ハラスメント相談窓口<準備編> ハラスメント予防の基本のキ、「相談窓口」の利用を促進しましょう

働く人の3人に1人がパワハラを受けたことがあると感じているのに、その半数近くが、その後何も行動を起こしていません。
その理由を見ると、「何をしても解決にならないと思ったから」「職務上不利益が生じると思ったから」など、会社への不信感や不安が表れています。
会社への相談をためらった社員は、弁護士に訴訟の相談をしたり、マスコミに音声を持ち込んだりと、外部に向けたアクションを起こします。
会社にとっては青天の霹靂、一大事です。
相談や通報は、燃え盛る前に問題を解決するための貴重な情報提供です。
重要なリスクマネジメントの一つとして、相談しやすい体制を整えましょう。

相談者にとって、相談は勇気の要るもの

相談者は不安でいっぱいです。

  • 不利益に扱われないかな
  • 面倒な社員と、印象を悪くするのではないかな
  • 空気を読めない社員と思われるのではないかな
  • 評価を下げられるのではないかな
  • 加害者や他の人に漏れ伝わらないかな
  • 加害者に報復されないかな
  • どうせ真剣に聞いてもらえないんだろうな
  • きっと解決にはならないんだろうな
  • 逆に悪化するのではないかな

それでも勇気を出して、相談窓口をノックするのです。

相談は貴重な情報提供、大切に扱いましょう

相談や通報がなければ、リスクやトラブルの発見が遅れ、水面下で問題が深刻化し、表面化したときにはすでに手遅れとなっている可能性があります。

相談のおかげで、早期把握し、被害やコストが小さいうちに解決できます。

「面倒くさい」「厄介事だ」と疎んじたり軽んじたりすることなく、相談は貴重な情報提供として扱い、また、勇気を振り絞って相談してきた相談者には「話しづらいことを話してくれてありがとう」と労い、丁寧に対応することが大切です。

相談しやすさを高めるために、相談窓口には「多様性」が重要

多様なケース、多様な要望に応えることが、相談しやすさにつながります。可能な範囲内で多様化しましょう。

  • 電話やメールなど受付経路を多様に。相談も、面談、電話、メール、チャットなど複数の方法を設ける。
  • 相談担当者は、性別・年代・所属部署・役職など多様な属性の担当者を複数名配置する。
  • 取扱相談内容も多様に。あらゆるハラスメント及びハラスメント以外の働き方や不満、法令違反等に関する相談や通報に一元的に応じる。
  • 勤務時間内だけでなく、昼休みや勤務時間外にも対応可能とする。
  • 相談場所は、オフィス内だけでなく、社屋外の貸し会議室やカフェ等でも対応可能とする。
  • 相談内容・状況に即した適切な対応が取れるよう医師や法律家等と連携しフォロー体制を多様に整える。

相談担当者の人選も重要

「この人には相談したくない」と、相談者が相談をためらってしまうような方は避けるべきです。また、相談担当者の対応次第で、相談者が会社に不信感を抱き、解決が困難になることもあります。「人事部だから」「誰でも良い」というのではなく、資質をしっかり見極め、厳選しましょう。

必要な資質

  • ハラスメントや人権問題に対する十分な理解を持つ
  • 中立的な立場で相談を受け、解決に向けて取り組める
  • 柔軟性があり、視野が広い
  • 口が堅い
  • 傾聴力がある
  • 共感力が高い
  • 部下や周囲の方々から信頼されている
  • フットワークが軽い

相談担当者になった方には、以上の資質の研鑽が求められます。

安心して相談できる相談窓口の設置と周知

悩んでいる方が安心して相談できるように、以下のことを実践し、それを明文化し、社内周知します。

(1)プライバシー保護

  • 受付の電話内容、メール、手紙等は担当者以外は見ない
  • 相談者のプライバシーが確保できる部屋を準備する
  • 相談者及び相談内容の秘密を守る

(2)不利益取扱いがないこと

  • 相談者が不利益な取扱いを受けてはならない

(3)対応の流れ

  • 基本的な相談対応及び相談後の流れをマニュアル化する

上(1)〜(3)の他、担当者の顔写真、名前、連絡先や、相談できることの例なども周知します。

<社内周知方法>

以下のような多様な手段を使い、何度も、継続的に、常時周知し続けることで、相談を歓迎する姿勢を示します。

  • 社内レター
  • 社内メール
  • 掲示板・ポスター
  • イントラネット
  • 窓口案内カード
  • (会議等の都度)口頭で、等

相談担当者が日頃から心がけること

(1)コミュニケーション

  • 日頃から多くの従業員に顔を見せ、コミュニケーションを取り、名前を知ってもらう

(2)感度

  • 職場の空気の変化、従業員のメンタル不全等に気づけるよう巡回し、目を光らせ、アンテナの感度を高めておく
  • 何か相談したそうな素振りや気づいてもらいたそうな様子を見せる従業員にはそれとなく声をかける
  • 顔色や姿勢、動作、ため息等の変化に気づいたら、それとなく声をかけたり気をつけておいたりする

(3)研鑽

  • ハラスメントや人権問題、法令、社会的風潮等について勉強し、情報収集し、知識及び技術の研鑽に努める
  • 家族や友人とのコミュニケーションの中で「傾聴・受容・共感」を練習する

(4)信頼

  • 日頃から誠実な言動・態度を心がけ、信頼される人間となる努力を積み重ねる

上記「必要な資質」を高める自己研鑽も大切です。
オープンで機能的な窓口を設置することは、ハラスメントの予防と、社員の皆様の安心に直結します。

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。