見直される、個人と組織の関係性

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経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート」では、「個と組織の関係性」について、硬直的でイノベーションのない「相互依存」から、互いに選び合い、共に成長する関係性、多様な経験を取り込み、イノベーションにつなげる「個の自律・活性化」の関係性への変革が求められています。

人的資本経営 伊藤レポート 変革の方向性

企業や組織が上から目線でメンバーを選び、命令し束縛し支配するのではなく、社員は組織の支配から開放され、企業や組織と対等な立場で、選び選ばれる存在であり、組織に従い行動するのではなく、自律的に、組織と共に成長しイノベーションを起こしていく主体である、ということです。

では、どうすれば、自律した個人が組織に貢献しようと動いてくれるのでしょうか。
言い換えれば、どうすれば「従業員エンゲージメント」は高まるのでしょうか。

パーパス経営

パーパス経営
多様な人材が一つの企業で価値を創造するのですから、目指すべき北極星=パーパスを明確に示し、全社員と共有し、全社員に浸透させることが大切です。
口頭や文書で示すことに加え、事業計画や評価制度に具体的に組み込むことで、ただの綺麗事、机上の空論では終わらせない「仕組み」を作ります。

個人が自律するといっても、完全に自分本位に考えるというのではもちろんなく、チーム全体と他のメンバーを捉える「全体視点」が求められます。
企業のパーパスに基づくチーム全体のビジョンや役割から、個々人に個々の役割を付与し、それぞれの役割においては全員がリーダーであり責任者であると理解させること、当然各々のリーダーは常に全体への貢献を考えなければならないというというリーダー教育もまた必要です。

自発的な成長と貢献を促す

そこから先は、監視し管理するのではなく、社員を信頼し、任せます。
人は、期待されれば期待に応えようとし、信頼されれば裏切らないものです。

ポイントは、「部下の意見を聞き、活かす」ことです。

まずは、聴く(聞く)こと。
ああしろこうしろと上から命じるのではなく、「あなたの意見は?」と問い、部下の答えに耳を傾けます。
顔と体を部下に向け、作業の手を止めて、関心をもって、大きくうなずきながら、否定したりあざ笑ったりすることなく、真剣に聴きます。
自分ばかりが話してしまいがちな上司が多いですが、部下とのコミュニケーションでは「聞き役」に徹します。

朝礼や会議などでも、トップから一方的に発信するのみになっているケースが多いですが、発信・報告だけでなく、部下層・現場社員の意見も積極的に吸い上げることが大切です。

そして、活かすこと。
たとえ経験豊富な上司から見れば未熟で荒削りな意見だったとしても、可も不可もないくらいの意見であれば、その提案を採用します。
すると、部下からの提案が積極化し、組織のため、会社のためにもっと良い提案をしようと自己成長しようとします。

斬新なアイディアも、挑戦も、歓迎します。
人は、挑戦し、失敗し、失敗を乗り越えて成功するというプロセスを経ることで、大きく成長するものです。
失敗しても大丈夫、失敗は成長の元、失敗したとしても挑戦すること・したことだけで素晴らしい、また次頑張ろうと、挑戦とセットで失敗も肯定的に受け止める姿勢を見せ続けると、挑戦と成長が促されます。

挑戦を歓迎する

個人の知恵を組織に集結する

人的資本経営 人と組織の関係性
組織は、個々人の知識と経験をベースとした知恵を集結することで価値を創造します。
上層部の声の大きな一部の人だけが発言し続けるのでは、新たな価値は創造されず、組織は硬直化し、企業は衰退していきます。
多様な人材、新たな人材が、年齢や勤続年数や立場に関係なくフラットに知恵を出し合える組織こそ、持続的な成長を遂げられます。
風通しがよく、心理的安全性の高い組織。それは、前述の通り、「聴く」「活かす」「歓迎する」ができている組織です。

一人ひとりと向き合う

個人面談 1on1ミーティング
近年、1on1ミーティングが盛んに取り入れられています。
一人ひとりの熱意や人生観と徹底的に向き合うことを怠ってはいけません。

社員は、人生の多くを会社で過ごすことになります。
社員一人ひとりが持つ人生の目標や生きがいが、会社の理念やビジョンとマッチしていなければ、会社で働いている時間は社員の人生に意義をもたらしません。
「この会社で働いていることが私の人生の価値を高めている」と実感できるよう、個人と組織のベクトルを合わせることが必要で、そのためには、一人ひとりと向き合うことが必須です。

個人は組織の一員であり、組織は個人の人生の大部分を占めるのです。
お互いにとってウェルビーイングな関係性を築きたいものです。