日々セクハラ加害者の教育研修を実施していると、「良かれと思って」という言葉が多く聞かれます。
悪気なく、相手のためを思って、ほめたつもりで、手を差し伸べたつもりで・・・
なのに「セクハラ」と言われて困惑していると、多くの加害者が嘆きます。
「良かれと思ってセクハラ」の例と、真実
場を和ませようと、コミュニケーションや冗談のつもりで
- 場を和ませたくて、下ネタを
- 笑わせたくて、下品なポーズを
- 可愛い笑顔を写真に残してあげたくて
- 声がいいから、録音してみた
しかし、受け手や周囲は全然楽しくありません。
むしろ不愉快、場は凍りついています。
好意を持たれているから、応えてあげたくて
笑顔で話しかけてくれるから、
自分の言うことを素直に聴いてくれるから、
お茶を入れてくれたから、
LINEに返事をくれたから…
という部下の反応を、「好意」と勘違いして、無碍にもできなくて、好意に応えてあげたくて、セクハラをしてしまう。
部下の笑顔と親切を「好意」と感じたときは、99%以上の確率で、勘違いです。
残りの1%に人生のすべてを賭けるのは、あまりにリスキーです。
心配で、助けてあげたくて
- 職場に慣れるまで緊張を解してあげたくて、たくさん話しかけた
- 一人で夜遅く帰るのは危険だから、一緒に帰ろうと思って
- 家でも悩んでいるだろうから、帰宅後もフォローのメールを
- 仕事で失敗して泣いていたから、抱きしめてあげた
助けるどころか、逆に警戒心や不快感を抱かせ、危険にさらしています。
指導の一貫で
- 身体に触れる
- お尻を叩く
- 身体を触らせる
- 二人きりで指導する
- 休日に指導する
- プライベートの写真を送らせる
- (テレワークで)部屋や全身を見せるよう命じる
- 個人的なことや性差別、卑猥な例を持ち出して叱る
「指導」は免罪符ではありません。
下心はすべて見抜かれています。
指導に下心を持ち込んではいけません。
アイディアや芸術に必要だから
- 卑猥な冗談を連発する
- 卑猥なポーズをとらせる
- 卑猥なポーズや動作をする
- わいせつな画像や映像を見る・見せる・表示する
「仕事」も免罪符ではありません。
そのせいで失われるアイディアや芸術は甚大です。
「良かれと思ってセクハラ」を防ぐ・更生する
平均的な感覚を知る
良かれと思ってセクハラは、一般的な不快の感性とのギャップにより起こります。
「嫌がる人の方が多い言動」を、認識してもらうことが必要です。
相手の心情を知る
自分の愛や親切を押し付けるのが良かれと思ってセクハラです。
相手はどのような感情を抱くか、どのような被害を被るのかを、想像していない、あるいは自分にとって都合良く想像し解釈してしまっているのです。
一般的に被害者がどのような心情になるのかを、知ってもらう教育が必要です。
「一線」を知る
行為者にとっては「正義」でも、一方的な正義を貫いて身体的・心理的なパーソナルスペースに立ち入り、相手の心をえぐったりかき乱したりするのは、暴力に等しいです。
家族でもない、友人でもない、赤の他人である仕事関係者は、一定の距離を保ち続けなければなりません。
適切な距離感を知り、一般的にはどこが境界線なのかを認識する教育が必要です。
予防教育が重要
良かれと思って、親切のつもりでコミュニケーションを取ったら、「セクハラ」と訴えられた…
無知ゆえに無自覚でセクハラをしてしまった行為者も、気の毒といえば気の毒です。
したがって、上述のような「知る」予防教育を盤石にすることが、未来の行為者への救いとなります。
平均的な感覚や、被害者の心情、越えてはならない一線などを、認識させる研修の実施が有効です。
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