米国時間令和5年1月6日、西村経済産業大臣とタイ米国通商代表は、「サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォースに係る協力覚書」に署名しました。
企業によるサプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等の促進を目的に、ガイダンス、報告書、ベストプラクティス、教訓、法令、政策、執行実務などについて相互に情報共有していくことなどを想定した関係省庁による作業部会を設立することで合意し、人権を尊重したビジネス展開を企業に促すものです。
経済産業省は、「企業の予見可能性を高め、企業が積極的に人権尊重に取り組める環境の整備に向けて、国際協調を一層加速させていきます。」としています。
<日米タスクフォースの構成員>
- 日本:経済産業省、外務省、及び必要に応じてその他の省庁
- 米国:米国通商代表部、商務省、保健福祉省、米国税関国境警備局及び移民税関捜査局を含む国土安全保障省、労働省、国務省、米国国際開発庁、及び、必要に応じてその他の政府機関
欧州では、供給網での人権侵害状況を定期的に調査する「人権デューディリジェンス(人権DD)」の義務化が進んでいますが、日本ではようやく2022年9月に強制力のないガイドラインが取りまとめられたのみで、欧米諸国に大幅な遅れをとっています。
児童労働や強制労働によって採取・加工された原材料を調達したり、製品を販売したりすることを禁止、または受け入れない動きが、世界では強まっています。
直接的か間接的かを問わず、供給網のどこかに人権侵害が含まれていれば、その供給網上にある全ての企業が包括的な責任を負う、つまり取引から排除されるという流れです。
人権後進国である日本企業が、例えばチョコレートをヨーロッパで販売するとして、そのチョコレートの原料であるカカオの生産過程に児童労働や強制労働があることに無関心でいれば、カカオの生産から自社での調達までに複数のサプライヤーが挟まっている間接的な取引であったとしても、「あなたの会社のチョコレートは我が国では販売禁止」と締め出されてしまうのです。
アメリカに機器の金属部品を輸出するとして、レアメタルの調達過程で児童労働や強制労働があれば、「あなたの会社の部品は使えない」と締め出されてしまうのです。
強制労働や児童労働は、遠い異国の地の古代の話ではなく、世界に供給網を広げる経済大国日本が、世界で売れるか、締め出されるかを二分する死活問題であると捉え、より一層の踏み込んだ取組が求められます。
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