韓国DJ SODAさんへのわいせつ行為とセカンドハラスメント

こんにちは、KEN’s Note編集部です。
8月に大阪で開催された音楽フェスで「体を触られた」と訴えた、韓国人のDJ SODAさんが、9月に再来日したことについて、インターネット上では「もう日本に来るな」「メンタル強すぎ」等非難や皮肉の書き込みも寄せられているとのこと。

被害者が行動を制限される筋合いはありません。

ハワイでスリに遭ったとしても、ハワイにはまた行くでしょう。
パリで怪我をしたとしても、パリにはまた行くでしょう。
「ハワイでスリに遭ったんだから、二度と来るな!」と言われたら、どうでしょうか。

そもそも、服装や国籍がどうであろうと、本人の同意なく身体、特に胸や尻に接触することはわいせつ行為であり、服装はわいせつ行為を正当化する理由にはなりません。
誰かに触られるためにその服を選んだわけでも着ているわけでもないのです。

本件では、インターネット上で、
「大金を家に置いておいて鍵をかけないようなもの」
「札束をぶら下げて人混みを歩くようなもの」
などの(本人は上手く例えたと自負しているかのような)例えが散見されましたが、鍵がかかっていないからと他人の家に侵入して良いはずがありませんし、札束を後ろポケットに入れている人がいても引き抜いて良いはずがありません。
他人の家に侵入してはならないし、
他人の財産を盗んではならないし、
他人の身体に同意なく触れてはならないのです。

他の誰も触っていないのに、ごく数名のみが触ったのだから、「触られても仕方がない」のではなく、触った人たちのみの問題です。

確かに、鍵をかける、札束を見せない、露出の多い服を着ない、興奮している集団には近づかないなどの自衛策により、被害を防ぐことはできるかもしれません。
しかし、自衛策を講じるかどうかは本人の問題であり、しなかったことを一因として被害に遭ったとしても、責められるべきは加害者の行為です。

本件では、加害者を非難する反応は特になく、被害者を非難したり中傷したりする反応ばかりが目立ちました。
「被害者がどうだったか」がこれほどクローズアップされる犯罪は、性犯罪くらいでしょう。

どの国でも、セクハラ被害者は叩かれます

  • 被害者にも落ち度があったのではないか
  • 対策が甘かったのでは
  • 過剰反応だ
  • 彼女または彼に性的魅力を感じるはずがない、自意識過剰だ
  • 性的に解釈する方がおかしい
  • 虚偽の訴えだ、等々…

多くの場合、加害者側の属性と同じ属性(今回は男性)の集団が、このような反応をします。
他人事にも関わらず、「あなたが悪い」と自分も責められている感覚を持ち、防御反応を示すのです。
多くのセクハラ事件は、加害者は男性であるため、男性たちは本人も無意識のうちに、セクハラ行為を正当化し、加害者を擁護する態度を取ります。
そして、多くの組織では男性の割合が高いため、女性たちの被害の訴えは男性たちの声にかき消され、いかに被害者が自業自得であるか説かれ、または嘘つきで今回も虚偽の訴えであると周知され、社会的信用をズタズタにするような噂を立てられます。
二度と訴えることはできなくなります。

被害の存在も、被害の大きさも、被害者の傷も、信じてもらえないことが、セカンドハラスメントの根っこです。

さらに、セクハラ被害者は、同性(本件の場合は女性)からも、冷ややかな反応を受けることが多いです。
セクハラは性的魅力の自慢、男性を誘惑した女狐が悪い、という妬みに似た感情が根っこにあると考えます。

このようにセクハラ被害者は、四面楚歌のような状況に陥り、追い詰められていきます。

おわりに

もしも自分の家族が同じ被害を受けたら、どう感じるか。自業自得と言えるのか、「過剰反応」で済ませられるのか…当事者の目線で考えていただきたい問題です。
そして、周囲で苦しんでいる人、孤立している人がいたら、気にかけ、声をかけ、「私は敵ではないよ」「あなたは一人ではないよ」と、示すことが大切ではないでしょうか。
それだけで、救われるかもしれません。

投稿者

株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。