ハラスメントが起こりやすい職場の特徴は
ハラスメントが起こりやすい職場には、共通の特徴があります。
上司と部下のコミュニケーションが少ない又はない、残業が多く休暇を取りづらい職場、業績が低下している又は低調である、従業員の年代に偏りがあるといった職場では、パワハラもセクハラも起こりやすい傾向があります。
▼PDFダウンロード
Document「ハラスメントが起こりやすい職場/リスクチェック」
(1)コミュニケーション不足
忙しい、ハラスメントと言われるから話しかけるのも怖い…など、現代ならではの様々な理由から、近年は職場でのコミュニケーションが滞りがちです。しかし、意思疎通をしなければ、言葉不足による誤解が生じたり、仕事が円滑に進まなくなり労働時間が長くなったり、それにより苛立ちが募ったり損失が発生したりして、ますます人間関係を悪化させます。コミュニケーション控えが返ってハラスメントを誘発するという悪循環に陥ります。
ハラスメントを恐れて萎縮するのではなく、適切な密度のコミュニケーションを積極的にとり、信頼関係を高め、風通しを良くすることが、ハラスメント防止や、より良い仕事、業績向上などの成果をもたらします。
(2)忙しい・長時間労働
業務過多で、残業が増え、休日労働が増えると、疲労やストレスから精神的余裕を失い、発する言葉にトゲが生えてきたり、コミュニケーションが停滞したり、部下や同僚への気遣いができなくなったりして、人間関係に悪影響が及びます。長時間労働がコミュニケーションを停滞させ、コミュニケーション不足がさらに長時間労働を生みます。
良い仕事をするためには、余裕が必要です。
(3)業績が低下している
業績が低下している企業には、焦りや苛立ち、怒りなどで重くなった空気が充満しています。互いに責任転嫁し合い、なじり合い、もちろん助け合うことなく、ハラスメントが起こりやすくなります。
特に、経営者の不安が現場に伝わり、現場を困惑させます。業績が不安定なときこそ、トップは現場を安心させるふるまいと、情報発信による透明性が必要です。
チェックリスト
職場のパワハラリスクチェック
- 朝夕の出退社のとき、挨拶をする人がほとんどいない
- 無表情で、事務的で、目を合わせずに会話する人が多い
- トップや管理職は、自分の職場にはハラスメントは存在しないと考えている
- 人は厳しく指導することで育つという意識が強い職場だ
- 上下関係が絶対的で、それを意識した発言が散見される
- 失敗やミスに対する許容度が低い
- ノルマが厳しい
- 性格や能力、外見など人格を否定する発言が散見される
- 目標が達成できないときのペナルティが大きい、厳しい指導がある
- 上司に対して、意見や反論は言えない雰囲気だ
- 保守的で前例踏襲主義。挑戦や新しい提案には否定的で、できない理由を並べて却下する
- 職場の誰かが困っていても、助け合える雰囲気ではない
- 職場内での問題について、職場内で話し合って解決しようという雰囲気ではない
- 質問したり助けを求めたりしづらい雰囲気がある
- 陰口や悪口が多い
- 雑談がなく、会話は仕事の用件のみである
- 情報共有が不十分で、偏りや秘密が多く、透明性が低い
- 差別や偏見があり、多様性を受け入れる風土ではない
- 男女役割分担意識や性別に基づく固定観念、セクハラがある
- 休職者や退職者が相次いでいる
職場のセクハラリスクチェック
- 肩に手を置く、背中を押す、手を握るなどのスキンシップが日常的にある
- 性的な冗談や噂話、恋愛話、性的魅力についてのランク付けなどが、日常的にある
- 男女が一緒に仕事をすると、恋愛関係にあると噂されたり、からかわれたりすることが多い
- 「今日もかわいいね」「男前だね」「美人」「美男」などの言葉が日常的に使われている
- お茶くみや掃除、電話応対や来客応対、雑用は、女性の仕事で、男性はほとんどしない
- 接遇研修には、主に女性を参加させ、男性は任意参加となっている
- 責任ある仕事(企画・営業)や難易度の高い仕事、業務研修は、男性のみで行う
- 秘書業務や補助業務には、自動的に女性が配置される
- 女性は出世しにくい、管理職に占める女性の割合が1割未満である
- 男性の方が残業時間が長く、受ける指導も厳しい
- 女性に対しては必要以上に優しい
- 女性は結婚や出産を機に退職することが多い(寿退社風土)
- 男性が育児のために休むことは許されない雰囲気がある
- 女性も育児休業等を取得しづらい雰囲気がある
- 仕事と育児の両立に四苦八苦しているのは女性のみである
- 他企業等へのプレゼンや接待の際には、相手への取り計らいとして、女性を同行させる
- 花束贈呈は女性の役割になっている
- 酒席では男性と女性が交互に座ることになっている。特に上司の隣りには上司の異性を座らせる
- 酒席には特に女性の参加が義務付けられている、又は無言の圧力がある
- 宴会では男女のデュエットが恒例になっている
ハラスメントを防ぐために
以上のように、働き方や業績と、ハラスメントや人間関係は、つながっています。ハラスメントを防ぐためには、働き方全体を総合的に改革することが大切です。コミュニケーションを適切な密度でしっかりとり、協力し合って仕事の量と質を高め、業績を改善することです。
チェックが多くついたなら…