厚生労働省では「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、本日9月1日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知しました。
【認定基準改正のポイント】
業務による心理的負荷評価表※の見直し
- 具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
- 具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
- 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
※実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価
精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
- 悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
医学意見の収集方法を効率化
- 専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更
パワーハラスメントについて
上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた場合、平均的な心理的負荷の強度はⅢ。
心理的負荷の総合評価の視点
- 指導・叱責等の言動に至る経緯や状況等
- 身体的攻撃、精神的攻撃等の内容、程度、上司(経営者を含む)等との職務上の関係等
- 反復・継続など執拗性の状況
- 就業環境を害する程度
- 会社の対応の有無及び内容、改善の状況等
(注)当該出来事の評価対象とならない対人関係のトラブルは、出来事の類型「対人関係」の各出来事で評価する。
(注)「上司等」には、職務上の地位が上位の者のほか、同僚又は部下であっても、業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合、同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合も含む。
心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」と判断する具体例
「弱」になる例
- 上司等による「中」に至らない程度の身体的攻撃、精神的攻撃等が行われた
「中」になる例
- 上司等による次のような身体的攻撃・精神的攻撃等が行われ、行為が反復・継続していない
- 治療を要さない程度の暴行による身体的攻撃
- 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃
- 必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
- 無視等の人間関係からの切り離し
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する等の過大な要求
- 業務上の合理性なく仕事を与えない等の過小な要求
- 私的なことに過度に立ち入る個の侵害
「強」である例
- 上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた
- 上司等から、暴行等の身体的攻撃を反復・継続するなどして執拗に受けた
- 上司等から、次のような精神的攻撃等を反復・継続するなどして執拗に受けた
- 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
- 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者 の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
- 無視等の人間関係からの切り離し
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する等の過大な要求
- 業務上の合理性なく仕事を与えない等の過小な要求
- 私的なことに過度に立ち入る個の侵害
- 心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった
※ 性的指向・性自認に関する精神的攻撃等を含む。
【厚生労働省】心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html
【厚生労働省】(資料)心理的負荷による精神障害の認定基準
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001140929.pdf
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