スイスチーズモデル

リスク管理に関する概念の一つ。スイスチーズの内部に多数の穴が空いているが、穴の空き方が異なる薄切りにしたスイスチーズを何枚も重ねると、貫通する可能性は低くなる。同様に、リスク管理においても、視点の異なる防護策を何重にも組み合わせることで、事故や不祥事が発生する危険性を低減させることができる。スイスチーズモデルでは、完璧な防護壁は存在しないと認識した上で、個々の防護壁が正しく機能するよう監視することが重要とされる。

(出典:コトバンク)

  • 「単体で完璧」という防衛策は存在しない。
  • 同じ防衛策(同じ箇所に穴のあるチーズ)を複数重ねても穴は埋まらない。
  • しかし異なる防衛策(穴の箇所がそれぞれ異なるチーズ)を重ねれば、穴を小さくすることができる。
  • また、防衛策一つひとつの精度を高める(チーズの穴を小さくする+少なくする)ことで、すり抜けのリスクを低減できる。
  • 一つひとつの防衛策を可能な限り強固にし、また数と種類を増やし幾重にも重ねることで、「完璧ではなくてもリスクを低減する」ことはできる。
  • それでも完璧ではないから、万が一リスクが発生した際への備えを準備しておく。
単体の質×組み合わせ×積み重ね

風邪予防に例えると、栄養バランスの取れた食事、規則正しい生活、防寒、手洗い、うがい、マスク、人混みを避ける等々、私たちは日頃から様々な防護壁を立てています。

防護壁がこれらのうちどれか一つだけだとしたら、風邪を引くリスクは高まります。
壁が多ければ多いほど、リスクは低減されます。

また、どれほど数を増やしても、一つひとつが脆弱であれば、ウイルスは簡単にすり抜け私たちの身体を侵します。
防護策の数と、それぞれの機能性を高めることが、危機管理においては重要です。

経営上・業務上の危機においても同様です。

ミスや事故は、多くの場合、いくつもの要因が重なった結果として生じるものです。
一つ目の壁が機能せずにすり抜け、二つ目の壁も機能しなかったためすり抜け、三つ目も・・・と、壁は複数用意されているにも関わらず、それぞれが簡単にすり抜けられるほど脆弱であったために連鎖的又は組織的にミスが重なり、大きな事故に繋がるというケースが多いのです。

●チーズに大きな穴を開けないこと
●チーズをいくつも重ねること

チーズに穴を開けないためには、起こり得る事故を予見する力、すなわち潜在的リスクを把握すること、自社の安全策の弱点を自覚し克服することが必要です。

例えば患者・利用者からのハラスメント(ペイシェントハラスメント)では

  • 患者等とのコミュニケーション、丁寧な説明
  • 注意喚起ポスターの掲示
  • 防犯カメラの設置
  • 防犯ブザーやベルの装備
  • 警備員の配置
  • 診察券の確認
  • 声かけ
  • 複数名体制
  • 警察との連携
  • 他院との連携・情報共有
  • 死角ないレイアウト
  • 職員研修の実施
  • 相談窓口の整備

等々、できること、すべきことはたくさんあります。

「これに取り組めば完璧」という対策はなく、小さな対策をコツコツ毎日積み重ねること、小さな対策も形骸化させず一つひとつの精度を高めること、ミスや事故が生じた場合は直接的な要因のみに集中して解決策や再発防止策を講じるのではなく、全体を俯瞰しそこに至るまでにどのような複数のエラーが積み重なり、それぞれの防護策がなぜ機能しなかったのか、を追究するプロセスが必要です。