今さら女性活躍推進?と思われるかもしれませんが、先進国の中で、あるいは途上国と比較しても最低水準を維持している日本では、まだまだ遠い未来の話であり続けています。
特に、建設業や運送業などでは、いまだスタート地点で立ち止まったままです。
男性中心業種で陥りがちな失敗
女性のマネジメントに不慣れで、女性がいることを前提としていない制度・体制・環境しかない組織は、誤った推進策で失敗に終わることが少なくありません。
例えば、こんなことはありませんか?
- 女性活躍推進=育児中の女性のみを支援すること、と考える
- 女性活躍推進=女性を優遇すること、と考える
- 女性活躍推進=女性もモーレツ社員の働き方をすべし、と考える
- 女性活躍推進=女性比率の数字を上げることがゴール、と考える
これでは、社内の反発や分断を生み、女性が肩身の狭い思いをしたり、私生活を犠牲にして無理をせざるを得なくなったりして、結局女性の離職を招きます。
企業、上司、男性、女性それぞれが、それぞれの立場で困惑や不満、要望を主張しています。いずれかのみが頑張る、他方が変わるのを待つのではなく、同時並行で、女性は貪欲に機会を求め続け、企業は信じて機会を与え続けることが大切です。
女性活躍推進の意義を経営陣が理解することから
ダイバーシティに取り組んだ企業の声〜数の補充だけではない多様なメリット
- 女性視点による提案からヒット商品が生まれ、取引が拡大した
- 女性社員に、積極的に業務に取り組む姿勢が生まれた
- 社員全体の定着率が上がった
- 業務の進め方や社内制度の見直しが進んだ
- 公正に評価される企業と認められ、優秀な人材を確保しやすくなった
- 取引先や顧客、求職者に対するイメージが良くなった
- 社内全体が活性化した
女性にとって働きやすい企業は、女性以外の若い社員にとっても働きやすく 、女性が定着しない企業では、女性以外の若い社員も働きづらさを感じているものです。
女性社員は、企業の現状と未来を測る指標となります。
女性社員が積極的に発言・挑戦できている企業には、未来の成長を期待しても良いでしょう。
組織や上司に求められること
(1)両性の本質的違いを尊重しつつ、対等・公平にマネジメントする
■配慮を超えた過剰な特別扱いはしない
女性に高難度・重責任の業務を任せるのは気の毒という過剰な配慮や素人扱いは、働きがいや実力を発揮し評価を得る機会を女性から奪い、プライドを傷つけることになる。女性にもプロフェッショナルとしての仕事ぶりを求め、積極的にその機会を提供する
■モーレツ戦士を基準とした評価基準・昇進条件を見直す
仕事一筋、育休どころか年休さえも取らず残業も厭わない「勤勉そうな社員」を主観で高評価するのではなく、時間あたりの生産性を高め真に質の高い業務で成果を出したり成長したりした社員を絶対評価する
■急激で過剰な期待で圧力をかけない
希少価値の高い女性が入職すると、過度に持ち上げ、「女性ならではの視点」を求め、「女性初」の様々なポストを与えるというのでは、女性はプレッシャーに潰されてしまう。妬みの目線も気になり、肩身が狭くなる。対話を重ね不安を取り除きながら、組織全体の意識改革と同時進行で、焦らず進める
■多様なニーズを汲み取り、柔軟に細やかなフォローを
性別に関わらず、働くことにもキャリアアップすることにも、不安はつきもの。特に女性の人生観やキャリアは千差万別。面談を重ねニーズを汲み取るとともに、情報提供、承認、制度や体制づくりを重ね、心理的安全性を高める工夫が必要
(2)女性の働きやすさと働きがい
- 両立支援制度(育児・介護)の整備と利用促進
- キャリア面談の実施
- 公正な人事評価制度の整備と実施
- 女性特有の事情に配慮した福利厚生制度の拡充
- 利用しやすい相談窓口の整備
- メンターの設定
- ロールモデルの育成
(3) 男性・管理職の意識・働き方改革
- 「残業時間の長さ=熱意」という指標の撤廃
- 両立支援制度の男性の利用促進
- ハラスメント防止策の実施
- ジェンダー教育の実施
- 人材育成・コミュ力向上教育の実施
- 評価能力向上教育の実施
- フォロー社員をフォロー&評価する
欧米諸国も大昔から男女平等だったわけではなく、多くの女性が命がけで(実際に命を落とした女性も少なくありません)声を上げ行動した歴史があって、一歩ずつ進んできたのです。ならば日本でも、実現不可能ではないはずです。性別や年齢、人種、障がいなどを問わず、誰もが真価を発揮でき、より良く生きられる社会を、日本にも築いていきたいものです。
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