海運事業の安全管理体制〜知床海難事故を受けて

知床の海で発生したあまりに痛ましい事故。
原因の特定には相当の時間を要するものと思われますが、運行会社のずさん過ぎる安全管理体制がその一因にあることは明らかでしょう。
利益あっての企業ではありますが、安全あっての利益であることはいうまでもありません。
安全は事業の最も基本的なサービスであり、企業に対する信頼の根本を成すものです。

国土交通省は、運輸の安全の確保に関する情報を開示しています。

国土交通省>運輸安全>運輸安全マネジメント

【国交省】運輸安全マネジメント制度に関する参考資料
https://www.mlit.go.jp/unyuanzen/documents.html

ここでは、その中から「海運事業」に関連する資料情報を紹介いたしますが、必ず上記リンクより国交省の資料をご熟読の上、各社様にて理解と取組を深めてください。
また、当社でも安全管理規程やガイドラインの作成等を支援しています。ご相談ください。

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【国交省】運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン

事業者における安全管理体制の構築・改善に係る取組のねらいとその進め方の参考例を示すものであり、事業者においては、自社の状況に応じて、本ガイドラインを参考に、安全管理体制の構築・改善に向けた取組を進めることが期待されます。

【国交省】運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン(平成29年7月 国土交通省大臣官房 運輸安全監理官)
https://www.mlit.go.jp/unyuanzen/content/20200615.pdf

運輸事業者に期待される安全管理の取組(枠組)

(1)経営トップの責務

経営トップは、輸送の安全の確保のため、主体的に関与し、事業者組織全体の安全管理体制を構築し、適切に運営する。また、人材不足に起因する社員・職員の高齢化、厳しい経営状況に起因する老朽化した輸送施設等の使用から生じる安全上の課題や社会的要請が高まっている自然災害、テロ、感染症等への対応などの課題に対して的確に対応することが重要であることを認識する。

(2)安全方針

経営トップは、事業者の輸送の安全の確保に関する基本理念として、安全管理にかかわる事業者の全体的な意図及び方向性を明確に示した安全方針を策定する。

(3)安全重点施策

事業者は、安全方針に沿い、かつ、自らの安全に関する具体的な課題解決に向け、組織全体、各部門又は支社等において、輸送の安全の確保に関する目標を設定し、目標を達成するため、輸送の安全を確保するために必要な具体的な取組計画を作成する。

(4)安全統括管理者の責務

経営トップは、経営トップのリーダーシップの発揮、安全管理体制の適切な運営、事業者内部への安全最優先意識の徹底を実効的とする観点から、安全統括管理者には、安全管理体制に関する責任・権限を具体的に与える。

(5)要員の責任・権限

事業者は、安全管理体制を適切に構築・改善するために必要な要員の責任・権限を定め、事業者内部へ周知する。

(6)情報伝達及びコミュニケーションの確保

事業者は、事業者内部に、輸送の安全の確保に係る的確な情報伝達及びコミュニケーションを実現する。

(7)事故、ヒヤリ・ハット情報等の収集・活用

事業者は、輸送の安全を確保するため、事故、ヒヤリ・ハット情報等の定義及び収集手順を定め、それらの情報を収集する。収集した情報のうち、事業者が輸送の安全確保のため特に重要と定めた情報については、適時、適切に経営トップまで報告するとともに、情報の活用に取り組む。(→★へ)

(8)重大な事故等への対応

事業者は、事業者全体として対応しなければならないような程度・規模の重大な事故等(通常の事故等の対応措置では対処できない事故・自然災害、テロ等)が発生した場合に備え、(5)で定めた責任・権限を超えて適切かつ柔軟に必要な措置を講じることができるように、その責任者を定め、事故等の応急措置及び復旧措置の実施、事故等の原因、被害等に関する調査及び分析等に係る責任・権限等必要な事項を明らかにした対応手順を定め、事業者内部へ周知する。

(9)関係法令等の遵守の確保

事業者は、輸送の安全を確保する上で必要な事項に関し、関係法令等の規定を遵守する。安全統括管理者等は、各部門や各要員におけるそれらの遵守状況を定期的に確認する。

(10)安全管理体制の構築・改善に必要な教育・訓練等

事業者は、安全管理体制の構築・改善の取組に直接従事する要員、即ち、経営トップ、安全統括管理者等、各部門の安全管理に従事する責任者及びその補助者等並びに安全管理体制に係る内部監査を担当する者に対して、運輸安全マネジメント制度の趣旨等の理解を深めるため、必要な教育・訓練を計画的に実施し、その有効性、効果を把握し、必要に応じて、当該教育・訓練の内容等の見直し・改善を図る。

(11)内部監査

事業者は、安全管理体制の構築・改善の取組に関する事項を確認するために内部監査を実施する。なお、内部監査の範囲は、安全管理体制全般とし、経営トップ、安全統括管理者等及び必要に応じて現業実施部門に対して行う。また、事業者は、必要に応じて、親会社、グループ会社、協力会社、民間の専門機関等を活用して内部監査を実施することもできる。

(12)マネジメントレビューと継続的改善

経営トップは、事業者の安全管理体制が適切に運営され、有効に機能していることを確認するために、安全管理体制の機能全般に関し、少なくとも1年毎にマネジメントレビューを行う。さらに、重大事故等が発生した際は適宜実施する。
事業者は、「マネジメントレビュー」、「内部監査」又は日常業務における活動等の結果から明らかになった安全管理体制上の課題等については、その原因を除去するための是正措置を講じ、輸送の安全に関する潜在的な課題等については、その原因を除去するための予防措置を適時、適切に講じる。

(13)文書の作成及び管理

事業者は、安全管理体制を構築・改善するために、事業規模等に合った文書を作成し、適切に管理する。

(14)記録の作成及び維持

事業者は、安全管理体制の運用結果を記録に残すために、記録を作成し適切に維持する。

【国交省】安全管理規程見本
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr4_000021.html

★事故、ヒヤリ・ハット情報の収集・活用の進め方(海運モード編)

運輸事業者、特に、旅客船、フェリー、貨物船事業者のリスク管理に活用すべき参考資料です。
ここでいうリスク管理とは、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることをいいます。
事業者が、輸送の安全を確保するためには、本書に記載したリスク管理に関する各取組について、PDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルにより継続的に実施することが重要です。

事故、ヒヤリ・ハット情報の収集・活用の進め方~事故の再発防止・予防に向けて~(海運モード編)(平成30年12月 国土交通省大臣官房 運輸安全監理官室)
https://www.mlit.go.jp/common/000212593.pdf

リスク管理の手順

  1. 情報収集(事故、ヒヤリ・ハット等)
  2. 収集した情報の分類・整理・傾向把握
  3. 根本的な原因の分析
  4. 対策の策定と実施
  5. 効果の把握
  6. 潜在的な危険の掘り起こし
  7. 対策を取るべき潜在的な危険の絞り込み
  8. 潜在的な危険に対する対策の策定と実施
  9. リスク管理を効果的、効率的に進めるための環境整備

【国交省】小規模海運事業者における安全管理の進め方~事故・トラブルの防止に向けて~

国土交通省が平成18年10月から導入している「運輸安全マネジメント制度」において、小規模海運事業者がより効果的に自ら安全管理体制の構築・改善に取り組むことができるよう、「小規模海運事業者における安全管理の進め方~事故・トラブルの防止に向けて~」が作成されています。

【国交省】小規模海運事業者における安全管理の進め方~事故・トラブルの防止に向けて~
https://www.mlit.go.jp/common/001285812.pdf

1.代表者(経営者)の役割

代表者(経営者)は、自らが輸送の安全の最高責任者として、安全管理の体制を整え、安全管理の取組計画を作るとともに、社員を指揮・指導して、その役割を果たす。

2.安全管理の実施

代表者(経営者)、安全統括管理者、その他輸送の安全にかかわる社員は一丸となって、輸送の安全に向け、安全管理の取組を実施する。

3.安全管理の取組状況の点検と改善

輸送の安全に向け、定期的に安全管理の取組状況を点検し、把握した問題点を改善することが重要であり、代表者(経営者)及び安全統括管理者は取組を行う。