ケアハラとは・必要なケアハラ防止策


ケアハラスメント(ケアハラ)とは

社員が介護をすること又は介護休業等の申出・取得等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしたり、嫌がらせをしたりすることは「ケアハラスメント(ケアハラ)」と通称され、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(介護をすることや介護休業等の利用に関する言動)により、当該社員の就業環境が害されることをいいます。

介護を理由とする不利益取扱いの禁止

以下を理由とする不利益取扱いは禁止されています。

  • 過去から現在、未来に親族等の介護をする(した)こと
  • 介護休業や介護休暇等両立支援制度を請求し、若しくは取得・利用したこと

不利益取扱い禁止の対象となる介護制度

  • 介護休業(介護のために対象家族1人につき通算93日間取得できる休業)
  • 介護休暇(介護のために年間5日間(対象家族が2人以上の場合10日間)取得できる休暇)
  • 所定外労働の制限(介護のための残業免除)
  • 時間外労働の制限(介護のため時間外労働を制限(1か月24時間、1年150時間以内))
  • 深夜業の制限(介護のため深夜業を制限)
  • 所定労働時間の短縮措置(介護のため所定労働時間を短縮する制度)
  • 始業時刻変更等の措置(介護のために始業時刻を変更する等の制度)

 

不利益取扱いの例

  • 解雇すること
  • 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
  • あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること
  • 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
  • 降格させること
  • 就業環境を害すること
  • 不利益な自宅待機を命ずること
  • 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと
  • 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと
  • 不利益な配置の変更を行うこと
  • 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと

「嫌がらせ」について

介護等の状態や介護休業制度等の利用等と嫌がらせ等となる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。
なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものはハラスメントには該当しません。

「業務上の必要性」の判断

部下が休業するとなると、上司としては業務の調整を行う必要があります。
被介護者の体調を考慮してすぐに対応しなければならない休業についてまで、「業務が回らないから」といった理由で上司が休業を妨げる場合はハラスメントに該当する可能性があります。
しかし、ある程度調整が可能な休業等について、その時期をずらすことが可能か社員の意向を確認するといった行為までがハラスメントとして禁止されるものではありません。
労働者の意をくまない一方的な通告はハラスメントとなる可能性があります。

「制度等の利用への嫌がらせ型」

解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの

社員が、制度等の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。以下同じ。)をしたい旨を上司に相談したことや制度等の利用の請求等をしたこと、制度等の利用をしたことにより、上司がその労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆することです。
例)

  • 介護休業の取得を上司に相談したところ、「休みをとるなら辞めてもらう」と言われた。
  • 時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。

制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの

以下のような言動が該当します。

  • 社員が制度の利用の請求をしたい旨を上司に相談したところ、上司がその社員に対し、請求をしないように言うこと。
  • 社員が制度の利用の請求をしたところ、上司がその社員に対し、請求を取り下げるよう言うこと。
  • 社員が制度の利用の請求をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚がその社員に対し、繰り返し又は継続的に、請求をしないように言うこと。
  • 社員が制度利用の請求をしたところ、同僚がその社員に対し、繰り返し又は継続的に、その請求等を取り下げるよう言うこと。

例)

  • 介護休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに休業をとるなんてあり得ない」「介護なんて奥さんに任せておけばいいだろう」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。
  • 介護休業について請求する旨を周囲に伝えたところ、同僚から「自分なら請求しない。あなたもそうすべき。」と言われた。「でも自分は請求したい」と再度伝えたが、再度同様の発言をされ、取得をあきらめざるを得ない状況に追い込まれた。

制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの

社員が制度等の利用をしたところ、上司・同僚がその労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすることをいいます。
「嫌がらせ等」とは、嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと、又は専ら雑務に従事させることをいいます。
例)

  • 上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人はたいした仕事はさせられない」と繰り返し又は継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業する上で看過できない程度の支障が生じている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)。
  • 上司・同僚が「自分だけ短時間勤務をしているなんて周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている(意に反することを明示した場合に、さらに行われる言動も含む)。

「状態への嫌がらせ型」

解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの

例)

  • 上司に「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。

介護をすることにより嫌がらせ等をするもの

例)

  • 上司・同僚が「介護中の者はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返し又は継続的に言い、仕事をさせない状況となっており、就業をする上で看過できない程度の支障が生じる状況となっている(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む)。

ハラスメントには該当しない業務上の必要性に基づく言動の具体例

「制度等の利用」に関する言動の例

  1. 業務体制を見直すため、上司が介護休業をいつからいつまで取得するのか確認すること。
  2. 業務状況を考えて、上司が「次の介護休暇はこの日は避けてほしいが調整できるか」と確認すること。
  3. 同僚が自分の休暇との調整をする目的で休業の期間を尋ね、変更を相談すること。

※2や3のように、制度等の利用を希望する社員に対する変更の依頼や相談は、強要しない場合に限られます。

「状態」に関する言動の例

  1. 上司が、長時間労働をしている社員に対して、「介護中の者には長時間労働は負担が大きいだろうから、業務分担の見直しを行い、あなたの残業量を減らそうと思うがどうか」と配慮する。
  2. 上司・同僚が「介護中の者には負担が大きいだろうから、もう少し楽な業務にかわってはどうか」と配慮する。
  3. 上司・同僚が「介護疲れで体調が悪そうだが、少し休んだ方が良いのではないか」と配慮する。

※1から3のような配慮については、本人にはこれまで通り勤務を続けたいという意欲がある場合であっても、客観的に見て、本人の体調が悪い場合は業務上の必要性に基づく言動となります。

企業が講ずるべきケアハラ対策

大切な人の介護や自分の病気など、仕事に専念できない状況は誰にでも訪れ得るものです。
「そのうち自分も」と心得、「お互い様意識」で支え合う風土を職場に醸成する取り組みが大切です。

ケアハラ防止のためにも、働き方改革=ワークライフバランス推進を

カバーする側の従業員に負担がかかると、介護社員への反発が生じます。
本人だけでなく、介護社員の穴を埋める従業員も含めた社内全体の負荷を常態として軽減する取り組みが必要です。
誰がいつ休んでも、余裕があれば寛大になれます。
業務の効率化と断捨離により、余裕のある働き方を定着させましょう。

業務改善に取り組みましょう

カバー従業員をフォロー&評価

介護社員の穴を埋め業務が滞らないようカバーしている社員に対し、言葉と待遇により評価と感謝を伝えましょう。
評価に反映されなければ、カバー損と感じられ、誰も介護等に携わる仲間をフォローしないどころか、責める風土が築かれていきます。
また、どれほど働き方改革が進んでいても、カバー社員は一時的に、通常よりは多くの業務を担っています。
一人または一部の社員のみでカバーするのではなく、協力体制を広げ、職場全体で介護社員と高齢社会を支えましょう。
カバー社員の過重労働による疲労とストレスをケアする体制も構築しましょう。

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