ジェンダーハラスメントとは・必要な対策

ジェンダーハラスメントとは

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは、性別に関する固定観念や、性別に基づく役割分担意識による差別や嫌がらせのことです。
男性は体力があり、仕事一筋で、決断力があり、重要な業務を担う能力がある、
女性は体力がなく、重要な業務を担う能力はないが、きめ細やかで、結婚が幸せの全てであり、家事や育児に専念すべきである、
という固定観念から、ジェンダーハラスメントに該当する言動が生まれ、それにより受け手が不快感を抱いたり、就業環境を害されたり、昇進や教育の機会を奪われたりします。
大きくはセクハラに分類されていますが、セクハラのうち「性的」ではない言動はジェンハラに小分類されます。

ジェンダー

性別に関する社会的規範と性差

性差

個人を性別カテゴリーによって分類し、統計的に集団として見た結果、集団間に認知された差異

ジェンダーバイアス

性別に関する固定的観念や性別による役割分担意識

ジェンダーハラスメント

ジェンダーバイアスによる差別や嫌がらせ

『現代社会学事典』、見田宗介弘文堂、東京

ジェンハラの行為例

以下にジェンダーハラスメント(ジェンハラ)の行為例を列挙しますが、こちらは一例です。
例を挙げれば切りがないほど該当性は幅広く、また分単位・秒単位で頻発しているほど日本では発生が常態化しています。

  • 「男のくせに」「女のくせに」「男らしく」「女らしく」等の言葉を用いる
  • 男性は論理的、女性は感情的等と決めつける
  • 「男なら泣くな」「男なら残業しろ」「男なら耐えろ」等と男性に強さを要求し、力仕事や残業を命じる
  • 「強い女は扱いづらい」「女は三歩下がって」「女なら黙って支えていろ」等と女性に弱さや補助役を強いる
  • 女性にばかり電話応対やお茶汲み、掃除等の雑務を命じる
  • 重要な意思決定を行う会議には女性を入れないが、宴会には女性の参加を義務とする
  • 男性には重要な業務を任せるが、女性には雑務しかさせない。しかし重要な顧客の対応には女性を同席させる
  • 優秀な女性を「性転換」「おとこおんな」「可愛くない」「だから結婚できない」等の言葉で下落させようとする
  • 「男の淹れたお茶はまずい」「女の子の入れたお茶は美味しい。女の子に淹れてもらいたい」等と発言する
  • 「女性は職場の華」「女性がいると華やかでいいね」等と発言する
  • 「早く結婚したら?」「女の幸せは結婚だろ」「子どもはまだか」等と結婚や子どもについて言及する
  • 「男なら家庭より仕事を優先しろ」「女なら仕事より家事や育児を優先しろ」等と発言する
  • 男性が子どものために休んだり定時で退社したりすると、「情けない」「尻に敷かれているね」「男らしくない」等と嫌味を言う
  • 子どものいる女性が働いていると「子どもが可哀想」「母親失格」「家庭に入るべき」等と嫌味を言う
  • 未婚の女性に対し「生き遅れ」「売れ残り」「かわいそう」などと言う
  • 一定年齢に達した女性に寿退社を促す
  • 若い女性を「お嬢さん」「女の子」「小娘」等と、一定年齢に達した女性を「奥さん」「おばさん」等と呼ぶ
  • 若い男性を「男の子」「坊ちゃん」等と、一定年齢に達した男性を「おじさん」等と呼ぶ
  • 男性は「さん」付けや役職で呼ぶのに、女性は「ちゃん」付けや下の名前で呼ぶ
  • 容姿や化粧、服装について不必要に意見や感想を言う
  • 宴会では役員や顧客の隣に、その者の異性を座らせる、などなど・・・

ジェンハラの背景

欧米を中心に世界では、女性の働き続けやすさを整え、仕事の世界における差別を撤廃することで、女性の経済的活躍を進めてきた結果、経済成長を果たしてきました。
女性の社会的活躍が、出生率回復と企業業績向上に正の影響をもたらしているのです。
しかし日本では、真逆の固定観念に捉われ、負のスパイラルに陥っています。
固定的男女役割分担意識に基づく社会構造、制度、慣習から抜け出せずにいる日本では、女性の活躍が少子化を加速させ、経営にとって厄介者であり、社会を停滞させる、とする前提のもとに、女性にとって働きやすい職場環境の整備を遅らせ、また社会進出する女性に対する差別を助長しているのです。
女性の活躍は少子化を抑制し企業業績を上げ経済成長を促すことは諸外国が証明しているにもかかわらず、日本は女性の活躍を抑圧しているわけですから、日本が前提としているとおり、少子化はさらに加速し、企業の業績も上がらないという、自業自得とも言える予言の自己成就が起きています。

母親は家庭に入り、または家庭を優先すべきであり、人格、学習、健康のいずれかで好ましくないことが子に生じると、すべてが「母親の責任」になり、また子を生まない女性は社会の役に立っていないと非難される、日本の男女役割分担意識は、女性や母親に対し、過剰な責任を押し付けています。

「社会・経済=男性」「家庭=女性」という男女役割分担意識に基づく性別分業制は、仕事の世界を「男の世界」と固定化しています。
「男らしさ」に反する男性の言動は嫌悪され、女性の仕事は男性の仕事と比べ軽く、低く評価され、期待されず、差別されます。

国際社会や社会構造はこの数年だけでも大きく変化しているのに、日本の男女役割分担意識だけがその変化に追いつけず、いまだ昭和時代のまま変わっていません。

女性のキャリアアップのために

男女役割分担意識は、年配の男性だけが執着しているわけではなく、意外にも女性たちの中にも定着しています。
長くその文化に接してきた年配の女性たちはもちろんのこと、「仕事は男の世界」という社会で幼少期より育ってきた若い世代も、「こういうもの」として受け入れてしまっています。

若い女性たちも、「かわいい」「きれい」とチヤホヤされることに甘んじず、例えば企業イメージ向上のためのパフォーマンスとして登用されたとしても、それをチャンスとして、その中で実力を発揮しある意味管理者たちの期待を裏切る活躍をすることで、道を切り開くべきです。

企業は

女性の多くは、第一子出産後に離職します。また就業継続したとして、家事・育児のイベントに職場も巻き込まれることになります。
女性は長期雇用に不向きであり、活躍を期待して育てたとしても骨折り損に終わる可能性が男性よりは高いため、企業は女性の採用・育成・登用に躊躇します。
女性の早期離職を前提に、企業は男性に照準を合わせた雇用管理をする、すると長期就業を希望していたとしても女性は諦めざるを得なくなり、女性たちの意識も士気も高まらないまま、企業の「予定通り」早期離職します。企業は「やっぱり女性は長く働いてくれないよね」と再認識し、ますます男性寄りの雇用管理をする・・・という悪循環に陥っているのが、日本企業です。

この循環を逆流させるには、まずは企業が、「性別問わず働き続けやすい環境と制度を整えよう」と取り組み、女性にも当たり前のようにルートを開き、本人が希望すれば女性でも男性でも長く活躍できる土台を構築することです。

施策例

  • 両立支援制度の整備
  • 男女均等待遇
  • 昇進機会の平等付与
  • 管理者教育

上司は

良かれと思って「女性扱い」「特別扱い」「優しく」することが、かえって女性たちの肩身を狭くし、また機会を奪うことになります。
無理、難しい、できない、不安、などの声を上げやすい関係性を築いた上で、男性と同様に成長を促進することを目的とした適度にハイレベルな仕事を、高い裁量権を持って任せ、期待すること、それにより盤石の信頼関係を築くことが重要です。

  • 女性にも男性と差別せず同様に期待し、任せ、鍛える
  • 信頼し、裁量権を与える
  • 働く場所や時間を臨機応変に調整する
  • 常に「成長」「育てること」を意識して管理・指導する
  • やりがい、生きがいを感じられる仕事体験を与える
  • 性別をリセットし、公正に評価する
  • 不必要な「遠慮」「優遇」をしない