厚生労働省は、7月1日、下記の通達を発出しました。
●医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について(基監発0701第1号)
●医師、看護師等の宿日直許可基準について(基発0701第8号)
●医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について(基発0701第9号)
これらは、今年3月28日に取りまとめられた「医師の働き方改革に関する検討会報告書」を踏まえて出されたものです。
【宿日直許可基準について】
次の要件をすべて満たし、かつ、夜間に十分な睡眠がとれる場合には宿日直の許可を与えることとしました。
・ 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
→ 通常の勤務時間終了後もなお、通常の勤務態様が継続している間は、通常の勤務時間の拘束から解放されたとはいえず、その間の勤務については、許可の対象とはなりません。
・ 従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限られたものであること
→ 医師が問診等や看護師等に対する指示を行ったり、看護師がかかりつけ患者の問診等や医師への報告、定時検脈、検温を行ったりする場合は、許可の対象とはなりません。
【研鑽に係る労働時間該当性について】
・ 所定労働時間内の研鑽の取扱い
→ 使用者に指示された勤務場所において行う場合は、当該時間は、当然に労働時間となります。
・ 所定労働時間外の研鑽の取扱い
→ 本来業務と直接の関連性なく、かつ、業務の遂行を指揮命令する上司の明示・黙示の指示によらずに行われる限り、在院して行う場合であっても、一般的に労働時間に該当しません。
→ 上司の明示・黙示の指示により行われる場合には、所定労働時間外に行われるものであっても、または本来業務との直接の関連性なく行われるものであっても、一般的に労働時間に該当します。
・ 研鑽の類型ごとの判断の基本的考え方
→ 新たな知識・技能の習得のための学習、研究・論文作成、手術の見学等について、各々が労働時間に該当するか否かの基本的考え方が示されています。
なお、上記通達は解釈の明確化を図ったものであり、これまでの労働基準法の取扱いを変更するものではありません。しかし、医師の研鑽に係る労働時間該当性については、いわゆる「無給医」問題について、厚生労働大臣も速やかに改善が必要との認識を示していることから、今後の対応が注目されます。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
医師、看護師等の宿日直許可基準について
http://www.hospital.or.jp/pdf/20_20190701_01.pdf
「医師の働き方改革に関する検討会」が「報告書」を取りまとめました
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04271.html
「大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査」の公表について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1418468.htm
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