業務上部下を教育しミスや態度の改善を促すことは、上司の重要な役割の一つです。
しかし、パワハラと教育的指導の境界線が曖昧であるため、パワハラと騒ぎ立てられることを恐れ、上司が萎縮し、十分な教育を行えないことが多く、これは組織にとっても相手方である部下にとっても好ましいことではありません。
組織の維持・発展のために必要不可欠な指導・教育であり、改善や向上を求めることに可能性と合理性があり、かつ就業規則等のルールに即していること、そしてその方法・手段が客観的に見て適切かつ合理的である場合には、教育的指導であると認められます。
指導・注意・叱責がエスカレートし、その目的を逸脱して、または目的もなく、相手の人格や尊厳を侵害し能率低下・健康悪化に追い込んだり、退職にまで追い込んだりすれば、パワーハラスメントに該当すると判断される可能性は高くなります。
以下は、境界を見極めるポイントと、パワハラに該当する可能性の高い行為の基準でありますが、この基準が100%のものというわけではなく、あくまで一つの目安・例です。
個々のケースの判断においては、諸事情を考慮した上で総合的に判断する必要が当然にあります。
1.圧力性の有無
- 権力や立場により相手が意見・反論・弁明する自由を与えない
2.関連性・必要性の有無
- 注意や指導の内容が、ミスや業務の内容と関連性がない。必要性がない
- 特定の人だけが厳しく扱われる
- 過度に執拗である
- 必要性もないのに、敢えて他の従業員の前で叱責する
3.個人的感情の有無
- 客観的に見て、嫌がらせ目的であること、憂さ晴らしであることなどが明らかである(特定の人だけが厳しく扱われる。)
4.違法性の有無
- 暴力や物を叩くなどの行為を伴う
- 脅迫(違法性が高い)。必要以上に威圧的である。怒鳴る。大きな声で叱責する
5.健康上の被害
- ストレスや疲労から、身体的又は精神的健康を害するに至った
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