学び直しで成長分野へシフト〜 「リスキリング」とは

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「新たな職業に就いたり、成長が見込める社内の別の部署に移ったりするために必要なスキルを身につける」ことを、「リスキリング」といいます。
Re=再び、skilling=スキルを習得する、ということです。

現在の業務を続けるうえでの技術や能力を高めるためのOJTやスキルアップと異なり、未経験分野への転職や異動、挑戦のためにスキルを習得することを意味します。

「リスキリング」 デジタル時代の人材戦略(NHK『持論口論』)
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/477161.html

新たなスキル習得目指す「リスキリング」企業などで関心高まる(2022年11月23日 NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221123/k10013901261000.html

※(出典)「」部分はNHKニュースより

事例1)
商社の社員がAIやデジタル分野の技術をオンライン講座で学び、工場の稼働分析ツールを開発し、取引先に販売している。
事例2)
印刷業の社員が、デジタルスキルを学び、ホームページ制作や広告作成を新規事業として立ち上げた。

日本のリスキリング

リスキリングが求められている背景には、DX=デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)などにより、仕事で必要なスキルや人材の需要が急速に変化していることがあります。

労働者の能力不足を課題としている企業の割合の国際比較

経済産業省は、構造的な賃上げの実現に向けて、企業間・産業間の労働移動の円滑化及びデジタル分野等のリスキリングに向けた投資を進め、持続的な成長と分配の好循環の達成を目指すことが必要であるため、個人によるキャリア相談、リスキリング、転職までを一気通貫で支援する仕組みの整備を講じるとして、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に令和4年度補正予算案額753億円を盛り込みました。

構造的な賃上げとは

好循環が機能していない、とは

日本は30年間賃金が上がっていない

日本の労働生産性国際比較 主要7カ国中最下位

終身雇用がいまだ根強く残っている日本型雇用では、諸外国と比較し労働移動が少ない、つまり硬直化し、新たなイノベーションが生まれにくく、成長が鈍いです。

国際比較で見ますと、日本企業のOJT以外の人材投資(GDP比)は、諸外国と比較して最も低く、低下傾向で、社外学習・自己啓発を行っていない個人の割合は半数近くで、諸外国と比較しても不十分です。

GDPに占める企業の能力開発費の割合の国際比較

日本企業がリスキリングに積極的になれない理由には、「本業に支障をきたす」「教育内容が実践的ではなく現在の業務に生かせない」「人材流出につながってしまう」ことへの懸念があるようです。

企業による教育訓練費の支出

能力開発や人材育成、自己啓発に関する問題点

デジタル社会に対応するために

デジタル社会においては、全ての国民が、役割に応じた相応のデジタル知識・能力を習得する必要があります。
若年層は、小・中・高等学校の情報教育を通じて一定レベルの知識を習得しますが、現役のビジネスパーソンの学び直し(=リスキリング)が必要です。

経済産業省は、HP内に「巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」を構築。掲載するコンテンツは、民間事業者に無償提供を呼び掛けています。
これまでデジタルスキルを学ぶ機会が無かった人にも、新たな学習を始めるきっかけを得ていただけるよう、誰でも、無料でデジタルスキルを学べるオンライン講座を紹介しています。

例えば、「AI導入・DX推進を進めるためのAIの基礎的な知識、ノウハウを学ぶ」講座や、「プログラミング言語、Web/Androidアプリ作成のスキルを学ぶ」講座などが掲載されています。

経済産業省『マナビDX』
https://manabi-dx.ipa.go.jp/

さらに政府は、デジタル人材プラットフォームを構築し、全てのビジネスパーソンに求められるデジタルリテラシーと専門的なデジタル知識の学習機会の提供と共に、組織においてDXの活動を牽引し、新たな付加価値の創造/業務効率化を実現できる実践的なDX推進人材の育成手法を確立するとしています。

(出典)厚生労働省 第27回中央職業能力開発促進協議会(旧中央訓練協議会)資料7『経済産業省の』取組
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/000894640.pdf

企業でリスキリングを促進するために

リスキリングは、デジタル分野に限った話ではありません。
政府の勧めや他社の取組に沿うのではなく、自社独自の検討が必要です。
自社の経営戦略上、あるいは成長分野や新規事業へ参入する上で、現在の従業員では不足する専門性は何か、どのような方法で、スケジュールで、対象者を誰として、学び直しを進めるか、慎重な検討が求められます。

その上で、次のことが大切です。

  • 何を、何のために学ぶと、実務上何に役立つのか、習得することや活用することでどのような評価やメリットがあるのかを社員に明示する
  • 上司がキャリアやスキルについて相談を受けたり、中長期のキャリアについて助言したりするフォロー環境を整える
  • そのために、上司は常に新しい市場や企業の展望にアンテナを立てておくこと
  • 新しい市場や企業の展望に合わせ柔軟に仕事の内容や進め方を変更できる上司の能力

人材不足が深刻化し、人材の流出や採用難を経営上最大の危機と嘆く企業が多い割には、育成への投資が十分にはなされていません。
今こそ積極的に「人」に投資すべきです。