「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。
厚生労働省『雇用政策研究会報告書 概要(案)』https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000467968.pdf
「健康の定義」において、”病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること」
世界保健機関(WHO)の憲章による「健康の定義」公益社団法人 日本WHO協会訳https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/
つまり、「幸せでいきいきしている状態」が、ウェルビーイングです。
ウェルビーイング経営とは、「業績が高い企業は⇒社員が幸福」ではなく、「社員が幸福な企業は⇒業績が高い」という考え方に基づき、経営戦略として社員の幸福を追求する経営方針のことです。
ウェルビーイング向上と生産性向上の好循環
- 就業面からのウェル・ビーイングの向上が、労働者一人ひとりの能力発揮を通じ、企業の生産性向上に寄与
- 企業の生産性向上が、就業面からのウェル・ビーイングの向上のための原資をもたらす
厚生労働省『雇用政策研究会報告書 概要(案)』https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000467968.pdf
職場のウェルビーイングを高める5つの要素
アメリカの調査・コンサルティング会社『ギャラップ』CEOジム・クリフトンとジム・ハーターの著書『職場のウェルビーイングを高める』では、「職場のウェルビーイングを高める5つの要素」として、次のウェルビーイングを挙げています。
- キャリア・ウェルビーイング
- 人間関係ウェルビーイング
- 経済的ウェルビーイング
- 身体的ウェルビーイング
- コミュニティ・ウェルビーイング
そして、5つのうち最も重要で、他の4つの基盤となるのが「キャリア・ウェルビーイング」であるとしています。
キャリア・ウェルビーイング
キャリア・ウェルビーイングとは、「日々していることが好き」ということです。
現代は、多くの労働者がストレスで疲れ切っている状態。
特に、「上司と過ごす時間は、従業員にとって1日の中で最悪の時間である」という学術文献が紹介され、「パワハラ的な上司は、従業員の飲酒や薬物問題、不眠症、そしてさまざまな危険な行動の原因となっています。・・・部下に無関心で関与しない上司も問題です。ひいては従業員が感情的に疲弊し、非常にエンゲージしなくなる要因」としています。
キャリア・ウェルビーイングの向上には、上司の果たす役割が重要です。
従業員の人生を壊すような悪質な管理職は組織にとって最も高いリスク要因となるため、従業員の心身に悪影響を及ぼす管理職は排除すべきであり、管理職をスキルアップして、ボスからコーチに変貌させることが重要、とのこと。
組織はこのような問題を、「マネジャーにスキルを身につけてもらい、効果的なコーチに育てることができれば」解決できます。
管理職は、一緒に従業員の目標設定を行い、少なくとも週に1回は意味のあるフィードバックを提供するスキルを磨くことが大切です。
当社のコンサルティングも、ハラスメント上司の行動変容、すなわちハラスメントの予防・解決と管理職のマネジメネト力向上が主領域です。
リーダーがとるべき部下に対する行動例
- 即時の、継続的な、適度な頻度のフィードバック
- 適度な頻度の面談による目標・成果の共有
- コーチングスキルの向上
- 本人の強みを伸ばす能力開発、強みを活かす業務管理
- 倫理的な行動(ハラスメントをしない)
人間関係ウェルビーイング
仕事上の人間関係が良くなると、(1)安全上の事故が減り、(2)顧客からの評価が上がり、(3)収益率が上がり、(3)スピードと効率が高まり、(4)生産性が高まります。
逆に、人間関係が悪く、誰かが孤立する状態は、組織にとって最悪の問題です。
「孤独は死に至る病」と言われるように、人間関係ウェルビーイングは、生死に関わる課題です。
多くの組織や仕事は高度にマトリクス化され、複数チームの連携が求められる、スピードとクリエイティブさが求められる現代にあっては、組織にはアジリティ(俊敏性・機動性)が必要です。
それに必要なのは、信頼関係であり、人間関係が良好で、交流があることが不可欠です。
人とのつながりを持ちたい、感じたいと言うニーズは誰もが持っています。
この人間の本質を最大限に活用すれば、お互いに信頼し合える仲間たちと一緒に、強靭でスピーディな経営を実現でき、生き生きしたエンゲージメントの高い文化を築くことができます。
そこで、仕事を通じて互いに知り合う機会を作ることが大切です。
多くの企業は、2020年から、新型コロナの影響により、「リモートでしか話したことがない」「マスク越しだから顔を知らない」「直属の上司のこともよく知らない」という、組織の危機に瀕しています。
企業としては、「あえて交流させる」機会を設けることが望まれます。
新入社員オリエンテーション等で、メンターとなる2名以上の先輩・上司を紹介し、その場でブループワークなどを実践させることが有効です。
質問したいとき、困ったときに誰を頼ればよいのかがわかっていれば、安心して働くことができます。
リーダーがとるべき部下に対する行動例
- オリエンテーションや研修でグループワークの機会を設ける
- 社内SNSなどを活用する
- 3〜4名のチーム作業を基本とする
- 勤務時間内に運動会やBBQなどのレクリエーションを催す
- 心理的安全性を高める
心理的安全性
当社は、ウェルビーイングを高める様々な要素のうち、特に「心理的安全性」を重視し、ウェルビーイング経営を支援しています。
「率直であることが許される状態、自分らしさを安心して表現できる環境」は、「心理的安全性が高い」と表現されます。
↓
挑戦しやすい
ミスは挑戦の結果であり、成長・成功の糧となる
だからミスをみんなで共有する
↓
挑戦が活発になる
↓
チーム全体が成長する
イノベーションが生まれる
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