大学におけるハラスメント 不十分な対応、増える訴訟(2022年1月11日 朝日新聞)

朝日新聞は、大学及び大学院におけるハラスメントについて特集しています。

大学や大学院で発生したハラスメントが学内では解決されず、被害者が提訴する事例が相次いていて、相談体制が整っていないことや機能していないことが背景にあるということです。

<記事で取り上げられている裁判例>

  • 被害者の女性は、九州の医療系大学の大学院生だった6年前、以前から知り合いだった教授から身体的セクハラを受け精神的に不安定になり、大学内のハラスメント相談担当教員の不十分な対応の後、調査委員会に申し立てても説明がなく、弁護士を通じた連絡に対する返答ではセクハラを認めたものの教授を停職1か月の懲戒処分としたことを相当遅れて知らされたこと、謝罪もないことなど、大学の不誠実な対応を不服として、2018年3月に教授と大学を相手取り提訴。教授によるハラスメント行為と教授と大学への損害賠償が認められた(女性・大学ともに控訴)
  • 東京都内の私立大学大学院生だった女性は、男性教授から「俺の女にしてやる」と言われるセクハラを受け、コースの主任だった教授に相談すると「あまり外では言わないように」と言われ、教授への恐怖や大学への不信感から通えなくなり中退、2018年4月に大学のハラスメント防止室に相談したが、中退者の申立であるとして対応を得られず、書面で大学の総長に直訴。1か月後に調査報告書がまとめられ教授は解任、主任についても訓戒処分となった。しかし女性は処分内容や調査委員会の構成員に不服があるとして、2019年6月、元教授と大学を相手取り、提訴。
  • 徳島大学の准教授が、教授からのパワハラが原因でうつ病になったのに、大学が適切に対応しなかったとして慰謝料を求め提訴。
  • 旭川医科大学の准教授と助教が、教授らのパワハラにより休職したが、大学が適切な調査をしなかったなどとして損害賠償を求め提訴。現在、係争中。

文部科学省の2018年度調査によると、全国の99.7%の大学がハラスメント防止に取り組んでいて、99.3%が相談窓口も設置していますが、その運用方法に基準はなく、被害者からは窓口が機能していないという声が上がっているといいます。

機能していないことについて、以下の理由が指摘されています。

  • 社長をトップとする指揮命令系統がある企業と違い、大学はそれぞれの研究室が独立し相互に不干渉であるため、ガバナンスが効かない。
  • 相談員に専門の知識がなく、また女性が少ないこと、相談内容が年々複雑化していることから対応が難しくなっている。

こうした現状を受け、文部科学省は、隔年で実施している大学のハラスメント対策調査時に、第三者窓口の設置についても確認し、第三者窓口のある大学の取り組みを周知するなど、対策に向け動くとしているそうです。

朝日新聞の記事では、「高度な専門教育を受けて研究の最前線で活躍している人材、あるいはその可能性のある人材を失うことは、社会にとって大きな損失となることを、多くの人が考えるべきだ。」と強調しています。

当社では、第三者窓口として大学内のハラスメント対策強化に携わっています。
学生様から直接、ご相談やご通報などをお受けします。

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株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ等ハラスメントや過労死・過労自殺、人権侵害、労働災害等のリスクから企業と労働者を守る労務危機管理コンサルティング会社です。