セクシュアルハラスメントやジェンダーハラスメントの被害は、女性だけが受けているものではありません。
男性もまた、少なからず被害を受けています。
しかし、男性へのセクハラは、被害として認識されにくく、語られにくく、是正されにくいという特徴を持っています。
本稿では、男性へのセクハラを
「逆セクハラ」や個別事例として扱うのではなく、なぜ組織の中で可視化されにくいのかという構造的な問題として整理します。
男性も、セクハラ・ジェンハラの被害者である
各種調査や相談事例を見ると、男性もセクシュアルハラスメント、ジェンダーハラスメントの被害を一定割合で受けています。
特に注意すべき点は、男性へのセクハラが「例外的」「特殊」として扱われがちである一方、実際には決して少数ではないという事実です。
男性へのセクハラの多くは「軽い冗談」として処理される
男性が受けるセクハラの内容で、最も多く見られるのは次のようなものです。
- 性的な冗談やからかい
- 恋愛経験や交際状況への執拗な質問
- 性的指向や性的嗜好を前提とした発言
- 身体的特徴に関する不用意な言及
女性の場合に問題視されやすい「身体的接触」に比べ、男性の場合は、言葉による侵襲や、私的領域への踏み込みが多い傾向があります。
しかし、これらはしばしば
「悪気はない」
「そのくらいで気にするな」
「男同士なら普通だ」
といった言葉で矮小化されます。
「男性は強い」という固定観念が、被害を不可視化する
男性へのセクハラが見過ごされやすい最大の要因は、「男性は傷つかない」「耐えられる」という無意識の前提です。
- 男性は性的な話題にオープンである
- 男性は拒否すべきときは拒否できる
- 男性が被害を訴えるのは弱さの表れである
こうした固定観念は、被害を受けた男性自身に「これは被害と言ってはいけないのではないか」という自己検閲を生みます。
結果として、被害は声にならず、組織の外に出てきません。
男性被害は「笑い」に包まれて深刻化する
男性へのセクハラの多くは、笑い・場の空気・ノリの中で行われます。
- 拒否すれば場を壊す存在になる
- 真剣に受け止めると「冗談が通じない人」になる
- 問題化すると「大げさ」「面倒な人」になる
この構造は、被害者に沈黙を強いるだけでなく、行為者自身に「問題行動である」という認識を持たせません。
結果として、セクハラは反復され、常態化します。
男性へのセクハラも、組織リスクである
男性へのセクハラは、「被害者が男性だから軽い問題」ではありません。
- 組織への信頼低下
- エンゲージメントの低下
- 離職・メンタル不調
- 内部通報・紛争リスク
これらは、性別に関係なく発生します。
むしろ、男性へのセクハラを見過ごす組織は、あらゆるハラスメントに鈍感である可能性が高いと言えるでしょう。
問われているのは「誰が被害者か」ではない
重要なのは、被害者が男性か女性かではありません。
- 私的領域への侵入を許していないか
- 冗談や空気が免罪符になっていないか
- 声を上げにくい人を構造的に生んでいないか
これらを点検することが、組織のガバナンスそのものです。
当社では、男性・女性いずれの被害も含め、ハラスメントを個人の感情や属性の問題ではなく、組織構造と意思決定の問題として捉え、調査・個別指導・経営助言を行っています。
投稿者
- ハラスメントを排し、個の真価を最大化する。ケンズプロは、日本の技術が世界を席巻する『正道』を論理で描く、組織ガバナンスの専門パートナーです。
