ハラスメント事案が発生した直後、企業や大学は、極度の緊張状態に置かれます。
事実確認、関係者対応、処分判断、法的整理。
この局面では、スピードと慎重さの両立が求められ、多くの組織は、持てる力を総動員して対応します。
そして、一定の対応が終わった頃。
社内は、ひとまず静かになります。
そのタイミングが、「3週間後」です。
3週間後、社内では何が起きているか
この時期、経営者や人事部長の頭の中には、次のような感覚が生まれ始めます。
- 大きな火は消えた
- しかし、何かが終わっていない
- 再発防止策を考える必要があるのは分かっている
- ただ、何をもって「十分」と言えるのか分からない
一方で、社内の空気はこうです。
- 現場は「もう終わった話」にしたがっている
- 人事は判断を抱え込んでいる
- 経営は次の一手を探しているが、言語化できていない
この宙に浮いた状態が、3週間後の組織の実態です。
3週間後、社外では何が見られているか
重要なのは、このタイミングで、社外のステークホルダーも、組織を見始めているという点です。
取引先、投資家、連携機関、金融機関、監督当局。
彼らが確認しているのは、こういう点です。
- 処分は適切だったか
- それで終わりにしていないか
- 同じことが起きたら、また同じ対応をするのではないか
つまり、問われているのは「過去にどう対応したか」ではなく、「将来にどう備えているか」です。
この視点に立つと、研修実施や規程改訂だけでは、説明として足りません。
ステークホルダーが求めるのは「是正」である
国際的なビジネスと人権の文脈では、ハラスメントは明確な人権侵害リスクと位置づけられます。
そして、人権侵害が発生した場合、組織に求められるのは、
- 加害者を処分したか
ではなく、 - 再発しない構造に変えたか
です。
これが、ステークホルダーが求める「是正(Remediation)」の考え方です。
是正とは、過去を清算する行為ではありません。
将来に対する合理的な保証です。
なぜ「3週間後」の判断が決定的なのか
構造改革や是正計画は、いつでも作れるわけではありません。
- 発生直後は、感情と混乱が大きく、冷静な設計ができない
- 数か月後では、「対応は終わった」と見なされ、信頼回復に繋がらない
3週間後は、
- 事実と処分が整理され
- 組織として振り返る余地が生まれ
- ステークホルダーに対して
「ここまで考え、ここまで変える」と示せる
最初で、かつ最も重要なタイミングです。
この時点で、判断を先送りするか、構造改革に踏み出すか。
その選択が、後の信頼回復の成否を分けます。
再発防止は「行動」だけでなく「判断」の問題
3週間後、多くの組織が次のような再発防止策を検討します。
- 研修を追加する
- 規程を修正する
- 注意喚起文を出す
しかし、経営者や人事部長自身が、心のどこかでこう感じているはずです。
「これで、本当に説明責任を果たせるだろうか」
再発防止の本質は、次に同じ状況が起きたとき、組織としてどう判断するかが決まっていることです。
- 誰が判断するのか
- どこまで許容しないのか
- 判断が滞留しない構造になっているか
これが言語化・可視化されていなければ、再発防止は「対応」に留まり、是正としては評価されません。
3週間後に必要なのは「構造改革の可視化」
ステークホルダー対応の観点から重要なのは、組織が何をどう変えたのかを、説明できる形で示すことです。
- 判断基準をどう変えたのか
- 権限と責任をどう整理したのか
- 次に同じ事案が起きた場合、どこが違うのか
これらを、構造改革として可視化することが、信頼回復の前提条件になります。
3週間後の構造改革とは、社内向けの再発防止であると同時に、社外向けの説明責任を果たすための設計でもあるのです。
3週間後の判断は、組織の成熟度を映す
ハラスメント事案は、どの組織でも起こり得ます。
問われるのは、起きたことそのものではなく、その後、どう判断したかです。
3週間後に、
- 判断を曖昧にした組織
- 人事に背負わせ続けた組織
- 構造を見直した組織
ステークホルダーは、その違いを、よく見ています。
ハラスメント発生3週間後という分岐点
ハラスメント発生3週間後。
それは、
- 再発防止を「やったこと」にするか
- 是正を「説明できる構造」にするか
の分岐点です。
このタイミングでの判断が、その後の信頼、取引、評価に静かに、しかし確実に影響します。
次に考えるべきこと
もし今、
「再発防止策を考えなければならないが、迷っている」
「ステークホルダーにどう説明すべきか悩んでいる」
そう感じているなら、それは3週間後に立っている証拠です。
再発防止は、対応では終わりません。
判断と統治の問題です。
投稿者
- ハラスメントを排し、個の真価を最大化する。ケンズプロは、日本の技術が世界を席巻する『正道』を論理で描く、組織ガバナンスの専門パートナーです。
