中国新疆ウイグル自治区の人権問題とは

アメリカのバイデン政権が、来年2月に開催される北京冬季五輪への「外交ボイコット」を表明しました。
他国も追随するものと見られています。
中国の、新疆ウイグル自治区におけるジェノサイド(集団殺害)を始めとする人権侵害への抗議を目的とするものです。

中国政府は、新疆ウイグル自治区及びその周辺で、ウイグル人を含むイスラム教徒の少数民族に対し、人権侵害を行っている、とされています。
国連等様々な団体による報告を合わせますと、以下のような(それぞれ常軌を逸する残虐極まりない程度の)行為があった(ある)ということです。

  • 監視
    • ウイグル人住民はQRコードで管理され、追跡装置の装着、AI監視カメラによる識別監視、顔認証・虹彩・指紋・DNA・声紋・歩容解析などによる監視を受ける
  • 洗脳
  • 拷問
    • 「殴打、電気ショック、負荷が強い姿勢を取らせる、違法な身体拘束(「タイガーチェア」と呼ばれる鉄製のいすに座らせ手足をロックして動けなくする)、睡眠妨害、身体を壁のフックにかける、極めて低温の環境に置く、独房に入れる」など
  • 強制不妊手術(→出生率の急落が続いている)
  • 性的暴行
  • 子供を親から引き離す 等

古代中国から「西域」と呼ばれたこの地域は、随、ウイグル帝国、モンゴル帝国、清の支配下となった後、中華民国に支配されるようになりました。
なお、清が支配する際に、清朝側がこの地域を「新しい土地」を意味するイチェ・ジェチェン (Ice jecen; 新疆) などと呼んだそうです。

イスラム教徒により民族国家建国が図られたこともありましたが、結局、中国により1955年に新疆ウイグル自治区が設置されました。

その後もグルジャ事件など暴動やテロが続き、習近平総書記兼国家主席が初めて新疆ウイグル自治区を視察した際に爆破テロが起きたことから、「対テロ人民戦争」「厳打暴恐活動専項行動」を打ち出し、2014年5月、習近平が主宰した座談会で「社会の安定」が最優先事項として掲げられ、習近平は新疆ウイグル自治区の人々に徹底的に「中華民族」意識を植え付ける「中国化」を強調しました。

この「身も心も中国化」を進める中で、上記のような人権侵害行為が横行しているということです。

新疆ウイグル自治区では、小麦・綿花・テンサイなどが主要な生産物となっており、特に新疆綿は高級品とされ、日本や欧米に輸出されています。
しかしアメリカは、自治区内での強制労働の懸念に鑑み、新疆産の綿の輸入を停止しました。
日本の大手衣料品メーカーUNIQLO(ファーストリテイリング)は、新疆産の綿を原料として使用しているとして、米国で輸入差し止めとなりました。
この事案により、日本でもこの自治区における人権侵害への関心が一層高まり、サプライチェーン上の人権侵害に対する企業の包括的責任も明確化されてきています。

新疆ウイグル自治区の他、中国は、香港、台湾、チベット自治区などでも弾圧を展開していることから、世界中の非難を集めています。

ウイグル族を「QRコード」で管理する中国(ニューズウィーク)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/qr.php

新疆ウイグル自治区の住民、工具へのQRコードの装着を強要(BITTER WINTER)
https://jp.bitterwinter.org/xinjiang-residents-forced-to-get-bar-codes-for-tools/

中国当局、全車両に位置情報ソフトの搭載義務付け 新疆の一部地区で(AFPBBNEWS)
https://www.afpbb.com/articles/-/3118712

中国政府の監視の目、メッカ巡礼イスラム教徒にも(ウォール・ストリート・ジャーナル)
https://jp.wsj.com/articles/SB11443694453778813656304584381921434289500

中国のウイグル族弾圧は「地獄のような光景」=アムネスティ報告書(BBCニュース)
https://www.bbc.com/japanese/57437638

中国政府、ウイグル人を収容所で「洗脳」 公文書が流出(BBCニュース)
https://www.bbc.com/japanese/50542004