言える」としています。
さらに、「従業員が仕事と介護の両立が困難となることに起因する損失額(労働生産性損失額+介護離職者発生による損失額)を一定規模の企業で推計すると、大企業(製造業・従業員数3,000名)で1社当たり年間6億2,415万円(労働生産性損失額:5億5,407万円+介護離職発生による損失額:7,008万円)、中小企業(製造業・従業員数100名)で1社当たり年間773万円(労働生産性損失額:686万円、介護離職発生による損失額:87万円)となる。」と試算しています。
(▲出典)経産省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」
介護のために離職すると、精神的、肉体的、経済的な負担が増加しているのが現状です。
介護に専念するために離職しても、決して精神的、肉体的に楽になるわけではありません。
介護に直面しても簡単には退職しないこと、企業としては介護に直面した社員を簡単には辞めさせず両立を支援することが大切です。
- 高齢化に伴い、「要介護高齢者」は増加傾向。
- 介護をする人は、平成3年以降の20年間で約2倍に増加。
- 介護をする人に占める男性の割合も増加傾向。
- 40〜50代正社員の7〜8割が仕事と介護の両立に不安を持つ。
- 介護に関する具体的な不安の例
- 公的介護保険制度の仕組がわからないこと
- 介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しが立てにくいこと
- 仕事を辞めずに介護と仕事を両立するための仕組がわからないこと
- 適切な介護サービスが受けられるかどうかわからないこと
- 勤務先の介護に関わる支援制度がない、もしくはわからないこと
- 介護休業等を職場で取得して仕事をしている人がいないこと
- 自分が介護休業を取得すると収入が減ること
- 代替要員がおらず、介護の為に仕事を休めないこと
- そもそも労働時間が長いこと
- 地域での介護に関する相談先がわからないこと
- 勤務先の介護にかかわる制度はあっても、利用しにくい雰囲気があること
- 介護のために離職すると、精神的、肉体的、経済的な不安が増加。→介護に専念しているにも関わらず負担増。介護離職で楽になるわけではないことを企業から伝えるべき。
- 企業の、従業員の介護実態把握状況をみると、「特に把握していない」企業が半数近く。→把握している企業は、面談・自己申告制度・アンケート等により把握している。
- 手助けや介護をしている就労者の、介護について上司や同僚に知られることへの抵抗感は「あまりない」「ない」とする人が7割を超え、抵抗感はそれほど強くない。→企業は実態把握するべき。
- 手助けや介護について、勤務先に相談した人の割合は極めて低い水準。→相談しやすい雰囲気、相談できる体制を整えることが大切。
- 介護のために離職した人が、離職前に両立支援制度を利用しなかった理由は、「〜制度がないため」「〜制度がわからないため」「相談する部署等がないこと、もしくはわからないため」が上位。→企業は従業員に両立支援制度や相談体制を周知するべき。