ジェンダーハラスメントとは/ジェンダー意識改革

ジェンダーバイアスをリセット

ジェンダーバイアスとは、性別に関する固定観念や性別による役割分担意識のこと。世界には未だにジェンダーバイアスが根強く残り、特に日本では「バイアスをなくすべからず」という抵抗勢力が踏ん張っているためか、弱まる気配がありません。
個々人の真の実力ではなく、「性別」を基準として能力を過小または過大評価している現状では、真に実力を有する人材の真の実力を活かしきれず、組織は莫大な損失を創出し続けていることになります。
1%の遅れが死活問題となる激しい国際競争にあっては、性別を理由に機会をみすみす逃すなんて、愚劣極まりないことです。
ジェンダーバイアスを一旦リセットし、性別フィルターを通さずに、その人その人を真っ直ぐ捉え、認めるべきです、例え自分と異なる性別や価値観を持つ人であろうと。
企業は、ジェンダー平等の意識を、組織に啓発するべきです。

ジェンダーハラスメントとは

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは、性別に関する固定観念や、性別に基づく役割分担意識による差別や嫌がらせのことです。
男性は体力があり、仕事一筋で、決断力があり、重要な業務を担う能力がある、
女性は体力がなく、重要な業務を担う能力はないが、きめ細やかで、結婚が幸せの全てであり、家事や育児に専念すべきである、
という固定観念から、ジェンダーハラスメントに該当する言動が生まれ、それにより受け手が不快感を抱いたり、就業環境を害されたり、昇進や教育の機会を奪われたりします。
ジェンダーハラスメントはダイバーシティを阻害し、組織を弱体化させます。

ジェンダー

性別に関する社会的規範と性差

性差

個人を性別カテゴリーによって分類し、統計的に集団として見た結果、集団間に認知された差異

ジェンダーバイアス

性別に関する固定的観念や性別による役割分担意識

代表的なジェンダーバイアス

  • 男性が主/女性が従
  • 男性が外/女性が内
  • 男性は動/女性は静
  • 男性は青/女性は赤
  • 男性は理系/女性は文系
  • 男性は辛党/女性は甘党
  • 男性は無口・女性は長話
  • 男性は論理的/女性は感情的

ジェンダーハラスメント

ジェンダーバイアスによる差別や嫌がらせ

『現代社会学事典』、見田宗介弘文堂、東京

日本のジェンダー平等

ジェンダーギャップ指数は常にワースト

ジェンダーギャップ指数2022上位国及び主な国の順位

男女賃金格差も世界ワーストレベル

記事:映画『ファクトリー・ウーマン』

政治における女性

ジェンダーハラスメントの行為例

以下にジェンダーハラスメント(ジェンハラ)の行為例を列挙しますが、こちらは一例です。
例を挙げれば切りがないほど該当性は幅広く、また分単位・秒単位で頻発しているほど日本では発生が常態化しています。

  • 「男のくせに」「女のくせに」「男らしく」「女らしく」等の言葉を用いる
  • 男性は論理的、女性は感情的等と決めつける
  • 「男なら泣くな」「男なら残業しろ」「男なら耐えろ」等と男性に強さを要求し、力仕事や残業を命じる
  • 「強い女は扱いづらい」「女は三歩下がって」「女なら黙って支えていろ」等と女性に弱さや補助役を強いる
  • 女性にばかり電話応対やお茶汲み、掃除等の雑務を命じる
  • 重要な意思決定を行う会議には女性を入れないが、宴会には女性の参加を義務とする
  • 男性には重要な業務を任せるが、女性には雑務しかさせない。しかし重要な顧客の対応には女性を同席させる
  • 優秀な女性を「性転換」「おとこおんな」「可愛くない」「だから結婚できない」等の言葉で下落させようとする
  • 「男の淹れたお茶はまずい」「女の子の入れたお茶は美味しい。女の子に淹れてもらいたい」等と発言する
  • 「女性は職場の華」「女性がいると華やかでいいね」等と発言する
  • 「早く結婚したら?」「女の幸せは結婚だろ」「子どもはまだか」等と結婚や子どもについて言及する
  • 「男なら家庭より仕事を優先しろ」「女なら仕事より家事や育児を優先しろ」等と発言する
  • 男性が子どものために休んだり定時で退社したりすると、「情けない」「尻に敷かれているね」「男らしくない」等と嫌味を言う
  • 子どものいる女性が働いていると「子どもが可哀想」「母親失格」「家庭に入るべき」等と嫌味を言う
  • 未婚の女性に対し「生き遅れ」「売れ残り」「かわいそう」などと言う
  • 一定年齢に達した女性に寿退社を促す
  • 若い女性を「お嬢さん」「女の子」「小娘」等と、一定年齢に達した女性を「奥さん」「おばさん」等と呼ぶ
  • 若い男性を「男の子」「坊ちゃん」等と、一定年齢に達した男性を「おじさん」等と呼ぶ
  • 男性は「さん」付けや役職で呼ぶのに、女性は「ちゃん」付けや下の名前で呼ぶ
  • 容姿や化粧、服装について不必要に意見や感想を言う
  • 宴会では役員や顧客の隣に、その者の異性を座らせる、などなど・・・

ジェンダーギャップがセクハラを助長する

セクハラ加害者のほとんどは男性で、男性による女性に対するセクハラの背景には、ジェンダーギャップ、男性優位の社会構造があります。
男性が支配する社会にとって、新参者である女性は、男性の既得権益を脅かす厄介者です。
縄張り意識が働き、無意識的に女性を排除する行動を取ります。
差別や、セクハラという形で。

あるいは、自らの支配欲や性欲を満たすために、権力を濫用します。
権力を持つセクハラ加害者は、仕事(目標や夢)とセクハラを交換できると考えます。
この仕事がほしいなら、セクハラを許容しなさい、セクハラが嫌なら、この仕事は諦めなさい、と選択を迫るのです。
女性は、能力や情熱があっても、仕事を諦めるか、セクハラを受け入れるかのどちらかです。

女性を必要以上に「弱者」と設定し、弱き者を守るという名目で「難しい仕事をさせない」「重責を担わせない」と聞こえよく「牽制」し、そしてその簡単な仕事に見合った賃金を設定し、賃金格差を維持しているのです。
「男性が女性に仕事を与える」構造では、セクハラがなくならないばかりか、能力のある女性が活躍する機会が損なわれ、社会にとっても大きな損失です。

政治や経済、教育、メディアで、女性の地位が上がり、女性がトップに立つ割合が増えれば、男性支配の構造が崩壊し、セクハラも減るはずです。

ジェンハラやセクハラが女性の実力発揮を阻害する

セクハラ・ジェンハラの負のスパイラル
ジェンダーハラスメントやセクシュアルハラスメントは、女性が真の能力を発揮する意欲や機会を奪います。
そして、女性が能力を発揮しきれなくなると、女性の能力を過小評価するジェンハラやセクハラが一層深刻化します。
この負のスパイラルから抜け出し、または陥る前に、ジェンダーハラスメントを撲滅すべきです。

ジェンダーハラスメントをなくすために

男女役割分担意識は、年配の男性だけが執着しているわけではなく、意外にも女性たちの中にも定着しています。
長くその文化に接してきた年配の女性たちはもちろんのこと、「仕事は男の世界」という社会で幼少期より育ってきた若い世代も、「こういうもの」として受け入れてしまっています。

若い女性たちも、「かわいい」「きれい」とチヤホヤされることに甘んじず、例えば企業イメージ向上のためのパフォーマンスとして登用されたとしても、それをチャンスとして、その中で実力を発揮しある意味管理者たちの期待を裏切る活躍をすることで、道を切り開くべきです。

企業が講ずるべきジェンダーハラスメント対策

女性の多くは、第一子出産後に離職します。就業継続した場合には、家事・育児のイベントに職場も合わせていくことが求められます。
「女性は長期雇用に不向きであり、活躍を期待して育てたとしても骨折り損に終わる可能性が男性よりは高い」とネガティブに捉えられ、企業は女性の採用・育成・登用に躊躇します。
女性の早期離職傾向を前提に、企業は男性に照準を合わせた雇用管理をする、すると長期就業を希望していたとしても女性は諦めざるを得なくなり、女性たちの意識も士気も高まらないまま、企業の「予定通り」早期離職します。企業は「やっぱり女性は長く働いてくれないよね」と再認識し、ますます男性寄りの雇用管理をする・・・という悪循環に陥っているのが、日本企業です。

この循環を逆流させるには、まずは企業が、「性別問わず働き続けやすい環境と制度を整えよう」と取り組み、女性にも当たり前のようにルートを開き、本人が希望すれば女性でも男性でも長く活躍できる土台を構築することです。

企業のジェンダーハラスメント施策例

  • 両立支援制度の整備
  • 男女均等待遇
  • 昇進機会の平等付与
  • 管理者教育
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